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FireEmblem 覚醒:キミ、想う 3
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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輪廻転生ネタ。
ナニっぽいトコロがあるので15禁です。




白い大きな扉の部屋に戻り、二人は椅子に座ってファイルを開く。
次にモニターに映し出された画面に目を通し、もう一度ファイルを確認する。
「おい、ヘンリー、これっぽくないか?」
「どれどれ、ふんふん」
「このデータファイル」
モニターを指差してヘンリーに言う。
「開ける?」
「ああ、パスはこっちのデータに…」
「…」
テキパキ動くガイアの指先をヘンリーは無言で見つめる。
その視線に気づき、パスワードを打ち込む手を止め、ヘンリーに視線を移す。
「ヘンリー?」
「結構、早く見つかっちゃったね」
「そうだな」
「…早すぎだよね」
じっと自爆用のスイッチを見つめ、ヘンリーは小さく呟く。
「ん?」
「ううん、何でもない」
顔を上げたヘンリーは、いつもの顔で微笑む。
声だけは笑顔の時と明らかに違うが…。
「早く押しちゃおう」
そして顔を覗かせてデータのパスワードを読み、ガイアの代わりに打ち込んでいく。
だが最後まで打ち終わる前に、ヘンリーの手を掴んでガイアは制止する。
「待て」
「…ガイア?」
名前を呼ぶヘンリーの表情はいつも通りだが…。
握った手を離す気にはなれず、自分の方へ引き寄せ、勢いに任せ強く抱きしめる。
「もう少し…」
あと数分だけでも良い、少しでも長く、この二人だけの時間を大切に過ごしたい。
死にたくないと心が揺らぐかもしれないが、それでも今すぐじゃなくたって罰は当たらないだろう。

生まれ変わっても、また逢えるって、誰が保証してくれる?
輪廻転生なんて、死ぬ決意をする口実だ。

来世の保証は誰にも出来ない。
だから今を大事にしたい…。

「もう少し一緒にいたって、そう人生は変わらないだろ」
「うん、そうだね」
長い年月を生きた自分たちの人生が、少し長く生きたくらいで簡単に変わるハズがないんだ。
「だから、もう少し…」
「うん」
見つめ合い、覚悟を決める。
今を一緒に過ごす事にではなく、別れの覚悟を…だ。
「温かいな」
「ふふ、生きてるからね〜」
「人の温もりなんて久しぶりだ…」
ヘンリーの頬に手を添えて、肌の温もりを再確認する。
人に触れる事自体、いつ以来だろうか…。

手のひらだけじゃ飽き足らず、ヘンリーの首筋に唇を寄せる。
忘れかけていたその感触を自分の身体が求めているのが分かった。
誰が見てる訳でもないが、最後を決めた部屋を離れ自室へ向かう。
もちろん、死ぬ事をやめた訳じゃない。その覚悟は揺らいでいない。



「本当に変わらないね」
自室に戻り、寝台の上で相手の肌に触れながらヘンリーは言う。
懐かしむように撫でるヘンリーの手を取り、ガイアはその手に唇を寄せる。
「お前もだろ?」
「僕は違うよ。この身体で人に触れるのは初めて」
「…そうか」
そうだったな。と、ヘンリーの身体に触れようとした手を止める。
初めてと言われると、これからしようとしている事に少し抵抗を感じてしまう。
拒否されない事は分かっているが…。
「あ、ゴメンね。雰囲気の無い事言っちゃったね。えーと、ガイアとの事は全部覚えてるよ。記憶はあるから」
「ああ、分かってる。ヘンリーはヘンリーだ」
「ガイアもずっとガイアだよ〜」
「ああ」

初めてだと言う身体に手を這わせ、ヘンリーの敏感な部分に優しく触れる。
「あっ、ん…」
知ってる身体ではないと頭では分かっているが、この反応は紛れもなく知っているヘンリーの身体だ。
触れれば触れるほど、身体の違いなんてどこにもない。
それどころか感度が以前より上がっている気がする。
やらしく身をよじるヘンリーの身体を眺め、宥めるように頭髪を撫でる。
「大丈夫か?」
「…うん。頭で思ってる以上に、身体が勝手に反応しちゃって」
「それが初めての身体って事だな」
「ガイア、その言い方やらしいよ〜」
「やらしいのは、お前の身体だろ」
言って唇を重ね、何か言いたそうなヘンリーの口を塞ぐ。
そのまま身体に手を這わせ愛撫し、その手を止める事なくヘンリーの唇を解放してやると、苦しそうではあるが艶っぽい吐息が漏れた。

何度目かの時報を無視し、時間を忘れヘンリーだけを求める。
久しぶりだからか?いや、最後だからか…。
一回の行為だけじゃ、すべてを終わらせる気にはなれなかった。
永遠にこうしていれる訳じゃないが…。

だが少し…、あともう少しだけ…。

そう願いながら身体を重ね、数えきれないほど交わしたキスをもう一度する。
そして名残惜しそうに唇をはなし、寝台の上でゆっくり身体を起こす。
「そろそろ…」
「そうだね〜、これ以上くっついてたら、決心が鈍っちゃいそう」
「ああ、行くか」
「…うん」

本当は、もっと一緒に過ごしたい。
時間なんか忘れて、ずっと一緒に…。

一緒に永遠を過ごせたらどんなにいいか…。

「俺はワガママだな…」
「ん?」
「いや、独り言だ」

ヘンリーも同じ不老不死の身体だったら…なんて思った事もあった。

「俺はワガママばかりだな…」
一つ溜め息をついてシャツに腕を通す。
その様子を見て、ヘンリーも服を手に取る。
「ん〜?僕もワガママだよ〜」
「そうか?」
「生まれ変わってもガイアと一緒じゃなきゃ嫌だな〜って思ってる」
「一緒になれるさ」
「なれるかな〜?」
「信じる者は救われるんだろ?」
「あはは、そうだった〜」
無邪気に笑うヘンリーにつられて一緒に笑う。
こうやって笑っていられるのも、あと少しだけだ。


調べたままの資料が散乱する部屋に戻り、もう一度モニターに必要事項を打ち込んでいく。
最後のパスワードを打ち込み、鍵を差し込み回し、カードキーで起動する。
何処か間違ってはいないかと小さな期待もしたが、何も問題なく最後の工程へ進むようにとモニターの画面が催促してくる。
「さてと、準備はいいか?」
言いながら少し決心が揺らいでいるのが自分でも分かる…。
残念に思うがヘンリーの言うように、これ以上ここに留まっている訳にはいかない。
「ねえ、ガイア」
「ん?」
どうにか気持ちの整理をつけ、声をかけてくるヘンリーに向き直る。
甘い自分と違い、じっと見てくるヘンリーの目に迷いはない。
「生まれ変わった世界で離ればなれだったとしても、僕は絶対ガイアを見つけてみせるからね」
「俺もだよ。どんな世界だろうと、ヘンリーを探し出す」
「ふふ。違う国で生まれても、逢いにいっちゃうよ〜」
「もちろん俺もだ」
そこまで言われちゃ甘い自分を捨てて、決意するしかない。
甘い自分は生まれ変わってからにしよう…。
「約束だよ?」
「ああ、絶対だ。必ず見つける」
「うんうん、僕も〜」
新しい世界でヘンリーを見つけてから、また一緒に甘い時をすごそう。
見つめ合い頷き、この地で最後のキスを交わす。

「じゃあ、お別れだ…」
「うん、またね〜!」
「ああ、またな」

手を重ね合わせスイッチに触れ、呼吸を合わせ一気に押す。


最後に見たのはヘンリーの笑顔で、
そこで記憶は…


無に還る。



無に還った記憶は、無くなってしまうのだろうか…。







「ヘンリー、待たせたな」
「あ、ガイア〜。待ちくたびれたよ〜」


そう言葉を交わしたとき、何処か懐かしさを感じた。
多分それは気のせいだろうけど…。

でも、とても待ちわびたような…。
ただ菓子を取りに行っただけの、そんな長い時間じゃないはずなのに『やっと逢えた』と、頭の中で呟いてしまう。
その言葉に間違いはない。それは今の素直な気持ちだ。
理由は分からないが、すごく大切な気持ちだという事は分かる。

ヘンリーと一緒に過ごす時間が、とても大事だという事も…。





『ねえ、輪廻転生って知ってる?』

『ガイアは信じる?』







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おわり

自爆装置とか、不老不死とか、安っぽい設定です。
分かってて書いてますが、やっぱり何か恥ずかしい内容になってしまいました。
と、とりあえずは、輪廻転生でガイヘンを!が、テーマでして…
二人の絆を感じていただければなーと思っています。

最後のほうのセリフは、ガイアとヘンリーが好きならば!の、絆の夏からです。

ヘンリーとガイアしか出てこないパラレルですが…、
少しでも気に入って頂けると嬉しく思います。
誤字脱字は〜無いと良いな〜と…。
相変わらずの読みにくさはあると思いますが…スミマセン;


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