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FireEmblem 覚醒:希望に咲く闇 2
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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<2話目>




その日の夜、大きめの天幕に聖王代理や軍師らが集まり、定例の軍事会議が始まる。
内容は大体その日の戦いの報告で、それを元に今後の方針が決まっていく。

ひとつのテーブルを皆で囲み、では…とフレデリクが話しを切り出す。
「今日の被害報告から…なのですが、この報告書にはガイアさんとヘンリーさんの事が書かれていません。あの場にはルフレさんが居たと聞いておりますが…、詳しく状況をお聞かせ願えますか?」
「私とヘンリーで本陣から離れた屍兵と戦っていたのだけど、ヘンリーが追いつめられて足を滑らせ崖下へ転落したの。ガイアはそれに気づいてヘンリーを助けるために飛び降りて…」
「屍兵に追いつめられて…ですか」
「ええ…」
もちろん事実は違う。だが、ファウダーが現れたと正直に話す事ができなかった。
ファウダーと自分の関係は、協力要請のためペレジアへ訪れた際に、居合わせた者は知っている。
だけど今は、余計な心配をかけたくない…。
そして、ヘンリーが自ら飛び降りただなんて、言えるわけがなかった。
「それで、残ったルフレさんは屍兵をどうされたのですか?」
「二人に気を取られてて、気づいたら見失ってたわ…」
「ふむ、妙ですね…」
「…」
流石フレデリクと言うべきか…。いや、言ってる自分も違和感は感じている。
どう考えても、ファウダーを屍兵に置き換えた所で、しっくりくるハズがない。
分かってはいるが、まだ頭の中を整理出来ず、まともな言い訳が出てこない…。
「敵を目前に捉えていて、屍兵が何処かへ行ってしまうでしょうか…。ルフレさんに気づいていないとも考えにくいですね」
「覚えてないのよ…」
都合が悪くなった時の常套手段。こんな言葉を使ってしまうだなんて…。
「フレデリク、もう良いだろう。俺はルフレを信じる。三人とも無事なんだ。それだけで、じゅうぶんじゃないか」
「ですが、クロム様」
「今までずっと一緒に戦ってきたんだ。今さらルフレの何が信じられないと言うんだ?」
真っすぐなクロムの眼差しに根負けし、フレデリクは大きく息を吐いた。
「…そうですね。では、私も信じさせて頂きます」
フレデリクの言葉に頷き、クロムはルフレを見て微笑んだ。
「何かあれば遠慮せず言ってくれ」

クロムの言葉が胸に刺さる。
裏切るつもりはもちろんないが、自信がない…。
この先、またファウダーと対峙する事もあるだろう。
そのとき私は、自分を見失わずにいられるだろうか…。




いつ意識を失ったのか、気づくとそこは寝台の上だった。
痛い首を何とか動かして辺りを見回す。
「ここは…」
見慣れた天幕だ。
「く…」
身体が熱く重い。
そして激しい痛みに、起き上がる事もままならない。
これは自分が思っている以上に重症なのかもしれない…。

「ガイア、起きてる?」
「…ルフレか」
痛みに耐え、なんとか出入り口を確認する。
「大丈夫?痛み止め持ってきたわよ」
「…有り難い」
手伝ってもらいながら身体を起こし、薬を受け取り口に運ぶ。
そして一息つき、ここに居ない人の事を思う。
「ヘンリーはどうしてる?」
「まだ意識は回復していないけど、医師は命に別状無いって」
「そうか…」
安堵の息が漏れる。
海水から引き上げて言葉を交わし、無事を確認したつもりだったが、自分の腕の中でヘンリーは意識を失った。
その後の事は、自分自身も倒れてしまったらしく記憶が無い。
「ルフレ。あいつ、自分から飛び降りたよな?」
「ええ…」
だからこそ、障害物がなく一直線にヘンリーの後を追って、飛び降りる事が出来たのだ。
もし、行く手を屍兵に遮られていたら、助ける事は出来なかったかもしれない。
「クロム達には嘘をついたのだけど、ガイアには無理そうね」
「内緒にしといてやる」
ルフレは小さく頷いて、クロム達には言えなかった本当の事を口にする。
「ペレジア王が私たちの前に現れたの」
「王?」
「ガイアも見た事あるハズよ。ファウダーって男」
「ああ…」
名前はピンと来ないが、確かに見た事のある人物だ。
「懐かしいでしょ。あの時、盗掘目的だったハズなのに話しが違うって寝返ったのよね。クロムから聞いてるわ」
「そんな事もあったな。あれがペレジアの王になるとはね…」
直接ファウダーに雇われた訳じゃないが、確かにアイツが命令を下していた。
そして他の奴らは、躊躇う事無く聖王エメリナの命を狙ったんだ。
あの時のあの男がペレジア王…か。
「ガイアが何処まで知ってるか分からないけど…、私はファウダーと血の繋がりがあるらしいの」
「そうか。何かあるだろうなとは思っていたが、なかなかの驚きだな」
「それだけ?」
いつもの調子で言うガイアと対照的に、ルフレは不安な顔を覗かせる。
「ん?クロムは知ってるんだろ?なら、それが答えだ。俺が騒ぎ立てる事じゃないだろ」
「みんな、お人好しね…」
「何言ってんだ?おまえ」
もちろんルフレの気持ちが分からない訳ではない。誰だって、そんな事を告白されれば警戒もするだろう。
だからと言って、どうこうするのは俺たちの役目ではない。それは、クロムの役目だ。
「それで、何でヘンリーは身投げしたんだ?」
「分からない。けど、私の側にいちゃ駄目って言ってたわ」
「ああ、言ってたな…」
それは自分も聞いたなと、ガイアは腕組みをする。
その言葉を残して、ガイアの問いかけに答える事なく、ヘンリーは気を失ったんだ。
「ヘンリーが私の側から離れて、ファウダーは姿を消した。私、ヘンリーに助けられた気がするの…」
「あいつ、何か知ってそうだな…」
「ねえ、ガイア。多分、ヘンリーは私を避けると思う…」
今はまだ意識もなく寝台で横になっているが、また身投げでもされたらたまったもんじゃない。
そんな事態にまたなってしまったら、今度こそ命を落としかねないだろう…。
「そうだな、軍を出ていこうとするかもしれないな…」
「ええ、だからヘンリーの事、お願いね…」
「了解。お前も軍を抜けるとか、馬鹿な事は考えるなよ?」
「大丈夫。ファウダーの思い通りにはさせないわ」
信じてくれるみんなのために、もっと自分自身を信じてみようと思う。

未来は変えられるはずだ…。


希望ある未来に…。






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つづく

未来だの、希望だの、変えるだの変えられるだのと、言いまくりです。
FE覚醒はそういうモノだと思っています。え?私だけですか??
そんな感じで続きます。
どの章のあたり〜とかは決めていません。大体あの辺かな〜?な感じで読んで頂ければ。まあ、ifなので似て非なる物語ですので…。

3話目に続きます>>※18歳未満閲覧禁止です。

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