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FireEmblem 覚醒:距離感
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FireEmblem覚醒

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軍内で遠距離という変な話しです…。恋愛かどうかも謎です。
相変わらずヘンリーの過去は痛く捏造です。
※18歳未満閲覧禁止です。




惰眠から目を覚ますと、遠くから見てくるヤツがいる。
寝てなくても、たまに目が合い、遠くで笑っている。なんとなく、菓子を食いながら、ついつられて微笑んでしまう。
よく目が合ったが、鬱陶しいとは思わなかった。監視されているという感じでもなく、嫌な気はしなかった。
なぜか視線を感じる訳じゃなく、たまたま目が合う…偶然かどうかはわからないが、そんな感じだ。
ちょっとずつ気になりだし、目が合うたびに色んな菓子を見せたり、身振りで声の無い会話を楽しむようになった。

たまにはもっと近づいてみるかと、菓子を渡そうと手招きをしてみる。
しかし、笑いかけてくるだけで、その場から離れて行ってしまう。
そしてまた、遠くで微笑む。

つきまとわれるのは好きではなく、この距離感が心地良い。
だが、相手への興味は深まり、もっと近づいてみたいと思ってしまう。

なのに近づこうとすると躱され、また遠くで微笑む。
強引に近づく気はなかったが、欲求が膨れ上がってきている事に気づいてしまう。
近づけないのが焦れったく愛しく感じ、それは日を追う毎に違う欲求に変わっていく…。





野営地の端に設営されている少し大きめの天幕には、日付をまたいでも明かりがまだ灯っていた。
中では眠い目を擦りながら数人、戦闘で使用した武器の手入れをしている。

「今日は、これくらいにして、また明日にしましょう」
この軍の軍師はそう言い、手入れをしていた武器を床に置いた。
言われて他の兵士は作業を中断し、後片付けを始める。
「お疲れさま」
「おやすみー」
簡単な挨拶を交わして、兵士達は天幕を後にした。
軍師は最後に天幕を出ようとしたが、まだ作業を続けている者が居るのに気づき声をかける。
「二人は寝ないの?」
「ん?ああ、俺はまだ眠くないから、もう少しやってくよ」
訊かれて、一人はそう答える。
「ヘンリーは?」
「僕〜?…僕も、もう少し〜」
手を止めてニッコリと笑う。
「頑張るわねー。私は先に戻るけど、無理しないでちゃんと寝るのよ」
「はーい。ルフレ、おやすみ〜。また明日〜」
「おやすみー。ヘンリーとガイア」
「おやすみ」
最後にガイアが短く挨拶をし、ルフレは伸びをして天幕を出て行った。
少し大きめの天幕は二人だけとなり、沈黙の時が流れる。

無言のまま作業を黙々とこなし、手入れの必要な武器が残り数本だけとなった。

「…、頑張りすぎたか」
「ガイアは寝ないの?」
やっと口を開き、手を止めてヘンリーはガイアに訊いた。
「…まだ寝れる気がしないからな。お前は?」
「僕も…、もう少し」
「この調子だと全部終わりそうだな」
「うん、そうだね〜」
「…」
会話は途切れ、また沈黙が続く。

あと刃こぼれのある短剣が一本というところで、ガイアはヘンリーに視線を向けた。
「そろそろ戻ったらどうだ?」
訊かれてヘンリーもガイアの方を見る。
「ガイアは〜?」
「俺の事は別にいいだろ」
「まだ起きてるなら、僕も起きてようかな」
「…、俺に合わせるなよ」
溜め息をつき、途中の武器の手入れを再開させる。
その様子を眺めていたヘンリーは、手入れの終わった武器に視線を移して呟く。
「別に合わせてる訳じゃないけど〜」
「じゃあ何だ?」
「僕も寝れないから…」
「そうか、なら自分の天幕で起きてろよ」
素っ気なく言葉を返す。
またヘンリーはガイアに視線を移した。
「ここに居たら駄目?」
「駄目じゃないが…」
「なら良いよね?」
「襲われてもいいならな、俺に」
武器を手入れしつつ、目だけでヘンリーを見る。
そのガイアの視線が、さっきまでと違うように感じるのは、言われた言葉のせいだろうか。
少し不安そうな視線をヘンリーはガイアに向けた。
「僕を?」
「ああ、寝れない理由はソレだからな。自分は男だからって油断するなよ。男は女と違って、そんな事されても誰にも言わない。なら、女より都合いいだろ?」
そんな事を言われたところで、返す言葉がみあたらない。
肯定する気はもちろんないが、否定する事も出来ず黙り込んでしまう。
「…」
「分かったら、早く出てけよ」
「この武器、棚に戻したら…」
そう言い武器を持って立ち上がり、ガイアの後ろの棚に移動する。
ヘンリーの動作を目で追いながら、手入れの終えた武器を床に置く。
「そこにずっと立ってるなよ」
「もうちょっと…」
急に視界が回り、言い終わる前に床に背中を打ち付ける。
「っ!」
視界が戻って橙色の頭髪が目に入り、転んだのではなく押し倒されたのだと理解した。
見上げると至近距離にガイアの顔があり、少し苦痛な表情で見てきていた。背中を打って痛いのはヘンリーのハズだが…。
「逃げろよ」
「でも…」
「分かってるんだろ?嫌じゃないのか?拒否しろよ?」
ガイアの手は床を付いており、組敷いたヘンリーの身体には触れていない。女でも簡単に逃げる事が出来るだろう。
「…」
「早く逃げろって…」
「…」
「いいのかよ?」
ヘンリーは答えず無言のままだ。もうガイアの方は見ておらず、目も閉じている。いつもの笑顔ではないが、やはり何を考えているのか分からない。
ここで逃げてくれれば、追いかけるつもりはなく、気持ちの整頓がつく。
そう思って感情をぶつけてみたが反応が薄く、かえって自分を止める事が出来なくなってしまう。
「くそっ!」
もうどうにでもなれと舌打ちをし、ヘンリーの腰に巻かれている布に手をかけ、力任せに下着ごと一気に下ろした。
下半身が露になっても、拒否する様子はなく、相変わらず反応も薄い。
そのまま中心に触れてみるが、少し身体を動かすだけで、嫌がる素振りはみせなかった。
「どうして、されるがままなんだよ…。近づこうとすると、いつもは逃げるくせに…」
「…」
どんな酷い言葉でもいいから、何か言って欲しいと苦痛な面持ちで言葉を待ったが、何も返ってこない。
止めていた手を太股に移し脚を開かせ、後ろの穴に中指を立てる。
少し眉をひそめるだけで、他に反応は何も見せない。
もう何も訊く気にはなれず、中指を強く押し入れる。当たり前のように乾いているそこはキツく、このまま強引に入れるのは躊躇われた。
手を離して何か無いかと辺りを見回し、足下に瓶が転がっているのに気づく。押し倒した時に引っ掛けたのか、中の液体が床に流れ出ている。
瓶に手を伸ばして中の液体に指を浸ける。瓶の中の液体は武器の手入れに使用していた油だ。
指でその油の感触を確かめて、先ほど指を立てたそこに塗り付ける。それでもヘンリーは反応を殆ど見せない。
油で少しずつ滑りが良くなり、中指が抵抗なく中に入る。次に人差し指を押し入れて、二本の指で中を掻き回す。
「…う」
「今更、文句言うなよ…」
そう声をかけたが、別に返事を聞くつもりはない。どうせ、黙りだろうと…。
入れた指二本を中で離して穴を広げ、もう一本増やす。
油のおかげか抵抗なく三本目の指を飲み込み、やらしい音を立てて指が動く。
「…あ…っ」
ヘンリーが控えめに声をあげると、指は抜かれて代わりにガイア自身が押しあてられた。
丁寧に慣らしたとは言えないそこに、無理矢理入れていく。
相変わらず言葉は口にしないが、痛みを耐えているのは表情で分かった。
その表情を眺めつつ、徐々に激しく腰を動かし、欲望をヘンリーの中へ押し込める。
脚を肩に担ぎ、上から体重をかけて自身をさらに押し入れて、中で何度も往復させた。
「っは…あぁ…」
次第に痛みが快楽にかわり、我慢していた声が漏れ始める。
さらに動きは激しくなり、最後は一気に奥まで突かれて中に全てを出されてしまう。
「ああっ…!」
その感覚が熱く奥まで押し寄せてきて、我慢出来ず欲望を外へ放った。

無言のまま身体を離さず、少しだけ余韻に浸る。

間を空け、ガイアはゆっくり身体を離し衣服を整え、少し離れた場所に移動した。
「俺は自分の天幕に戻るから…」
「待って…」
天幕を出ようとしたガイアを呼び止め、その背中にヘンリーは言葉を続ける。
「ガイア、ごめんね…」
「お前が謝るのは、おかしいだろ」
足を止めて、ヘンリーの方を振り向く。
ヘンリーは起き上がってはいるが、まだ衣服の乱れを直していない。
「早く、服着ろよ…」
「ごめんね…」
「だから、謝るなよ…」
「僕、ガイアを利用しちゃったんだ…」
「利用?」
何の事か分からず、聞き返す。むしろ、欲求を満たすために利用したのは自分ではないかと…。
「昔された嫌な事を…、好きな人がしてくれたら忘れられるかもって…」
「好きって…」
「ありがとう〜ガイア、ちょっと嬉しかったよ〜。なんか変な事を言ってるね、僕。あはは」
ヘラヘラ笑いながら衣服を持って立ち上がろうとしたが、中に出されたモノが脚をつたって流れ、動作を止めてしまう。
「あ…」
「ヘンリー、動かないでそこに座ってろ」
「…でも」
「水浴びの用意してやるから、嫌じゃなければ上も脱いで待っててくれ…」
そう言って、ガイアは天幕を出て行った。

ガイアが戻ってくるまで、ヘンリーは言われた通り座って待った。ただ、上半身は服を着たままで。
水浴びの準備を済ませ、ガイアはヘンリーに近づき声をかける。
「触れて良いか…?」
「うん…」
優しく抱き上げて、用意した簡易的な浴槽にヘンリーをゆっくり下ろす。
「濡れないように上も脱いだ方が良いんだが…だめか?」
水をかける前に、一言訊く。
「ごめんね。えっと…、自分でするから…」
下を向き、控えめに答える。
「いや、俺にやらせてくれないか?」
「どうして?。僕はガイアを…」
「だからだよ。まだ、好きでいてくれるなら…」
下を向いたままのヘンリーをじっと見つめる。
ヘンリーは確かに好きだと言った…。でも素直に受け入れるのを躊躇ってしまう。「ありがとう」と言ってくれたが、自分がした事は最低な事だ…。
なのにヘンリーは…、
「うん、好きだよ。嫌いになんてなれないよ…」
その言葉が、刺さるように胸が痛い。そして、後悔だけが頭をよぎる。
「どうしてそんなに…。少しくらい俺を軽蔑しろよ、拒否しろよ…」
「出来ないよ、好きだから」
ヘンリーは顔を上げる。その表情に笑みはない。
笑えるような話しの内容ではないのは確かだが、いつもの笑顔を奪っているのは間違いなくガイア自身だ。
もちろん奪いたかった訳じゃない。誰だって笑顔でいて欲しいに決まってる。
「俺にも言わせてくれ、お前の事を好きだって。誰でも良かった訳じゃないんだ。都合がいいって思われるかもしれないが…」
「思わないよ。よく目が合ってたよね?遠くからでも気づいて笑ってくれたり、菓子を見せてくれたり…。それが嬉しくて、勝手に好きになっちゃったのは僕だし。好きって言ってもらえて嬉しいよ」
「だが、近づこうとしたら、逃げたよな?」
そう、それが全てだった気がする。お互い認識してたハズなのに、距離を縮めようとすると躱され…焦れったく、不満を感じるようになっていったんだ。
「…それは、怖かったから。ガイアの自由を壊しちゃいそうで…、嫌われちゃうんじゃないかって…」
「お前も自由人のくせに、俺の何を壊すんだよ…」
「僕の自由は自由じゃないよ。ずっと施設や軍に束縛されて、そこから抜け出すのに必死だったんだ。やっと自由になれたと思っても、自由が何なのか分からな くって、自分なりに自由を考えて行動してみても、他の人には変な目で見られてばっかり。そんな僕がガイアに近づいたら、ガイアの自由までおかしくなっちゃ うよ」
自由は好きだが、そこまで自由について考えた事はなかった。
ヘンリーに言われて、ちょっと考えてはみるが、自由こそ人それぞれではないのかと思う。
「どうだろうな…。俺の自由なんて、自分の興味の無いモノには首を突っ込まないだけの事だよ。利益にならない事は避けて、やりたい事だけをやってるだけだ」
「うーん、良くわからないよ?」
ヘンリーは首を傾げてた。
ガイアなりの自由を分かりやすく言ったつもりだったのだが…、自由という言葉自体漠然としていて理解しずらいのかもしれない。
「興味がある事には首を突っ込む。それも自由だろ?自分が興味あるヘンリーに近づかれて自由がおかしくなったとしても、自分が興味ある事だから問題ないって事だよ」
「ん〜?」
まだ分からないらしく、唸っている。
「ヘンリー、自由に縛られんなよ?」
「ん〜…」
やはり唸っている。
まあ、そんな事を言ったところで、理解出来るとは思っていないが…。
「じゃあ、考えるな。とりあえず、水浴びだ」
多分ヘンリーの頭の中の自由は、巨大な迷路にでも迷い込んでしまっているのだろう。
このまま考えさせても、さらに迷うだけで出口を見つけられるとは思えなかった。

「ねえ、本当に僕の事好きなの?」
水を汲み、身体を流すため距離を縮めると、じっとヘンリーが見つめてくる。
「何度も言わすなよ、照れるだろ…」
至近距離で見つめられ、そんな事を訊かれれば、誰だって照れるだろう。
思った以上に恥ずかしく、好きという言葉が口から出てこなかった。
「…だって」
「乱暴にしてしまったのは謝る。大人げなかったよ…言い訳はしない」
「じゃあ、ガイアの自由に近づいても良いの?」
 「ああ、色んな自由を教えてやるよ」
オマエの理解出来ていない自由だが…と、軽く頭の中で突っ込みを入れつつ答えた。
「本当〜?」
訊かれて頷き、優しくヘンリーの頬に手を添えて、口づけをする。
今さら交わす初めてのキスに、少し見つめ合って照れ笑いをした。

「ヘンリー、これから俺の天幕に来ないか?」
「これから…?」
今何時だろうと、辺りを見回す。時計は見つけられなかったが、確か日付が変わってからルフレは戻っていった。
それからどれくらいの時間が経ったのだろうか…。
「自己嫌悪中なんだよ…。もっと優しくしてやりたくて…」
「あはは、なんか恥ずかしいな〜」
「言うなよ。俺も恥ずかしくなるだろ…」
もう一度、見つめ合い照れ笑いをした。


遠距離恋愛のような、遠くからだけの交流は、一気に距離を縮める。


この距離感も、また心地良い…。






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終わり。

色々と捏造してます(いつもですが)
ガイアがヒドイ人に見えたら申し訳ありません。
そんな酷い事はしてないと思います…多分。

たまにはこんな感じのも良いかな〜と。

最後まで読んでいただき有り難うございます。
誤字脱字は…。


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