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銀 魂:沖田誕生日三夜目 5
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2012.2013年の沖 田誕生日の続編です。
『引くも引かぬもアンタ次第』←サブタイトル。





いつまでも乗っかってるのは負担になるかと身体を離し横に座り直す。
唇も離れ、沖田は目で土方を追う。
「土方さん」
「まだ何か文句か?」
「文句ですかねェ?誕生日プレゼントはどうなりやしたか?」
「まだ覚えてたのか」
「当たり前じゃねーですか。あんだけあるある言っといて、頑に寄越さないなんて、忘れるわけねーでしょ」
「そ、そうか…」
もちろん自分も忘れちゃいないが…、また覚悟を決め直さねばならないのかと思うと、つい躊躇ってしまう。
「…」
「まだ悩んでるんですか?死ぬ前に早く寄越しなせィ」
「死なねーだろ!縁起でもねェ」
「早くしねーと死んじまいます」
「そう急かすな」
どんだけ待つ気かと頭の中で突っ込みを入れ、しょうがないなとポケットに手を突っ込む。
「ほら、左手出せ」
「左手?」
「はめてやるよ」
「それって、まさか…」
土方の言葉に沖田は、布団の中から出そうとした手の動きを止める。
左手にはめるモノと言えば…、思いつくモノが一つしかない。
「なんだ?やっぱり引くのか?」
「だって…、アレだろ?」
「そうだ、アレだ」
もうアレと言えばアレしかない。
お互いアレしか言っていないが、間違いなく同じモノを指しているだろう。
「何考えてるんでィ!?男相手に渡すもんじゃないでしょーが!つか、それ貰って喜ぶ姿を妄想してたとか、引かねー方がおかしいだろ!」
だが、心の中までは同じでないらしい。
沖田の反応に土方はぐったりと項垂れた。まったく予想していなかったわけじゃないが…。
「だから嫌だったんだよ…」
「ま、土方さん、そこで引っ込めたら男じゃないですぜ」
そう言って沖田は土方の目の前に左手を差し出す。
「引くんだろ?」
「引くけど、引っ込めるんで?」
「引く引くって、どっちなんだよ!?」
ポケットから手を出そうと思うが、総悟の言葉でなかなか吹っ切れる事が出来ない。
引かれるくらいなら、引っ込めた方がお互いのためだ…なんて思ってしまう。いや、ただの自己防衛だろう。いやいや、ただの根性無しなだけだ。
「ヒクヒクってイヤらしいですぜ」
「な、なに言ってんだ!?」
「冗談ですよ、早くよこしなせィ」
「よし、受け取るんだな」
もう一度ポケットに手をつ込み、土方は沖田の顔をじっと見つめる。
「へい、受けて立ちやす」
「受けて立つって何??果たし状じゃねーからな!?」
「プロポーズでしょ?」
「あ、ああ」
ハッキリと相手の口から言われると狼狽えてしまう。
本当、自分は男相手に何やってるんだ。と、今さらながら思う。
「なに恥ずかしがってるんでィ。あんたが、やらかした事だろ」
「そ、そうだな。じゃあ…」
大きく深呼吸をし、沖田の手を取る。
そしてポケットから取り出した指輪をゆっくり左手の薬指にはめた。
「土方さん、普段は外してていいですよね?」
自分の手を眺めながら沖田は言う。
その表情や口調からは心情は読み取れないが、引いてはいないようだった。
喜ぶ仕草はなかったが、土方はホッと胸を撫で下ろす。
「ああ、もちろんだ。つか、他の奴にはバレないようにな…」
「めんどくせーモン寄越しやがったな」
だが沖田は喜ぶどころか真逆の表情を見せる。
まあ、コイツはそういうヤツだ。分かってはいるが、意を決して渡した指輪なだけに、虚しさが心を駆け抜けてゆく…。
「…」
「いちいちへこまないでくだせィ。気持ちはちゃんと受け取りましたよ」
「無くすなよ」
「もちろん、愛してますから」
そう言って指輪にキスをする。
蹴落とされたあとの、その言葉とその仕草。Mと言われようとも、その態度が堪らなく愛おしい。
「…」
「どうしやした?」
「やっと、聞けた…その言葉…」
「俺は土方さんのその台詞に引きます」
言いながらも、まだ指輪を眺めている。
次に言うドSの言葉は毒か?それとも癒しか?
まあ、どちらでも構わない。
毒だろうが癒しだろうが、自分にとってはどちらも愛に変わりはないんだ。



盲目だって言われるかもしれないが、愛ってそんなもんだろう?






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おわり。

沖田目線かと思いきや、土方目線で終わる最後…。

誕生日プレゼントの中身はなんじゃらほい?の沖田誕生日2014でした。
2012、2013、2014と続いてます。今回で完結です。
プレゼントの中身が気になるというリクをいただいたので書き上げてみました。
その結果、プロポーズな話しになりました。
ぜんっぜんムードがない展開ですが、EBIEBIの土沖らいしと思って頂ければ…;

誤字脱字がない事を祈ります…。
そしてリクを有り難うございました!
少しでも気にって頂ければ幸いでございます。


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