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FireEmblem 覚醒:オママゴト
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FireEmblem覚醒

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ガイア&ヘンリーとロンクー&ノノという二組のカップル?のお話です。
ガイアとヘンリーはすでに仲良しこよし。
ロンクーとノノはママゴトを一緒にする仲です。




『今日の天気は晴れ』
日記など書いた事はないが、今日みたいな天気なら、そう書くだろう。
休日の野営地は、昨日までの死闘がなかったかのように平和で、つい頭の中で日記を綴りつつウトウトしてしまう。

半分寝ているガイアの隣では、ヘンリーが既に寝息をたてている。
木陰で二人寄り添って昼寝をする姿は、第三者にはどう見えているだろうか?
などと考えていた時期もあったが、案外スルーされているな…と気づき、今は特に気にせず一緒に居る事が多い。
とは言っても、関係を訊かれればNOと答え、言い訳をするだろう。周りは気づいているかもしれないが、自ら告白する気はない。
いずれは伝えなければならない日が来るだろうと、それなりの覚悟は出来ているが…。

そんな日が来るとしたら、男相手にプロポーズでもする時か?
と、幸せそうにガイアの肩を枕代わりに寝ているヘンリーを見つめる。

ゴッ!
「痛っ!」
鈍い音と共に頭に激痛が走る。

「…なんだ?」
敵の攻撃…なわけないよなと辺りを見回して、足下に転がった塊を手に取る。
石ころにしては形が整っていて、変な光を放っている。前にも何処かで見た事があるような気がして、その塊をじっと見た。
「どうしたの?ガイア」
隣から眠そうに声をかけられる。
寝起きのせいか、何処かぼんやりとした表情で、ガイアを見てきている。
「ん、起こしちまったか。すまない」
「平気〜。ん?それ、竜石だね〜」
ガイアの手元に視線を移して、ヘンリーは言う。
「竜石って、マムクートのか?」
言いながらガイアは、その塊をまじまじと見直した。
「うんうん、ノノが持ってるヤツと同じ物だよ」
「じゃあ、コレはノノのか」
「多分ね〜、この軍にはノノしかマムクートは居ないしね〜」
後々、マムクートの仲間が増える事になるが、今現在はまだノノだけだ。

「何でこんな物が頭の上に…」
空を見上げながらガイアは呟く。
「ノノの大事な物だから、探してるかもね〜」
「しょうがないな、届けてやるか…」
どうして頭の上に落ちてきたのかは、とりあえず考えないでおく事にしよう。
小さく溜め息をついて立ち上がると、伸びをしてヘンリーもゆっくりと立ち上がった。
「ノノなら、あっちの広場で街の子供達と遊んでるんじゃないかな〜」
「ほう、仲良くやってるんだな」
「竜になるのは我慢してるみたいだよ〜」
「それはしょうがないな…」
今のところ、竜になって一緒に遊べる相手と言えば、セルジュの相棒くらいだろう。
さて行くかと、ヘンリーの言う「あっちの広場」を目指して歩き出す。
ヘンリーも並んで歩き出したが、まだ眠いらしく大きなあくびをしている。
それを横目で見つつ、ガイアもつられてあくびをした。

「えーと、いつもはこの辺で…」
広場に着き、ヘンリーは辺りをキョロキョロと見渡す。
「あっ」
少し離れた場所に、ノノを見つけて歩き出した。
「ノノー!」
「あ、ヘンリー!」
呼ばれて立ち上がったノノの周りには、オママゴト道具一式が奇麗に並べられていた。
そして、それに似つかわしくない男が、敷物の上に座っている。
「よう、ノノとロンクー」
ちらっと視線を男に向けてガイアは軽く挨拶をした。
「…」
黙りか…とロンクーには触れず、ガイアはノノに竜石を見せる。
「ノノのだろ?」
「わあ、ガイアが見つけてくれたの?」
「まあ、見つけたというか、頭の上に降ってきた…」
頭の上を指差して、竜石をノノに手渡す。
「カラスだよ!ヘビを捕まえようとして投げたら、くわえて持ってかれちゃったのっ!」
「なんで投げるんだよ…。大事なもんなんだろ」
興奮気味に話すノノとは対照的に、ガイアは呆れ口調で言った。
「無くしたら、ルフレが買ってくれるよ!」
「…軍資金が無駄にならなくて良かったな」
やりくりが大変だと愚痴を漏らしていたルフレの事が頭をよぎる。
竜石の値段は知らないが、安易に無くされ買わされる姿を想像し、少し気の毒に思えた。

「じゃあな、もう投げるなよ」
「またねー、ノノとロンク〜」
竜石を渡すという用事を済ませ、その場を離れようと背を向ける。ヘンリーも手を振ってガイアの後に続いた。
「えー、もう行っちゃうの?」
その二人の後ろ姿に、ノノは不服そうな声をあげる。
「用事は済んだからな」
ガイアは振り向き言葉を返し、すぐまたノノに背を向けた。
別にノノが嫌いな訳じゃない。ただ、これ以上この場に居たくないだけだ。
「用事がないとダメなの?」
ここまでのノノは予想通りの反応をみせる。
「駄目ではないが…」
次に何を言われるのかも予想は出来ているが、先に断ると文句を言われるだろうと、とりあえず言葉を濁す。
そのノノが呼び止める理由は一つしか考えられない。
「じゃあ、一緒にオママゴトしよー!」
予想はもちろん的中だ。だが、的中しても嬉しくはなく、溜め息しか出てこない。
「悪いが俺はパスだ。ママゴトなんてした事もないしな。ノノの期待には答えられないと思うぜ?」
…それにガラでもない。
「むう、ヘンリーはー?」
ノノはガイアを不満げに見つめてから、期待の目でヘンリーを見た。
「ガイアがパスなら僕もパス〜」
「えー」
「ごめんね〜ノノ。ロンクーと二人で楽しんでね〜」
「なっ!!」
ずっと無言だったロンクーだが、ヘンリーの言葉に動揺し初めて声を発した。
やっと反応を見せたかと、ガイアはロンクーに視線を移す。
「なに狼狽えてんだよ?俺らは邪魔しないから、二人で仲良くやってくれ」
「お、お前…、喧嘩売ってるのか?」
「はあ?気を利かせただけだろ」
やれやれと、呆れ口調でガイアは言う。
言われたロンクーは納得できないらしく、いつにも増して不機嫌な表情でガイアを睨みつけている。
「ケンカはダメだよ!?ねっ、みんなで仲良くオママゴトしよー!!」
「なんで、そうなるんだよ…」
ノノの訳の分からない仲介に、ガイアは溜息を漏らした。
「ねえ、ガイア。特に予定もないし、少し遊んであげよう〜?」
ガイアのマントの裾を引っ張って、ヘンリーが声をかけてくる。
ノノの仲介に乗った訳じゃないだろうが…というか、険悪にしたのはヘンリーの一言が原因だったような…。
とはいえ、もうママゴトを回避するのは無理だろうと、ガイアは「しょうがないな」とママゴトの参加を承諾した。
「やったあ!ヘンリーありがとう!!」
「どういたしまして〜」

足下に敷かれている大きな布の上には、小さなお椀やら鍋などが置かれている。
ママゴトはした事ないが、エプロン姿のノノや置かれた小物で大体どういうモノなのかは容易に想像ができた。
「で、俺らはどうしたら良いんだ?」
「えーとね、ノノとロンクーは夫婦なの。それで、ガイアは私たちの子供で、ヘンリーはガイアの彼女!」
「…」
ノノとロンクーが夫婦というのは、何となく予想は出来ていた。だが、それ以外の配役は…。
「ノノ…、お前達の子供が俺なのは分かった。だが、その彼女って言うのは何なんだ?一体何歳を想定してるんだ?」
「んーと、16歳くらい?」
「いいのか?お前、結構年増になるぞ?」
マムクートは普通の人間よりずっと長生きだが、ノノは見た目が子供で年増とは言えない容姿をしている。
これからどれだけ生きれば、見た目が年増になるのか…。
16歳の子供がいる親の年齢なんて、きっとピンときていないのだろう。
まあ、ママゴトなのだから容姿に合った設定は別に必要ないのだが、何となく抵抗を感じてしまう…。
「じゃあ、ガイア、赤ちゃんやってくれるのー?」
「ぐ、それは…」
「あはは、可愛いかもよ〜?ガイア〜」
「ヘンリー…。笑ってるが、お前は女役だからな?」
「僕は何でも良いよ〜」
相変わらず能天気だなと、呆れた顔をヘンリーに向ける。
「じゃあ、ロンクーとガイアは親子の会話をしてて!ノノは夕飯の準備するから!」
「僕は〜?」
「ヘンリーは呼ばれるまで待ってて!夕飯の時に息子が彼女を紹介するの!」
「どんな設定なんだよソレ…」
「むう、おかしいかな?」
「まあ、何でも良いが…」
飯時に彼女を紹介とか違和感たっぷりだが、自由奔放なノノの脳内設定だ。突っ込まない方が良いだろう…。
そして、早くママゴトを完結させて、天幕でゆっくり休みたい。
「じゃあ、僕はあっちに行ってるね〜」
「うん!あとでねー!」
ノノは手を振り、ガイアは離れて行くヘンリーを無言で見つめる。
女役でも何でも良いから、少しでもママゴトから離れる事が出来るヘンリーが羨ましい…。

「早くノノにプロポーズしちまったらどうだ?」
「なっ、ぷ、プロポーズ!?」
ノノが夕食の準備というママゴトの定番を演じ、その準備が終わるまでノノの指示通り親子の会話をする。
親子の会話といっても、内容は至極離れたモノだが…。
「そう言う気持ちはあるんだろ?これ以上、他人をママゴトに巻き込むなよ」
「お、お前には関係ないだろ…」
「完全に巻き込まれてるんだが?」
「赤ちゃん役じゃないだけ良いだろ…」
「そうだな、早く本物の赤ちゃんでも作ったらどうだ?」
「ばっ!?」
「冗談だよ。そう目くじら立てんなって」
「…」
正直、話す事が無く、空気が重い…。
ヤツが好きそうな話題は、昆虫か?しかし残念ながら虫は嫌いだ。
て、話しを合わす必要はないのだが…、居心地が悪すぎる。
「菓子食うか?」
「いらん」
「…」
虫いるか?と訊いたら「いる」って言うだろうか?と、くだらない事を考えてしまう。もちろん「いらん」と言うだろうが。
などとアホな事を考えて空を見上げる。まだまだ午後は長そうだ…。
「はあ、ガキの遊びは理解出来ないな…」
ガイアは溜め息をつき、菓子を一人で頬張る。
「付き合わせて悪かったな」
「ほう、そういう気持ちは一応あるのか」
意外だなと、菓子を取る手を止めて、ロンクーをチラッと見た。
「お前達の邪魔をしたみたいだからな」
「分かってるんだったら、早く告白しろよ」
「俺は、お前と違って女が苦手だ」
「それは知ってるが、もう克服出来てるんだろ?ノノ限定なのかもしれんが…」
「だから、もう少し時間が欲しい…」
「まだまだママゴトの犠牲者が増えそうだな」
甘い菓子を手に取りながら、ガイアは苦笑いをした。

「あなたー!ガイアー!夕飯の準備出来たわよー!」
「あ、ああ…」
「腹ぺこぺこだな」
ぎこちないが、それぞれ役柄を演じてみせる。
その返事に満足したようで、笑顔でノノはママゴトに没頭した。
「ねえねえ、何話してたの?お母さんにも聞かせて!」
「え?あ、ああ…」
ノノに話せる内容じゃないと一瞬焦ったが、何て事はない。ノノが聞きたいのは、ロンクーとガイアの会話ではなく、父と子の会話の方だ。
そういえば「彼女」だったなと、頭を切り替えて会話を捏造する。
「そろそろ頃合いかと思ってな、彼女を連れてきてるんだ」
「ええ?ガイアに彼女??お父さんどうしよう??」
「あ?ああ、もうそんな年頃なんだな…」
安い演劇のような会話に、吹き出しそうになる。
「ガイア、何がおかしいの?」
「あー、いや、すまん」
くわえていた菓子の棒を指でつまんで咳払いをし、ガイアは口から出そうになる笑いを誤摩化した。
「むう、子供らしくないよ!」
「す、すまない」
「…」
ママゴトは難しい…素直にそう思った。
なんだか気まずい空気になり、まいったなと頭をかく。
「彼女…連れてきたらどうだ?」
「そ、そうだな!今、連れて来るから待っててくれ」
ロンクーの意外な助け舟に感謝をし、逃げるように「彼女」を迎えにガイアはその場を離れた。


「ガイア、遅いよー」
すぐ戻ってくるだろうと、黙って待っていたノノだったが、我慢出来ず不服を漏らした。
「…遅いな」
「あ、そのお菓子どうしたの?」
「ガイアのだろう」
ガイアが座っていた所に焼き菓子が転がっており、ノノはそれを不満げに見る。
「ご飯前に、お菓子なんて食べちゃダメだよ!」
「そ、そうだな」
まだママゴトは続いていたのかと、ロンクーは慌てて父親役っぽく言葉を返した。
「帰ってきたら、注意しなきゃ!」
「…ああ」
アイツは戻ってくる気があるのだろうか?と、ロンクーは疑いの目で遠くを眺める。
「…ノノ、戻ってきたみたいだぞ」
その見つめた先に、ようやく「息子」を見つける。
「あ!」
「すまない、遅くなった」
「待ちくたびれちゃったよー!あと、ご飯前にお菓子は食べちゃダメでしょー!」
「え?あ、ああ。えーと、悪いんだがママゴトは中止で良いか?」
「えー!どうして?」
戻ってくるのが遅くなり、ママゴトは中断しているだろうと勝手に思っていたが、ノノの口ぶりで継続中なのが分かった。
とは言え、ママゴトを続ける気のないガイアは、息子を演じる事なく言葉を続ける。
「ヘンリーが寝ちまってて連れて来れなくてな…」
「ええ?ヘンリー寝ちゃったの?」
「まあ眠かったみたいだからな…」
何となく寝起きでココに来たとは言いにくい。別にやましい事をしていた訳ではないが…。
昼間っから寝ていたなんてノノに知られたら、今後の昼寝がママゴトに潰されてしまう気がした。
「むう」
「悪いな、ノノ。文句はヘンリーに言ってくれ。起きてる時にな」
ガイアはそう言い、つまらなさそうに頬を膨らませているノノの頭を軽くポンポンと叩いて宥めた。
「ガイアはママゴト続けられるんでしょー?」
「いや、草むらに転がしておく訳にもいかないから、連れて天幕に戻るよ」
「そのあとはー?」
「その後か…」
何を言われても戻ってくる気はないが、良い言い訳が思いつかない。
自分もヘンリーと一緒に寝ていたいだなんて、そんな理由じゃノノは納得しないだろう。
「ノノ、今日はもう終わりでいいだろ。行ったり来たりじゃ、そいつも疲れるだろ…」
「案外、気が利くんだな。そうしてもらえると助かる」
先ほどからロンクーに助けられてるなと、つい思ってる事がそのまま口をついて出てしまう。
「…案外は余計だ」
「ガイア、また遊んでね?」
「ああ、今度な」
「やったー!絶対だよ!」
ノノは満面の笑みでガイアを見上げる。
「えーと…」
出来ればもうママゴトは勘弁して欲しい…。
どうしても絶対という言葉に頷けず、ガイアはノノから視線を逸らす。
そして、ちらっとロンクーを見た。
「そうだな…、誰かさん次第だな」
「どういう意味だ…?」
視線に気づき、ロンクーは不機嫌に言葉を返す。
「これ以上、巻き込まれる奴が増えない事を祈ってるぜ?」
「ど、努力は…する…」
少し顔を赤らめて言うロンクーに、ガイアはニヤリとしてみせる。
「期待してるからな」
「ねえ、何の話しー?」
「父と息子の会話だよ」
「えー?!ママゴトは中止でしょー?」
何の事かサッパリ分からないノノは、不満たっぷりにガイアの裾を引っ張る。
「はは、冗談だ。そこの菓子はノノにやるよ。ママゴトの詫びだ」
「むー!お菓子で誤摩化そうとしてるー!」
「まあ、いずれノノにも分かるさ。じゃあな!」
手を軽く振ってガイアは颯爽と広場を後にする。
納得出来ないノノは頬を膨らませて、ガイアの後ろ姿が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。



ガイアが見えなくなり、やっとノノは敷物の上に腰を下ろす。
その手には、ガイアの置いていった菓子がしっかりと握られている。
「ねえロンクー、父と息子の会話って、なーに?」
「そ、それは…今は話せないが…、いずれちゃんと話す…」
「いずれっていつー?」
「後日…」
「ごじつっていつー?」

「…」
「ねえ、いつー?」

「……」
「ねえ、ロンクー?」

「………」




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おわり。

オママゴトで遊ぶノノ&ロンクー&ガイアを楽しんで頂ければ…。

ロンクーとガイアの会話が中心になってしまった気もしますが、
このサイトのロンクーとガイアの仲はこんな距離感です。仲は悪くないです!

とりあえず、オママゴトが書けて満足です。
オママゴトにお付き合いいただき有り難うございました。
誤字脱字は…(以下略

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