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FireEmblem 覚醒:ガイア誕生日 後編
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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誕生会が終わると、そのまま同じ場所に夕食が用意された。
夕食時には、それまで居なかった男性陣もやってくる。
夕飯を好んで抜く奴なんて居ないだろうから、当たり前なのだが…。ただ、ヘンリーだけは来ていなかった。
何処に行ったのか気にはなるが、取りあえず食事を済ませて自室に戻る事にする。
途中、ヘンリーの部屋にも立ち寄ってみたが、居る気配はなかった。

テーブルの上に誕生日プレゼントを積み上げてイスに腰を下ろす。
そして何個か開けてみると、予想通り菓子ばかりだった。
「余計な物が無くて、有り難いな」

コンコン
「ガイア〜、戻ってきてる〜?」
菓子を眺めていると、ノックと共に聞き慣れた声が耳に入ってきた。
イスに座ったまま、扉に目を向ける。
「ああ、入れよ」
やっと姿を現したかとホっとする。だが、何やってたんだという気持ちもあり、少し不機嫌に返事をしてしまう。
「お邪魔するね〜」
笑顔でヘンリーが扉の向こうから顔を出す。
「何処行ってたんだ?誕生会どころか、夕食にも来てなかっただろ」
「色々してたら時間無くなっちゃった。でも、お腹減ってないから平気だよ〜」
「機嫌悪くしてたのかと、心配してたんだぞ…」
「ええ?何で??僕はいつでもゴキゲンだよ〜。あ、それ誕生日プレゼント〜?」
ガイアの心配を他所に、テーブルに近づき積み上げられたプレゼントの箱を眺める。
「ああ、そうだ。見事に全部、甘い菓子だぞ」
「あはは。みんなガイアの事わかってるんだね〜」
ヘンリーは楽しそうに笑う。
完全にガイアの不機嫌は無視されている…。
まあ良いかと、菓子と一緒にあった紅茶の瓶を手に取り席を立つ。
「折角だし貰った菓子で、お茶でもしようぜ」
「僕も食べて良いの〜?」
「もちろんだ。ただし、一点物の菓子は駄目だからな」
「あはは。はーい」
棚からカップを二つ取り、お湯を沸かす。
その間も会話はしていたが、今日ヘンリーが何をしていたかは、まったく話題に出てこなかった。
ガイアから訊けばいいだけの事ではあるが、人の詮索は好きじゃない。
もやもやした気持ちのまま紅茶をカップに注ぎ、プレゼントの箱を開けて菓子を並べる。
「わあ、一杯あるね〜。紅茶も美味しそうだな〜」
「そうだな。それは多分、マリアベルからだな」
「ふふ、菓子も高級そうだね〜」
そんな会話をしながら、ゆっくりとした時間を過ごす。

数箱空にしたところで、ヘンリーの横にある箱に気づく。
今日貰ったプレゼントの中には無かった包装で、多分ヘンリーが持ってきた物だと予想がついた。
「ヘンリー、それ…」
プレゼントか?と訊きこうとしたが、先にヘンリーが言葉を被せてくる。
「これね〜、プレゼントだよ〜」
言いながらヘンリーは箱を手に取って、ガイアの手の届かないテーブルの端っこに置いた。
「え?プレゼントなんだろ?」
やっぱりプレゼントかと手を伸ばしたが、遠くに持ってかれて手は行き場を失う。
その手をヘンリーは握って、にっこりと微笑んできた。
何を考えているか分からず、じっとヘンリーを見つめる。
「恥ずかしいから、まだダメだよ〜。僕が居ない時に開けてね〜?」
「えーと、俺の誕生日はあと数時間で終わるんだが…。いつ開ければ良いんだ?」
「いつだろうね?」
「取りあえず、誕生日過ぎてからだろうな…」
「じゃあ、今日はもう戻ろうか〜?」
ヘンリーはそう言って席を立つ素振りをみせた。
決めていた訳ではないが、今日も一緒に夜を過ごすと思っていたため、ちょっと焦る。プレゼントを開けるために追い返すなんて流石にありえない…。
「いや、ちょっと待てって」
席を立つのに離しかけた手を今度はガイアから握り返す。
「開けないから居ろよ」
言って握った手を自分の方へ引き寄せる。
「わっ…」
予想外の行動に、ヘンリーは少しバランスを崩しガイアにもたれかかった。そして、そのまま受け止められ膝の上に座る格好になる。
少し強引に引き止めるガイアが、らしくなく思えて心配そうに様子を伺う。
「冗談だよ〜?ちゃんと居るよ、ゴメンね?」
「いや…、誕生日の夜を独りにされるのかと思って焦った…」
「あはは。ガイアは寂しがり屋さんだね〜」
「お前にだけだからな」
ヘンリーの頬に手を添え、顔を近づけて唇を重ねる。

「ふふ、甘い味がするね」
「そうだな…。よし、このまま甘い夜でも過ごすか」
「え〜、今日は恥ずかしい事をよく言うね?」
「今のは別に恥ずかしくないだろ?」
そう言い、自分の上に座らせていたヘンリーを担いで寝台へ移動した。

ーーーー

寝返りを打ち、少し寒さを感じて薄目を開けた。
辺りはまだ薄暗かったが、体を起こして隣を確認する。隣ではヘンリーが静かに寝息をたてている。
起こさないように布団から出て、寒くないようにそっと布団をかけ直す。
そして上着を一枚羽織って寝台を離れ、テーブルの上に置いてある箱に手を伸ばした。
「寝てるから開けても良いよな…」
手に取ったのは、ヘンリーが持ってきたプレゼントだ。
居ない時に開けてと言われてはいたが、やはり中身が気になる。あと、出来れば居る時に開けて、有り難うという言葉も一緒に告げたい。
音を立てないように静かに包装を取って箱を開ける。
中には、ケーキと焼き菓子が数個入っていた。
「手作りっぽいな…」
ケーキは常温にあったせいか、生クリームが少し溶けて形もちょっといびつだった。上に添えられているチョコレートの板には『ガイア お誕生日おめでとう』 と書かれている。
焼き菓子の方も、不揃いの形がいかにも手作りな感じだ。
恥ずかしいって言ってた事から、多分ヘンリーが作った物なのだろう。
「アイツ、よく菓子作れたな…」
過去に数回、ガイアの作っているところは見ているし手伝ってくれた事もあるが、自ら作るところは想像出来ない。
昨日、誕生会や夕食に来なかったのは、多分コレのためだろう。健気なヤツだなと、つい笑みがこぼれる。
プレゼントを嬉しそうに眺めていると、寝台から不満の声が聞こえてきた。
「あ〜、開けちゃったの〜…?」
「ん、ああ、起きたのか。おはよう、ヘンリー」
振り向き、ちょっと気まずそうに挨拶をする。めちゃくちゃ怒られたりはしないと思うが…。
「おはよう、ガイア。まだ開けちゃダメだよ〜」
「寝てたから良いと思って。それより、一人で作ったのか?」
「うん、そうだよ〜。何回も失敗しちゃった。慣れない事はしちゃ駄目だね〜、失敗作でお腹いっぱいになったし。あはは」
駄目と言いながら怒る様子はなく、ちょっと頬を赤らめて笑っている。
本当にただ、慣れない事をして恥ずかしかっただけなのだろう。

「じゃあ、食べるか」
「え〜、こんな時間に〜?」
「これ以上、常温に置いとくのは可愛そうだろ。それに食べたいからな」
まだ薄暗い部屋の中をヘンリーは見渡し、時間を確認する。
「う〜ん…。午後じゃないけど、おやつの時間ではあるのかな〜」
「ヘンリーも食べるだろ?」
「食べ飽きたけどね〜」
「俺の誕生日祝いなんだから一緒に食べようぜ」
皿を二枚用意して、ケーキを切り分ける。
もそもそと寝台から毛布を引きずってヘンリーはイスに腰掛けた。
「寒くないか?」
「平気だよ〜」
言いながら、ケーキの乗った皿を受け取る。
「よし、いただきます」
ガイアはケーキにフォークを刺し口に入れた。
その動作を、ヘンリーはじーっと見つめている。
「どう〜?たべれる?」
「ああ、うまいよ。菓子作りの才能あるんじゃないのか?」
「そうかな〜?でも大変だったから、もうヤダ」
「そう言うなよ。来年の誕生日も期待してるぜ?」
「え〜、それはどうかな〜?」
笑顔のまま小首をかしげて、皿の上のケーキをフォークで切り分ける。
「1年に一回ぐらい、いいだろ…」
「ん〜、一緒に作った方が楽しいし美味しいと思うよ〜」
「誰の誕生日だよ…」
「ガイアだよ〜?」
そう言い、ケーキの刺さったフォークをガイアの口元に持っていく。
「ん?」
「お腹いっぱいだから、僕の分もあげるよ〜」
「ずいぶん可愛い事してくれるな…」
差し出されたケーキを頬張り、ちょっと照れくさそうにヘンリーを見る。
「ガイア、お誕生日おめでとう〜」
1日過ぎてはいるが、二度目の「おめでとう」を聞く。

「ありがとう、ヘンリー」

「ふふ、いっぱい食べてね〜」
ヘンリーは優しく微笑み、次のケーキをフォークに乗せる。

1日過ぎてしまった朝方の甘い誕生会は、
もう少しだけ続いた。




ーーーー
おわり。

ガイアなだけに?甘い内容を頑張ってみました。ベタな内容ではありますが…。
ナニの描写は全てすっぱ抜けてます。その辺はご想像でどうぞ…。
可愛く幸せに、そして甘〜いを…。そんな雰囲気を感じて頂けると幸いです。む、むりかしら;
と、とりあえず、ガイアお誕生日オメデトウ!!

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