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FireEmblem 覚醒:希望に咲く闇 One編 7
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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<7話目>
※7話目も何も書き換えていません…。
ルフレとヘンリー(たまにガイア)の会話以外は元からハッキリとした邪竜との関係は言っていないので…。




朝靄の中、ルフレは野営地の外にいた。
少し肌寒い朝だったが、目を覚ました時よりは、幾分和らいだ気がする。
とはいえ、今日は起きてからずっと寝間着のままで、見ているこっちが寒く感じた。


「ルフレさん、風邪引いちゃうよ?」
リズはルフレに声をかけ、温かい飲み物を差し出す。
「有り難う…」
ルフレは飲み物を受け取り、ひとくち口にし小さく息を吐いた。
空気は冷たく息は冷やされ白くなり、ルフレの呼吸に合わせて揺れる。
「ガイアさんとルキナ、遅いね…」
「…うん」
視線をカップに落としたままのルフレをリズは心配そうに見つめた。


「あ」
急に白い息は大きく揺れ、ルフレは顔を上げる。
微かな声を上げ、持っていたカップは地面を転がり、リズの足下で止まった。
「ルフレさん?」
リズはルフレの異変に気づき、彼女と同じ方角に視線を向ける。
「あっ!」
野営地に続く道に、こちらに向かって来る人影が見えた。
「ガイア!ルキナ!…ヘンリーは!?」
ルフレとリズは駆け寄って声をかけるが、「すみません」とルキナは一礼し、急いで野営地の方へ走って行く。
そして残ったガイアは、腕の中にいるヘンリーを二人に見せ、一応の無事を報告した。
「心配かけてすまない。ヘンリーは生きてる。だが、このままでは…」
「そんな!応急処置するから、早く野営地の中に入って!」
リズは杖を片手に、ガイアを医療用の天幕へ案内する。
その天幕には既にルキナが居て、医療班の者が数人待機していた。
「わっ、準備はや!」
「ガイアさん、ヘンリーさんを寝台に…」
「ああ…」
ルキナに言われ、ゆっくりヘンリーを寝台に寝かせた。
生気を感じない顔色に、肌も衣服も血なのか泥なのか分からないモノで汚れ、破れた衣服から覗く傷が痛々しい…。
ヘンリーの表情は穏やかで、ただ眠っているように見えた。だがそれは中身の無い傀儡にも思え、ちゃんと呼吸をしているのかと心配になる。
「ガイア…」
「大丈夫だ、息はまだある。あとは俺たちの出る幕じゃない。外に出てようぜ」
ルフレの背中を軽く押し、ガイアは天幕を後にする。

ルキナとリズも天幕を離れて、広間の席に腰を下ろした。
ガイアもその場におり、ヘンリーを見つけた時の状況を説明する。
とは言っても、戦闘終了後だった訳で、伝えるべき事はそんなに多くはなかった。
「それって、ヘンリーは屍兵と戦っていたって事?」
「俺が見たのは、大量の焦げた屍兵だけだ。他は何も見ていない」
だからこそ屍兵と容姿の異なるヘンリーを見つける事が出来たのだ。
もし、他の人間の死体があれば、屍兵の中で髪の色や肌色が映え、ヘンリーの頭髪と同じく目につくだろう。
「どうして、ヘンリーだけ…」
リズは悲痛の声を上げる。
ここに居る人間で彼女だけは、ヘンリーの邪痕の事を知らない。
何故、そんな目に遭わなければならないのかと、リズは泣きそうな自分の顔を両手で覆う。
「誰かの差し金…、だとしたら?」
「ファウダーね。他は考えられない」
ガイアの問いかけに、ルフレは即言葉を返した。
その答えに頷きガイアは話を続ける。
「だな。ファウダーと対峙したのかもしれないな。屍兵は…まあ、おまけみたいなモンか」
「嫌なおまけだねぇ…」
覆った手を少し離してリズは言う。まだ泣いてはいなかったが、いつもの元気はもちろんない。
「あいつが屍兵に苦戦するようなタマかよ」
どんなに大量の屍兵に襲われようと、ヘンリーなら負けないだろう。
今までの戦闘を見ていれば分かる事で、アイツの魔力に至っては未だに底が知れない。
「でも、ファウダーがその場に居たのなら、よくヘンリーは生きてたわね…」
「いいや、確かに生きてはいたが、虫の息だったんだ。もし、死ぬ気じゃなかったら、ファウダーに捕まっていたと思う」
などと自分なりの見解を話してみるが、ファウダーが強いかどうかなんて全く知らない。弱くはないと思うが…。
「やっぱり、死ぬ気だったと…?」
「ああ、アイツは俺に別れの挨拶をした。お前にも迷惑かけたくないって言ってた。そして、消えた方が良いってな…」
「そんな…」
言葉を詰まらすルフレを見て、ガイアは小さく息を吐く。
「まあ、こんな話をしててもしょうがない。休んでこいよ、ろくに寝てないんだろ」
「ガイアさんも寝た方が良いよ。まだ、傷も癒えてないんだから」
話しを終わらせ空を見上げるガイアに、リズは心配そうに声をかけた。
ヘンリーを追って出て行ったガイアは明らかに手負いだった。回復の杖を使ったがそれは気休め程度で、まだ傷が癒えていない事は手当をしたリズが一番分かっ ている。
「ありがとな、リズ」
「ガイアさん…」
礼は言うが動こうとしないガイアに、リズは不安な顔を覗かせる。
「そんな顔するなって、俺は大丈夫だ。寝れそうにないから、もう少しここに居るよ。それよりリズ、ルフレを引きずってでも寝かせてこい」
余裕を見せガイアは自分からルフレに話題を切り替え、ちょっと伏し目がちだったルフレは慌てて口を開く。
「わ、私も起きてるわよ!?」
「ルフレ、男の前で寝間着姿のままってのは、どうかと思うぜ?」
そう言い、ガイアはわざと寝間着姿のルフレをじーっと見つめた。
「う…」
まじまじと見つめられると、流石に恥ずかしくなり、自然と顔が赤らめてしまう。
寝間着じゃなくたって、異性に見つめられる事なんて、滅多に無い事なのにと…。
「じゃな、おやすみ」
「お、おやすみなさい…」
ルフレは何か言い返そうとしたが、先に言葉を返されタイミングを失ってしまい、素直に挨拶を返してリズと共に広場を離れた。
そんな後ろ姿を見送り、ガイアはヘンリーが手当を受けている天幕を見つめる。
天幕からは誰も出てこない。
何かあれば人は出て来るだろう。良い知らせでも、そして悪い知らせだとしても…。

どれくらいの時間、天幕を見つめていただろうか…。
不思議と疲れも眠気もなく、ヘンリーが目を覚ますまで、このままずっと待っていれる気がした。
今日だけじゃなく、明日も明後日もずっと…。



―その日の夜。

昼間に休息を取ったせいか、変な時間にルフレは目を覚まし、天幕の外へ出た。
広間を覗いてみるがガイアの姿はなく、ホッと一息つく。
「…でもきっとヘンリーの所よね」
ちゃんと寝てれば良いけどと小さく呟き、夜空を見上げた。
昨日とは違い今日は雲ひとつなく、奇麗な星空が広がっている。
その星達に願いを込めて、ルフレは天を仰いだ。

「少し、良いですか?」
声がして空から視線を下ろす。
そこにはルキナが立っていた。
彼女の表情はいつも気を張った印象がある。今日もまたそういう顔だ。
「ルフレさん。あなたに聞いてもらいたい未来があります」

そう言って、切り出したルキナの言葉は…
彼女の見てきた未来は、衝撃的な内容だった。

ハッキリと私だとルキナは言わなかったけど、他の誰かなんて考えられない。
なぜなら、その未来で起きた出来事は、自分が見た夢にあまりにも…。

でも、未来を変えられるような気がした。

「ルフレさん。未来は変わるでしょうか?」
「ええ、変わると思う。私は絆を信じる。クロムとの、そしてみんなとの…」

「では、私も信じてみます」
「ルキナ…」


会話は短かったが、最後にルキナが少し微笑んだのが分かった。
その微笑みは、みんなに希望を与えるだろう。









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つづく

ゲームをプレイしてれば、分かると思う最後の下り…
わ、わかりますでしょうか?ドキドキ。

いつの間にか、ヘンリーの邪痕話から、未来は変わるかどうか?な、内容に…。
次で一応、完結です。

8話目に続 きます>>

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