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FireEmblem 覚醒:ガイアとネコのエトセトラ 2 |
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ヘンリー猫化です。 翌朝は、朝食を知らせるリズの声で目を覚まし、腕の中で寝ている猫に溜め息をつく。 夢は夢で、やはりヘンリーは猫のままだ…。 「にゃ〜」 「おはよう、ヘンリー」 溜め息はついたが、ヘンリーに違いはない。 懐いてくる猫に笑顔を見せガイアは身支度をし、その横で猫は顔を舐め毛繕いを始める。 「本当にコレ、ヘンリーか?」 「にゃ〜」 やはり何を考えているのか、表情からはサッパリ分からない。 ただの野良猫なのでは?と疑ってしまうが…。 「いや、それはないか」 断定は出来ないが、自分にこんなに懐く動物なんているわけがない。と、思う。 朝食をすませ戦闘の準備をし、屍兵討伐へ軍は動く。 野営地には編成に組み込まれていない者など少数の人間が残っている。 そこには仮ペットの猫型ヘンリーも残っているはずなのだが…、ガイアの天幕にその姿はなかった。 「ぐぇっ」 行軍中に首を絞められる感覚に襲われ、思わず変な声を出してしまう。 「大丈夫?」 「あ、ああ…」 咄嗟に首元のマントを前に引っぱり首元を緩め、そっと後ろに手を回す。 フードの中に何かが居るのが、手に伝わってくる感覚で分かった。 一体どうやって入り込んだのか、さっきまで首が絞まるような重さはなかったが…、まさか布袋の中に隠れてたのか?そこからフードに移動して…。 「ガイア?」 心配そうに声をかけてくるルフレに、悟られないようにとフードの上から布袋をあてて隠す。 「い、いや。ちょっと石に躓いただけだ」 「そう?まさか、ヘンリーを連れて来てるんじゃ…」 「い、いや?こんな危ない所に連れて来るわけないだろ。ちゃんと留守番をさせてきたぞ」 「なら良いけど」 そう、確かに置いてきたハズだった。天幕を出る時、ちゃんと確認はした。その後の事は…。 「やってくれたな…」 やれやれとフードに小さく呟く。 「なに?」 「いや、何でもない。独り言だ」 単独行動に移るまで、首が絞まらないようにマントを前に引っぱってやり過ごす。 その間ずっとルフレは無言で少し後ろを歩いていたが…。 「絶対ルフレの奴、何か感づいてたよな」 「にゃ〜」 やっと一人と一匹になり、フードを布袋で軽く叩いて、お前のせいだぞと小さく愚痴る。 「ほら、フードから出ろよ」 「にゃ」 もそもそフードから出てきて肩の上にのる。 「落ちるなよ」 「にゃ〜」 しっかり掴まったのを確認して、ガイアはマントから手を離す。 相手は組織的な軍隊ではなく、不定期に現れる屍兵の集団だ。 なめてかかってる訳じゃないが、頭脳戦とは程遠い「見つけたら即排除」の行き当たりばったりな作戦だ。と、ルフレは言っていた。 なら、猫一匹ぐらい良んじゃないか?と思ってしまうが…。 「まあ、そこは、なあなあになっちゃ駄目か。一応、ココも組織だしな…」 「にゃあにゃあ〜」 「なあなあ、な…」 何を言ってるかは分からないが、適当に言葉を返してみる。 まあ、自分でも分かってるが、どう考えてもコレは独り言だ…。 「フーッ!」 「ああ、悪かったよ。適当に返事して」 怒る事でもないだろう?と宥めるようにヘンリーの…というか猫の頭を撫でる。 「うにゃっ!」 「!?」 ひときわ大きな声で鳴き、視界が白く光った瞬間、背中に爆音と爆風を受ける。 「なっ!?」 慌てて振り向き土煙を手で払い、その先を注意深く見つめる。 「あれは…、屍兵?」 焦げてしまっているが、人間の形をしたそれは多分屍兵だろう。 肩の上で猫が鳴き、直後に閃光が走って爆発が起きた訳だが、これはもしかして…。 「お前の仕業か?」 「にゃんにゃにゃ〜ん♪」 「えーと、死んじゃえ〜。て言ってるのか?」 鳴き声のイントネーションで、ヘンリーが戦闘時に良く言う台詞を思い出す。 その台詞を言いながら敵を攻撃する姿を初めて見た時は衝撃的だったが、猫の姿で魔法を使う姿もかなりの衝撃映像だ…。 「助けてくれたのは感謝する。ありがとな」 魔道書無しで魔法って使えるんだなと感心し、猫を守りながら闘えるか?なんて心配していた自分が阿呆らしく思えた。 コイツはタダの猫ではなく、呪術を操る呪術士ヘンリーだ。 「ずっと猫のままで、やっていけそうだな…」 「にゃ〜…」 「いや、困ってるよな。俺も人間のヘンリーが一番良い」 分からない猫の言葉が、今回だけは理解できた気がする。 なんだかんだでヘンリーも戻りたいのだろう。猫になっても変わらない能天気な雰囲気に、つい軽く見てしまっていたが…。 「早く戻れると良いな」 「にゃ〜」 その後も何体かの屍兵と相対したが、猫…いや、ヘンリーとの連携で難なく排除し、宝箱を漁ることができた。 もともと宝に期待はしていなかったが、しょぼい戦利品を布袋に収め、一息つく。 「なんだかんだで随分お前に助けられたな…」 猫の頭を撫でて、空を見上げる。 日は沈みかけ、そろそろ潮時かと、軍本体に合流するため来た道を戻る。 ほぼ空っぽの布袋を左の肩に担ぎ、その反対側にはヘンリーが乗っかっている。 なんかもう猫の姿に違和感を感じない…。 「そろそろ隠れろよ」 微かなざわつきが耳に届き、軍本体が近い事を知る。 するっとヘンリーはフードに入り、ガイアは何喰わぬ顔で軍に近づく。 そしてルフレの後ろ姿が見え、声をかけようとしたが、すごい力で後ろに引っ張られ声がつまる。 「ルフぐあっ!!?」 そのまま耐えきれず、後ろにひっくり返ってしまった。 「ゲホッゲッ…!」 「大丈夫!?」 倒れているガイアに気づき、ルフレは急いで駆け寄って心配そうに声をかけてきたが、その声はすぐ怒声に変わった。 「ガイアッッ!!こんな所で何してるの!?時と場所をわきまえなさいっ!!!」 「は?何言って…」 痛い首に手を当て、何とか息を整える。 ルフレの怒っている理由が分からず、ガイアは自分の周りを確認して、ぎょっと目を見開く。 「ヘ、ヘンリー!?」 「あはは〜、戻れたみたいだね〜」 「なっ、なに人事みたいに笑ってんだよっ…!?」 笑顔を向けてくるヘンリーは猫ではなく人間だ。 やっと戻ったと喜びたいが、流石に今は喜べる状況ではない。 慌てて自分のマントをヘンリーに被せ、ガイアはゆっくりとルフレに視線を移した。 「ルフレ、誤解だからな?」 「ヘンリーの呪いが解けて良かったわね?」 「あ、ああ…。酷いタイミングだが…」 本当に酷い。もっと早く…もしくは天幕に戻ってからだったら何も問題は無かったのに。 「御愁傷様」 「分かってると思うが、猫だったから服を着てないだけだぞ」 「弁解するところ、そこじゃないんじゃない?」 「確かにそうだな…、勝手に猫を連れて来たのは謝る。すまなかった」 ガイアが素直に謝ると、その後ろからヘンリーは顔を出し、小さく頭を下げた。 「ごめんね〜、ルフレ。僕が勝手について来ちゃったんだ〜」 「まあ、そんな事だろうとは思ってたけど…」 「本当、貴方達って自由ね。うらやましい…」 いつの間にかサーリャがルフレの横に立っていて、いつもの恨み節を口にしている。 そして、さらにその横からクロムがマントを差し出してきた。 「マント一枚じゃ風邪引くだろう、俺のマントも使うといい」 「ありがとう〜」 へらへら笑いながらヘンリーはクロムのマントを受け取る。 その周りは、ちょっとした人集りになっていた…。 「なんか見せ物になっちまってるな…」 「自業自得でしょ」 そうルフレは言ったが、はたしてそうだろうか? 自業自得というのは、自分のせいで自分自身が報いを受けるという意味だ。 ヘンリーが呪われたのも、勝手について来たのだって、どう考えても俺のせいじゃないだろう。 いや、すべては菓子を買わせに行かせた自分のせいなのか? いやいや、ヘンリーのせいだろう…。 ヘンリーの自業自得だ。 本人は困ってないようだが…。 ------------------------------------------------------ おわり エトセトラシリーズなタイトルがついてますが、今回のサーリャは何も迷惑をかけていない…と思います。 迷惑をかけているのはヘンリーだけです。ガイアにだけって気もしますが。いや、迷惑じゃないハズだ。 乙女?なルフレだけがヘンリーの裸を見て、あわあわしてる感じでしょうか…。 内容としては、相変わらずバカバカしい呪いです。 捏造呪い設定も健在です。 読みにくい文なのも相変わらずですが…。 少しでも楽しんで頂ければ嬉しく思います。 UP |