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銀 魂:沖田と女
絵と文とか

銀魂

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沖田とサーヤの…かどうかは…。
色々と捏造しております。
すでにナニソレな関係の土方と沖田です。




一番隊隊長の部屋から女の声が聞こえる…。
そんな噂を耳にするようになったのは、人斬りが云々と騒がれていた時の事だ。

あの事件から数日が過ぎ、噂の真相もハッキリと分かった。そして今はもう聞き耳を立てる者も居ない。
やっと落ち着きを取り戻したその一室に、鬼の副長の姿があった。

「土方さん。用が無いなら出てってくれませんかねィ」
文机の前に座り筆を片手に、隣で胡座をかいている土方を沖田は見る。
一応、他人の部屋だという事で気を使っているのか、土方はトレードマークの煙草を吹かしていない。
「たまには良いだろ…」
「何が?俺の部屋で何をする気で?」
「いや…、だから、たまには良いだろ…」
「土方さん、アンタは壊れたレコードですかィ?この前の始末書まだ提出してないんで、邪魔しないでくだせェ」
何の事かは分かるが、はっきり言わない土方にイラッとくる。
まあ、言わせるつもりはないが、言ったところで自室でする気ももちろんない。らしくないが仕事優先である。しかも時間外労働だ。
「始末書なんて明日でも良いだろ。受け取ってチェック入れるのは、どうせ俺なんだし」
「鬼の副長ともあろうお方が甘いですねィ」
いつもは厳しいくせにと皮肉を漏らす。
皮肉に気づいたかどうか、土方は無表情のまま沖田を見ている。
「別に甘くねーよ」
「そうですかね?なら、とっとと出てってくれませんか。目障りなんで」
「目障りって、オマエ…」
ずっと仕事姿を見つめられてるのは、目障り意外のナニモノでもない。
いくら粘られても、土方の思い通りにはならない。なってたまるかと厳しい視線で見返す。
「珍しく真面目に仕事してるっていうのに、鬱陶しいんですよ。少しは気を使いやがれってんだ」
「はあ、分かったよ…」
溜め息をひとつついて土方は立ち上がり、沖田の部屋を後にする。
そして、襖が閉まったのを確認して、沖田は筆を置き文机を離れた。

沖田の部屋を出て土方は、閉じた襖をじっと見つめる。
どうにも仕事に集中する沖田がらしくなく、納得がいかない。
悶々と部屋の前で考え込んでいると、中から沖田のモノではない声が聞こえてきた。

「総くん、どうしたの?」
「どうもしないけど」
「お仕事は?」
「ちょっと休憩」
「おつかれさま〜、総くん」
「ありがとう、サーヤ」

女の声…。
というか鞘だ。あのエクスカリバー星とかいうフザケタ天人の…。
それよりなによりアレは一体何なんだ?天人と言うのもどうかと思う姿をしているアレは…。
擬人化とも言い難い姿形のアレと対等に接するなんて考えられない。だが、中から聞こえてくるのは男と女の会話そのものだ。
「なんだコレ?俺は厄介払いされたのか?」
人間と人型の天人ならともかく、相手はどっからどう見てもタダの鞘だぞ?目ん玉は付いてたが…。
この場に沖田は居ないが、そう突っ込まずにはいられなかった。
お気に入りの鞘なのは分からなくもないが…まさか、それ以上の?
いやいやそれは流石にあり得ないだろ。と、煙草をくわえつつ土方は自室に傾れ込んだ。
「あ、ヤベ。煙草逆だ…」

寝転がり天井を見上げながら、煙草を吹かす。
何本目かの吸い殻を捩じ込もうと灰皿に手を伸ばしたが、山盛りの吸い殻を見て溜め息をつく。
「今、何時だ…」
空になった煙草の箱をゴミ箱に放り込み、時間を確認する。時計の針は夕刻を回ろうとしていた。
もう少しで夕食だな…と考えながらも、新しい灰皿と煙草を用意して、また寝転んだ。

「土方さん、起きてますかィ?」
新しい煙草に火を付けようと煙草をくわえたところで、襖越しに声をかけられる。
すぐ沖田だと分かり、煙草を箱に戻し身体を起こした。
「入れよ」
「お邪魔しやす」
沖田は部屋に入り、書類の束を土方に渡す。
「始末書です」
「あ、ああ。終わらせたのか…。ご苦労だったな」
意外だなと思いながら、書面を受け取りペラペラとめくって内容を確認する。
「土方さん。直しとかあれば明日するんで、今日はもう仕事やめませんかね?」
言われて書面を閉じ、土方は沖田を見た。
「じゃあ何で今持ってきた?」
「分かりませんかね?別に書面の手直しをして欲しいんじゃありませんよ。そんなの明日で良いですしね」
「それは、俺がお前の部屋で言った事だろ。仕事は明日で良いって」
「本当に鈍い人だな」
閉じた始末書を土方の手から取り、沖田は呆れた表情で文机の上に放り投げた。
「そんなんじゃ、女に愛想尽かされますよ」
「かまわねえよ」
先ほどしまった煙草を再度くわえ、床に転がっていたライターを手に取る。
その動作を眺めて、沖田はひとつ溜め息をついた。
「そうですかィ。俺も愛想尽きそうですがね?」
「お前は女じゃねーだろ」
「確かに違いますが、サーヤは物じゃなくて女ですよ」
鞘だろ?と頭の中で沖田に突っ込みを入れる。しかも沖田はその鞘を一人の女として見ている。
どうしても鞘を人としてみれない土方は、あからさまに嫌な顔をした。
沖田の言う事が理解できない。そして納得もできず、無言で煙草に火をつけ吹かす。
そんな土方に沖田は言葉を続ける。
「その女の前で何しようとしたか覚えてますかね?土方さんの趣味は知りやせんが、俺は人前で抱かれるのは御免なんでね。女にそんな関係だって知られるのも 冗談じゃねえ。しかもサーヤは俺の鞘なんで、ぎくしゃくするのは勘弁でさァ。俺の言ってること分かりますかィ?サーヤに感づかれないようにアンタの誘いを 断り、こっちに来る口実を作ってたんですよ」
「説明が長過ぎる」
無表情で言い、煙草の火を灰皿に押し付ける。
口から煙を吐く土方の姿を、面倒くさそうに沖田は見つめた。
「土方さんが馬鹿すぎるから分かりやすく言ったんですがね」
「馬鹿で悪かったな…」
「どうしやす?その気がないなら、俺は部屋に戻りますぜ」
次の煙草に手を出そうとしたが、その手を止めて沖田を見返す。
長すぎると愚痴った説明は、ちゃんと理解出来ている。
自分にとってはタダの鞘でも、沖田と会話をする鞘だ。目も付いているから視線を感じるのも当たり前だ。
どうしても物としか思えないが…、沖田の事を考えると無神経だったのかもしれない。いや、無神経だったのだろう。
「そんな馬鹿な俺を誘ってくれてるのか…」
「無愛想で鈍くて馬鹿でどうしょうもねえくらい可哀想だから、俺が馬鹿なアンタを誘ってやりますよ」
「バカバカ言い過ぎじゃね?」
「馬鹿ですからねィ、土方さんは」
「否定はしねえよ」
それではと土方は沖田の方へ向き直ったが、同時に沖田は出入り口の襖の方へ移動する。
「じゃ、夕飯食べに行きますかィ」
「え?夕飯??」
逃げるように目の前から離れてくのを目で追い、土方は襖の前から声をかけてくる沖田を見つめた。
「飯の時間でさァ」
「いや、え?何しにオマエ、俺の部屋に来たんだ?」
「食べてもらいに。でも飯の時間なんで、先に飯食べますぜ」
「ああ、そう…」
結局、先ほどのやり取りは何だったのかと、土方は肩を落とした。
「何て顔してるんで?夜はこれからですぜ」
沖田にそう言われて気を持ち直す。
焦らして遊ばれている気もするが、確かに夜はこれからだ。

「飯の後は風呂入って、スイカでも食いながら涼んで、歯を磨いて顔を洗って布団敷いて、明日に備えて寝ますかねィ」
「え?明日に備えて??」
「夜はまだまだ長いですぜ」
「あ、ああ…?」

そう、
夜はまだまだ長い。

まだまだ焦らされるのだろう…。





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おわり。

もし、サーヤがずっと沖田の部屋にいるならば…そんな感じの妄想です。
サーヤが好きで書いたのに、サーヤが邪魔者みたいになってますね…、そんなつもりはないのですが。

焦らされる土方さん好きです。だ、駄目ですかね…。

短い話しですが、誤字脱字は〜(以下略


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