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FireEmblem 覚醒:夢で逢えたら 2
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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広い草原に白い柵が途切れることなく並んでいる。
その先を見ようと目を凝らしてみたが、白い柵は白い線となって地平線の果てまで続いているようだった。
他に見える物は何もなく、ここは何処だったろうか?と柵にもたれかかって考え込む。

「よいしょ」
何処からか声が聞こえ、無意識に声の主を捜す。

「うーん」
さっきまで白い柵以外何も無かったはずだが、いつの間にか隣でヘンリーが柵に足をかけ唸っている。
「ねえ、ガイア。柵を越えるの手伝って〜」
「ああ」
何の疑問も抱かず、ヘンリーに手を貸す。
「ありがとう〜!」
「あ、ヘンリー。何処へ…」
聞きたい事がいっぱいあったが、ヘンリーは振り向く事なく柵の向こうへ去って行ってしまう。
見えなくなるのが早過ぎないか?と、ヘンリーの消えた先をガイアは見つめる。

「よいしょ」
「ん?」
声が聞こえ、また隣に目を向ける。
そこには先ほど柵を越えたヘンリーが居た。そして、また柵をよじ上ろうとしている。
「ヘンリー…」
「ねえ、ガイア。柵を越えるの手伝って〜」
「ああ」
言いたい事が色々あったはずだが、また手伝って柵の向こう側にヘンリーを行かす。
「ありがとう〜!」
「…」
そしてまた、隣から声が聞こえる…。
「よいしょ」
「ヘンリー…」
「ねえ、ガイア〜」
一体これは何なんだ?
何人のヘンリーが柵を越えて…

「よいしょっと〜!」
ひときわ大きな声が聞こえ、身体がびくっと反応する。
何人目のヘンリーだ?と頭の中で数えて身体を起こす。
「ガイアッ!危ねえぞ!!」
「!?」
いきなり野太い声で呼ばれ、マントを勢いよく引っ張られ視界がぶれる。
目線が定まらず、ここが何処だか理解できない。
「目を覚ませ!」
確か、草原で白い柵が…。
「いつまで寝ぼけてんだぁ?!」
地響きが聞こえ、土砂が足下に流れ着き、やっと今の状況を把握する。
「ヘンリー?」
「まあ、間違っちゃあ〜いねぇと思うが…」
崩れた土砂の向こう側で、微かに声が聞こえる。何処の言葉か分からない台詞は、たぶん呪文だろう。

ドンッッ!!!
ガラガラガラ…

爆音とともに目の前にあった土砂が飛び散り砂埃が高く舞う。
その砂埃の中から、聞き慣れた声がする。
「よいしょ」
「48人目…」
その姿を確認して、つい声が出てしまう。
「ん?」
「あ、いや…」
何でもないと誤摩化すようにマントの中の菓子を数え始める。48個も残ってはいないが…。
そんなガイアを横目に、ヴィオールは砂埃を払い、近づいて来る人物に声をかけた。
「ずいぶん早い到着だね。ヘンリー君」
「あはは、野営地の外を散歩してたら鳥さんに会ったんだよ〜」
笑いながら言うヘンリーの頭の上には鳩がとまっている。
そして手には魔道書が一冊。他に荷物らしい荷物は見当たらない。
「おや、じゃあ…、野営地には?」
「うんうん。早く来なくちゃって思って」
「食料の件は読んでくれたのかね?」
じろじろとヘンリーの全身を眺め、ヴィオールは訪ねる。
ガイアのように全身に隠しているというなら話しは別だが、ポケットすら無い衣服に食べ物が詰まっているようには思えない。
「もちろん〜、でも急いで来たから〜」
「おいおい、食料が一番重要だろ〜?」
「早く逢いたくて忘れちゃった。あはは」
「だ、そうだ。ガイア」
ヘンリーの笑いに、グレゴは呆れ顔でガイアを見る。
グレゴが言いたい事が分かるだけに、素直に再会を喜べない…。
「俺にふるなよ…」
「なに言ってんだよ。お前に逢うために急いできたんだろ?数えた甲斐があって良かったな」
「か、数えてないって言ってるだろ!?」
「じゃあ、48人目って何だ?」
「そ、それは、数えてたんじゃなくて夢で…」
夢の中で数えていたなんて言える訳もなく、もう一度マントの中の菓子を数える。
「48個ももう無ぇだろ」とグレゴはガイアに軽くツッコミを入れた。
「さて、食料もない事だし、急いで戻る事にするかね?」
「狩りでもする〜?さっき、熊を見かけたよ〜。あっちで」
来た道を指差してヘンリーは言い、その指先を見つめヴィオールは微妙な顔をした。
「貴族的に熊は遠慮願いたいね…」
「ん〜、じゃあ…」
ヘンリーは少し考え、今度は頭の上に手を伸ばす。
「ちょ、ちょっとキミ。それは、やめたまえ。その鳩は非常食ではないのだよ?」
「え〜?美味しそうだけどな〜」
頭から腕に移動した鳩に、ヘンリーは顔を近づけ頬をスリスリする。
お互いどう思っているか分からないが、ヘンリーも鳩も満足そうな表情をしていた。
そしてヴィオールの顔色は青白く変化していく…。
「熊で決定だな」
そんな二人を見てガイアは狩りをするぞと、颯爽と熊の居るらしい方へ歩いて行く。
グレゴから逃げるようにガイアはひとり先へ進む。

「おーい、48人目のヘンリーを置いてくなよお?」

「ヘンリーは1人だ!」

グレゴに声をかけられ思わず振り向いて叫んでしまう。

確かに夢の中には大量に居たが、現実世界では唯一無二の存在だ。
48人も必要なんてない。

振り向いた視線の先でヘンリーと目が合い、つい足を止めてしまう。
すぐ歩き出そうと思ったが、結局ヘンリーが横に並ぶまで目を離す事が出来なかった。


やっぱり夢より本物だよな


なんて改めて思ってしまう。





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おわり。

メルヘンのつもりで…48人のヘンリーです。
どの辺がメルヘンなんだよ?とツッコミが入りそうですが…ガイアの夢のトコロのつもりです。

そして、たいした大人でもないグレゴさん…。
ヴィオールの方が落ち着いてて大人に見えるかもですね。

とりあえず、ヘンリーの頭の上の鳩が書けて満足です。

かなり変な内容だと思いますが…少しでも愛を感じて頂ければ幸いです。
カワイイ作文のつもりですが、ズレてますかね…。

誤字脱字がなければ良いなーと、いつも思います。


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