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FireEmblem 覚醒:眠れぬ夜のひつじたち 後編
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FireEmblem覚醒

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ヘンリー誘い受け(ケアル感謝祭リクエスト)
後編です。


翌日。
まだ薄暗く、東の方角だけ少し明るい。微かな光は澄んだ空気をすり抜け、野営地を照らしていた。

まだ寒く布団から出るのは億劫だったが、眠りが浅かったため直ぐ目は覚めた。
いつもより早めに起床し、ヘンリーを無理矢理起こす。
起こされたヘンリーは目をこすりながら挨拶をする。
「おはよう〜、朝早いね〜」
「お、おはよう、ちゃんと寝れたか?」
眠そうに挨拶する姿が不覚にも可愛く感じてしまい、慌てて視線をそらす。
そんなガイアを見て変に思ったかどうかは分からないが、ヘンリーは大きく伸びをした。
「うん〜。良く眠れたよ〜。ありがとう〜、ガイア」
「…そりゃ良かったな」
会話はちゃんと出来ているが、まだ眠いらしく寝台から立ち上がろうとしない。
「早く戻った方が良いぞ。そんな格好で人に遭ったら厄介だろ」
外に誰もいないのを確認して、ヘンリーに自分の天幕へ戻るよう即す。
ヘンリーの天幕がどの辺にあるかは知らないが、そこまで確認する気は流石に起きなかった。
自分の天幕を出入りしているところ以外は見られたとしても、さほど問題は無い。
寝間着一枚で外を歩く姿を目撃されて変に思われるのは、ヘンリーだけなのだから…。

やっとひとりになった天幕で、ほっと一息つく。
朝食までは、まだ時間がある。
眠気がまだ残っているガイアは、もう少し寝る事にした。
ヘンリーは良く眠れたと言っていたが、ガイアは数えていた羊が柵をすり抜けて走って行くほど寝付けなかった。
「やっぱり、寝るのはひとりが一番良いな…」
大きくあくびをして、ひとりになった寝台で今度こそゆっくり就寝した。


どれくらい過ぎた頃か、外からリズの声がして目が覚める。
「お昼ご飯出来たよー!早く来ないと無くなっちゃうよー!?」
「な!?」
まさかと思い、ガイアは飛び起きて勢いよく天幕を出た。
「リズ!今、昼って…」
いきなり後ろから声をかけられ、リズは飛び上がった。
「わっ!」
「朝食は…」
「え?もう、お昼だよ…?」
言われてガイアは、思った以上に昨夜は寝れてなかったのかと溜め息をついた。
そして、寝付けなかった原因が頭をよぎり、さらに溜め息をつく。
「ガイアさん?」
溜め息ばかり付いているガイアをリズは心配そうに見てくる。
それに気づき、作り笑いをリズに向けた。
「あ、いや、何でもない。いつも呼びにきてくれてありがとな」
そう言いながら、また溜め息をついて食堂へ向かった。
そんなガイアの後ろ姿を見つつ、リズは呟いた。
「…。わたし、変な事言ってないよね…?無くなっちゃうって言ったの駄目だったのかな…」

食堂に着き、配給係から食器を受け取り、自分で皿に料理をのせる。
朝食を食べていないからか、つい多く盛ってしまった。
いつもより量のある食事を持って、適当な席に座り黙々と食べる。
特に誰とも顔を合わす事無く食べ終えて、一息つく。
午後も特に用事はなく、空になった食器を眺めながら、なんとなく物思いに耽った。
今は戦争中なのに、やる事がないというのは自分が怠慢なだけなのか?それとも軍全体もそうなのか…。
今回の野営地は山間付近に設営されていて、人里がとても遠い。
作戦あっての事なのかもしれないが、かなり不便だ。
遊びに出ようにも街どころか村すらなく、閉鎖的な環境で欲求が溜まってくる。
解消法としては…、フレデリクあたりなら訓練と言うだろう。もちろん訓練をする気はない。
「はあ、菓子は買いに行けないし、なら作るか…て、材料すら買えないんだよな…」
いつまでこんな日が続くのかと、今日何度目かの溜め息が出た。

結局何もせず、夕食もいつも通り食べて、いつもより早く天幕に戻った。
昨日より暖かいが、今日もワインを温めて、ひとりで暖をとる。
今日は来ないだろうかと思い、昨夜の出来事が頭に浮かんできた。
結局は寝顔に触れる事無く、羊を数える事で感情を誤摩化し無理矢理寝たわけだが…、男相手に何考えてるんだと焦り動揺した。
そういう衝動に駆られてしまったのは、たぶん遊べない環境に長く留まっているせいだろう。
「こういう時、盛り場に行けないのが辛いな…」
いつまで今の野営地に留まるのか、そんな事を考えながらワインを飲み干した。

どうもスッキリしないが、やる事も無く早めに布団に入る。
昼間寝すぎたためか睡魔も来ず、ついまた昨夜の事を思い出す。
「はあ、駄目だな。違う事を考えないと…」
そう呟き、また羊を数え始めた。
今日は最初っから柵は無く、羊は快適に走って行く…。

羊を30匹ぐらいまで数えたところで、天幕の出入り口が開けられた。
ガイアは頭の中の羊を追い払い、開けられた出入り口を確認する。
「誰だ?」
「遅くにごめんね〜。今日もお邪魔していいかな〜?」
昨日より遅い時間だが、天幕に来たのは今日も寝間着一枚のヘンリーだった。
「なんでまた寝間着だけなんだよ…」
「着替えるのめんどくさいからね〜。だから人に遭わないように遅い時間に来たんだよ〜。ほら、着替えは持ってきたよ〜?」
そう言って、着替えを見せて微笑む。
まったく悪気が感じられないその態度に、溜め息が出た。
「今日は昨日ほど寒くないだろ?」
「そうだね〜。でも、寝れなくって〜」
ガイアも寝れないでいる訳だが、二人の寝れない理由は多分違うだろう。
また一緒に暖を取るのもアリだが、今日は帰ってもらった方が良い気がする。自分のために、というよりはヘンリーのために…。
「悪いんだが、今日は無理だ。他の奴んとこに行くか、ひとりで寝てもらえないか?」
「え〜?やっぱり、昨日邪魔だった?」
「いや、邪魔とかじゃないんだが…。とにかく駄目だ」
とても言えるような理由ではないが、駄目な理由として邪魔だとは言いたくなかった。
どう言えば、帰ってくれるかと考える。
自分の都合で帰れと言うのだ、できるだけ傷つけない言葉を探す。
「何処か具合でも悪いの?」
言いながらヘンリーは、ガイアの寝ている寝台に近づいてくる。
「あ、待て!大丈夫だ、こっち来なくていいから」
「もしかして僕のこと嫌いだった?だったら帰るね〜。お邪魔しちゃって、ごめんね」
「あーいや、違う!待てっ!そうじゃないから」
「え〜?どっち…」
来なくていいと言い、次は待てと言うガイアに、ちょっと困った表情をする。
その表情を見てガイアも困った。
「何というか…。お前も男なら分かるだろ?まあ、男同士だけど察して帰ってもらえないか…」
「うんうん、分かるよ〜」
いつもの笑顔で相づちを打ち、ヘンリーは寝台で横になっているガイアの隣に座った。
「ヘンリー…、お前わかってないだろ。俺が変な気起こす前に、早く戻れって」
「分かってるよ〜?」
そう言って、今度は布団をめくってガイアの上に乗っかってきた。
 「な、なにやってんだよ!?」
さすがに乗っかられ平常心でいられるハズがなく焦る。
怒鳴りはしたが自分を退かそうとしないガイアの上からヘンリーは言う。
「我慢は体に悪いよ?無理しないでね〜」
「本当にわかってるのか?どういうことか…」
「こういうことでしょ?」
ヘンリーはガイアの右手をとって、寝間着から見えている太股に触れさせる。
昨夜は寝顔に触れようとして思いとどまったのに、いきなり太股を触る事になり一気に欲望がふくれあがった。
触れた肌は思った以上に滑らかで肌触りが良く、そして心地よい温かさだった。
もっと触れてみたくなり、自ら手を動かし寝間着の奥へ移動させた。
脚の付け根まで移動させて、肌の感触を再度確認する。
そして、ある事に気づく。
「ヘンリー、おまえ…」
「なに…?」
「いや…」
触りながら、ヘンリーの顔を眺める。
流石にいつもの笑顔ではなく、少し恥じらっているような表情だった。
少し紅潮した肌が、色っぽく感じる。

ガイアの右手は後ろへ回され、そのまま普段は隠れている部位を中指で触れた。
いきなり触れられ、ヘンリーの体が反応する。
「あ、まって…」
待ってと言われて手を離し、起き上がってヘンリーと自分の位置を入れ替える。
そして、抱きしめてヘンリーの顔を覗き込んだ。
「いきなり触って悪かった。まあ、一応確認のつもりだったんだが…おまえ、下着は…?」
「着けてないよ〜?」
「まさか、昨日もか?」
「うん、面倒くさいしね〜」
「…本当に面倒くさいだけか?」
今日のヘンリーの行動を考えると、それだけには思えなかった。
そもそも寒いと言いつつ、寝間着一枚しか身につけていないのがおかしい気がする。
「もしかして、そのつもりで来てたのか?」
訊かれてヘンリーはいつもの笑顔をみせる。
「ふふ、どうだろうね〜?」
「本当に読めない奴だな…。そういえば、誰でも良いとか言ってたよな…」
ふと思い出して、寝間着を脱がそうとした手を止める。
「言ってないよ〜?」
「誰の天幕と間違えたか訊いたら、誰だろって言ってなかったか?」
「うん、ガイアの天幕を探してたんだよ。入った天幕にガイアが居たから間違えた訳じゃないんだよね〜。誰と間違えた訳じゃないから誰だろ〜?って思ったんだよ〜」
分かるような分からないような…なんかややこしくて理解するのが面倒だ。
取りあえずは、誰でも良いわけではないって事は、分かった気がする。
「俺で良いんだよな」
「うん。ガイアのこと好きだからね〜」
「な、ここで言うのかよ…。もっと早く言ってくれれば…」
多分、羊を数えたり、追い返そうとしたりしなくてすんだだろう…。
なんだかんだで自分もヘンリーを好きなんだと感じた。だからこそ、傷つけたくなくて強く拒否する事が出来なかった。
「いきなり言うと変な人って思われちゃうからね〜」
「じゅうぶん変な奴だろ…」
ちょっと呆れた表情をしてから、軽く唇を重ねた。

脱がしかけていた寝間着を床に落とし、強く体を抱きしめる。
流石に欲望を抑える気はもうなく、欲するがままにヘンリーを求めた。



欲望と快楽に満たされた夜は長く続いた…。


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おわり

ヘンリー誘い受けという事で…夜這いとはちょっとベタだったかもしれませんね;
ヘンリーの寝間着ですが、一枚ペロンって着てるイメージがあってこうなってしまいました。
下着については…どうなんでしょうね。
なんか無駄に羊が走っています…読み終わるとタイトルのヒドさが分かります…。

積極的な?ヘンリーは如何だったでしょうか…?

読みにくいところが多々あったかもしれませんが(いつもですが…)
最後まで読んで頂き有り難うございます。
そして、リクエスト有り難うございました!



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