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FireEmblem 覚醒:食べちゃった夏 |
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食べちゃった絆の夏のお話。 出だしは「絆の夏からの」とほぼ一緒。 運命に翻弄されながらも、イーリス軍は絆を信じ前へ進む。 絆は運命より強く、絆は運命を変えられる。 何処まで絆は深まり、何処まで運命を変える事が出来るのか。 それは世界を大きく動かす運命だけの事だろうか…? たまには戦争を忘れて羽を伸ばそうと、イーリス軍は異界で海水浴を楽しむ。 天気にも恵まれ、良い海水浴日和だった。 あまり話した事のない奴らと会話をし、意外な一面を見る事ができ、なかなか有意義な一日となった。 自分と接点のなさそうなヘンリーなんかは、菓子を見るのが好きだと言い、意外にも意気投合したが…。 「ゴメンね〜」 今、隣で謝っているヘンリーも、第一印象からじゃ想像できない意外な一面だ。 申し訳なさそうに眉をハの字にして、きゅっと口をつむぎ、何ともらしくない。 いつもの笑顔もなく、あるのは自分の非を責めている姿だ。 「気にするなって」 「だって、僕があげた菓子を食べたからガイアのお腹が…」 「食べたのは俺だ。お前じゃないだろ」 「え〜、食べて感想聞かせて〜て言ったのは僕だよ〜」 「菓子を食べただけだ」 「え〜」 事情の知らない第三者が、この会話を聞いて何が起きたか理解できるだろうか? 何故ヘンリーが謝っているのか?理由を簡単に説明すると、次ぎのようになる。 異界での海水浴で意気投合した俺たちは、菓子談義に花を咲かせた。 そして秘蔵の菓子を披露して、お返しにヘンリーはペレジアの菓子をくれた。まあ、それだけなら良かったのだが、あろう事か菓子の感想を求めてきたのだ。 屍兵の一部のような菓子を食べるのは少し躊躇ったが、期待の眼差しを向けてくるヘンリーに嫌とは言えず、勇気を振り絞って一気に食べ感想を述べた。何を言ったかは、もう覚えてはいないが…。 そこでヘンリーは満足して菓子談義は終了するはずだった。が、菓子を胃に収めた直後に腹痛で動けなくなってしまい、そのまま異界から引き上げ天幕で寝込んでしまっているのが今の状況だ。 「胃薬飲む〜?」 「いや、平気だ」 「苦しそうだよ?そうだ!呪いで、お腹の中の菓子を出しちゃおう〜!」 「なんだよその恐ろしい呪いは…」 自信満々に言うヘンリーに、軽く突っ込みを入れる。 便利な呪いだなと思う反面、呪いを受ける事に抵抗を感じる。呪いの知識は殆どゼロだが、生け贄を使ったりと良い印象がない。 「じゃあ、食べ物を吐く呪いとか〜」 「吐く気は無いぞ」 もちろん呪いを受ける気もない。 「痛みをどっかにやっちゃう呪いとか〜」 「何処に行くんだよ、その痛みは…」 呪いしか無いのかよと、呆れ顔でヘンリーを見る。 そのヘンリーは唸っているが、次に言う言葉もきっと呪いだろう。 「う〜ん…、じゃあ〜」 「だからいいって、消化しちまえば痛みもなくなるだろ」 「そうかな〜、出しちゃった方が楽になると思うけどな〜」 「菓子は吐かない主義なんだ」 そして呪いを進んで受けるつもりもない。 「でもそれ、菓子は菓子だけど、供物だから…」 「それでもだ。せっかく貰った菓子を食べておいて吐くなんて、俺はしたくない」 供物は信仰する神等へ捧げるモノで、食べれるモノだとは限らない。 それは分かっているが、食べたモノを出す事に抵抗を感じる。 「僕が無理矢理あげたんだよ〜?」 「無理矢理だろうが何だろうが、貰った菓子だからな」 「ん〜、もっと美味しい菓子あげるから出しちゃって〜。苦しんでるガイアを見るの嫌だよ〜」 言ってヘンリーは、腹に手を当て何かを唱え始める。 「だから呪いは止めろって!」 しつこいと強めの口調で言い、腹に当てられたヘンリーの手を掴む。 するとヘンリーは、もう片方の手をマントの中に入れ、小瓶を取り出した。 「じゃあ、胃薬〜」 「菓子以外のモノを口にする気は無い」 「え〜」 残念そうに言い、ヘンリーはもう一度ガイアの腹に手をのせる。 「言いながら、唱えるなって」 どんだけ呪いを使いたいんだよとウンザリし、ヘンリーの両手を掴み、何も使わせないようにと羽交い締めにする。 「げふ」 「っと」 咽せたヘンリーを心配し、力を入れすぎたかと、少し手を緩めて様子を伺う。 寝台の上で組み敷いた格好は、少し変な想像をしてしまいそうになるが…。 「だ、大丈夫か?」 「あはは、ガイアが重たいよ〜?」 「あ、ああ、すまん…」 軽く謝り、ヘンリーの身体を解放する。 少し警戒をしてみるが、ヘンリーは胃薬をマントの中にしまい、呪いの言葉を口にする事なく、ただニコニコとこっちを見てきていた。 何を考えてるか相変わらず分からない笑顔だが、もう胃薬と呪いの心配はしなくて大丈夫だろう。…たぶん。 「何やってんだろうな、俺たち…」 隣で笑っているヘンリーを見て呆れ口調で言う。 今までヘンリーと話した事は殆どなく、戦闘中も近寄り難い雰囲気を感じていた。だが、今隣に居るヘンリーからはそんな雰囲気がなく、自由な振る舞いが心地良いとさえ思ってしまう。 しつこく薬だの呪いだの言ってくるのは、コイツなりに責任を感じての事で、ウンザリはしたが嫌な気はしなかった。 嫌な気分にならなかったのは、一生懸命さが伝わってきたからだろう。 「あはは、ガイアが嫌がるからだよ〜」 「苦い薬は嫌なんだよ。あと、呪いもゴメンだ」 「悪い呪いだけじゃないんだけどな〜」 「良い呪いもあるって事は覚えといてやるよ」 そして、意外に仲間思いだって事も。 「じゃあ〜」 「いいや、呪いはいい。話してたら痛みが治まってきた気がする」 「本当〜?よかった〜」 そう言って、ヘンリーはガイアの腹に手を伸ばし撫でる。 「あ、こら。腹なんか触んなよ?中途半端な腹筋がバレるだろ!」 「あはは、ガイアの下半身はだらしないんだね〜」 「だらしないとか言うな…」 自分より細いヘンリーの下半身を見て、溜め息まじりに言う。 羨ましいとは思わないが、ちゃんと食ってんのかと心配してしまう…。 「あはははは」 「笑い過ぎだろ…」 そして、いつまで笑ってんだとヘンリーを見ながら、さらに呆れてしまう。 「ガイアは面白いな〜」 「面白いのは、お前の方だと思うがな…」 「え〜?ガイアの腹筋だよ〜」 「喧嘩売ってんのか?」 「あはは」 ヘンリーからは楽しい喧嘩が買える気がする。もちろん呪いの可能性もあるが…。 そんな馬鹿な事を考え、ついつられて笑ってしまう。 たまにはこんなゆるい日があってもいいだろう。 どう運命が変わろうとも… ---------------------------------- おわり。 食べちゃった夏です。 公式では曖昧で終わってるので、こういうバーションもアリかなーと。 食べてない方が妄想があちこちに広がりまくるのですが、ここは一つ食べちゃったバージョンもと。 最初っから最後まで友達かどうかすら謎な関係ですが、最後の最後は無理矢理ガイヘンっぽく。本当、無理矢理ですが…。 たまにはこんなゆるい話しも良いですよね?ね?ね…? 相変わらず誤字脱字が無ければ良いな〜と祈っております。 読みにくい文ですが、少しでも楽しんで頂ければ嬉しく思います。 UP |