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銀 魂:マヨマヨモヨモヨ。
絵と文とか

銀魂

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感謝祭のブツです。
土方さんに焼きもちを焼く総悟さん。
つかなんだこのタイトルは…。






屯所の薄暗い廊下に光が漏れる。
その明かりは夕食を終え人気の無い食堂からだ。

自室で残業を終え、ちょっと小腹が空いたなと厨房の冷蔵庫を開く。
色んな食材が詰まっているが、満たしたいのは空腹だけじゃない。
「マヨネーズがねえ…」
調味料とかではない、コレは主食だ。
御飯にマヨネーズではなく、マヨネーズに御飯をトッピングである。
マヨネーズがなきゃ、腹も心も満たされない。
だが、今それは冷蔵庫の中に無い。
「誰だ最後に使った奴は、買い足しとけよ」
「つーか、最後に使ったのは土方さん。あんたですぜ」
「総悟か」
「今日の夕方、どんぶりにガッツリ盛ってたじゃないですか」
「あと一本無かったか?」
「知りやせん」
「おかしいな…」
確かあったはずだと、土方は冷蔵庫の中を隅々まで探す。
ジャムの陰にあるかもしれないとジャムの瓶をどかし、ヨーグルトの箱が邪魔だと沖田に持たせる。
「土方さん。冷蔵庫の開けっ放しは電気代の無駄ですぜ」
「見つからないんだから、しょうがないだろ」
そう言って、沖田に持たせたヨーグルトの上に今度はキャベツの塊を乗せる。
丸いキャベツのバラスンスが悪く、両手で沖田はヨーグルトとキャベツを支えた。
「夕方に使ったのが最後の一本だったんじゃないんですかィ?」
「いや、確かにあったはずだ」
「…」
冷蔵庫の中から今度は牛乳を取り出し床に置く。
「そろそそ閉めません?食材の鮮度が悪くなっちまいますよ」
「いや」
「こんだけ探してないんだから無いんですよ」
「いや」
「諦め悪い人ですねィ、明日にでも一杯買ってくりゃ良いじゃねーですか」
「いや、今だ」
「は?なに言ってんですか、いま何時だと思ってるんで?」
今日の仕事も終わり、夕食も食べ、あとは寝るだけの時間帯だ。
わざわざこんな時間に買いに行くモンでもないだろうと誰でも思うだろう。
「コンビニくらい開いてるだろ」
「一日くらい食べなくても死なねぇでしょ」
だが、この人は買いにいこうとする。
「今じゃなきゃ駄目なんだ、あれが無いなんて考えられない」
「恋人かってんだ」
「違いねぇ」
「マジでか」
じゃあ俺は?と突っ込みを入れたいところだったが、そこはぐっと堪える。
マヨネーズと自分を比べるなんて、マヨネーズを恋人と言い放つ土方ぐらいどうかしてる…。
「じゃあ、行ってくる」という土方に、「いってらっしゃい」という気にはなれない。
「今日ぐらいマヨネーズのこと忘れません?」
「なんでだ?」
そこで「何でだ」と言われるのも理解できないが…。
「たかがマヨネーズじゃないですかィ」
「たかがだと?」
そしてキレかかるのも理解できない。
「俺、先に寝ちゃいますよ」
「ああ、おやすみ」
あれ?なんか違和感が…、つかおかしくね??
おやすみって、有り得ないだろ???
「おやすみじゃねーだろ、土方さん。巡回中の車内で俺に何か言ってませんでしたっけ?」
「先に寝たいんだろ」
「マヨネーズ買いに行くんだったらですけどね」
「だから『おやすみ』って言ってるだろ」
心は既にコンビニか…、誘っときながら勝手すぎるだろ。
マヨネーズ依存症だとしても、忘れて良い事と駄目な事があるだろう?
とりあえず、俺よりマヨネーズ優先って、胸くそわりィ…。
「マヨネーズとSEXしてろってんだ」
マヨネーズを求め厨房を出て行く土方の背中に一言吐き捨て自室に戻る。

さて…、
土方との予定が無くなり、沖田は自室に布団を敷く。
そのままふて寝しようかと思ったが…、
「どんだけマヨネーズなんだよッッッ!!!」
マヨネーズ好きにも程がある!!
普通、マヨネーズが切れたからって、夜の約束を破るか?
自分から誘っといて、ここでマヨネーズ?おかしいだろ!?
マヨネーズって何なんだ?むしろ俺はオマエの何なんだよッッッ!!!
って大声で叫びたかったが、ここは屯所の一室だ。
ムカつく気持ちは心の中で叫び、力一杯壁を蹴飛ばす。
「あ、ヤベ」
蹴飛ばした壁に穴が空く、その穴の向こう側はマヨ王国だ。
「滅びてしまえ」
食べ物に嫉妬するなんてバカバカしい。
分かっちゃいるけど、今のこの状況は何なんだ?
「ふざけんなってんだ」
もう寝てしまうしかないが、今日の夜は〜なんて考えていた自分が情けない。
そして惨めだ。
こんな気持ちになるなんて滅多にない。いや、有り得ない。
「…」
たかがマヨネーズに…。



「総悟」

「…」

「寝てるのか?」

「……」

おやすみって言って出てったのは何処のどいつだっけ?

「総悟」

「うるせェな、寝てろって言ったのはアンタでしょーが」

「急いで戻って来たつもりなんだが…」

「土方さん、知ってますか?二兎追う者は一兎をも得ずってことわざを」
マヨネーズを買ってきて満足してるくせに、さらにナニを求める気か?
「ピザまん買って来たんだ、食べないか?」
「は?」
なに言ってんだコイツと、かぶっていた布団をどかし、突っ立っている土方を見る。
確かにコンビニの肉まんの袋を手にしている。
「チーズがトロトロで美味いぞ」
「なに言ってんですか?」
その一言に尽きる。
寝てる奴にいきなり「ピザまん」って、おかしいだろ。
「美味かったから、総悟にも食わせてやろうと思ってな」
「マヨネーズじゃないのに?」
「お前はこっちの方が好きだろ」
つまりは機嫌取りのプレゼントか。
それがコンビニのピザまんってのはどうかと思うが…。
「まあ、てんこ盛りのマヨネーズよりは、こっちの方が好みですねィ」
「だろ」
「…」
だろと言われても、何処を喜んで良いのかサッパリ分からない。
いや、喜ぶじゃなくて…、その前に収めなきゃならない感情が一つ残っている。
「これで俺の機嫌がなおるとでも思ってんですか?」
「怒ってんのか?」
「当たり前でしょ、俺よりマヨネーズを選んだんですからね」
「お前とマヨネーズは別だろ?」
「だからですよ。なんで、マヨネーズが優先なんですか」
貰ったピザまんをモサモサ頬張りながら土方を見る。
この人にとってマヨネーズって何なのだろう…。本当に恋人なのだろうか?
「切らしてたからだ」
「そうですね、俺は品切れになりませんもんね。いつも居ますもんね」
だからマヨネーズ優先。
そんな言い訳が通用する相手だと思ってんのか?
「そう言う事だ」
「じゃねーだろッッ!!」
そんなのが通用する相手なんて恋人以下じゃないのか?
何を思ってるかは知らないが、しれっと言う土方に腹が立つ。
「そんな怒る事か?」
「どうせ俺はマヨネーズの次ですよ」
「誰も次だなんて言ってないだろ」
「じゃあ何ですか?タバコの次ですかね?」
もう言い訳はたくさんだ。
マヨネーズとタバコがありゃ、この人は満足なのだろう。俺はおまけだ。
「一番に決まってるだろ。自分を物なんかと比べんな」
「だって俺より…」
ピザまんを食べ終え、手に残った包み紙を見つめる。
そして、マヨネーズを『モノ』と言う土方にホッとしてる自分に気づく。土方の言う通り、比べていたのは自分だったのか…。
頬に手を添えて耳元に唇を寄せてくる土方に、思わず気持ちが高ぶる。
「ちょっとした禁断症状だったんだ」
「危ねェドラッグだな」
「お前ほどのドラッグじゃないがな」
言って、唇で耳や首に触れ、衣服の中に手を滑らしてくる。
認めたくないが、この人は分かってるんだ。
「…なに言ってんでィ」
「ここに戻ってくれば総悟がいる。それが分かってるからマヨネーズを買いに行けるんだ」
「納得いかねェ…」
納得したくないが、土方の言葉が嬉しい…。
「信頼してる証拠だ」
「信頼だけですかね?」
「…愛してる」
「マヨよりですかィ?」
「当たり前だろ」
「本当ですかィ?」

「お前が一番だ」


―その言葉が素直に嬉しい。






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END

感謝祭その2です。
「土方さんに焼きもちを焼く総悟さん」という事で…。
相手はマヨネーズかよ!!て突っ込みをいれたくなるような内容ですね…。スミマセン;
マヨネーズにイライラする沖田を可愛い〜と思って頂ければ…ムリですか?
というか、土方サンに焼きもち焼いてませんね…コレ…。マヨになってますね…。

少しでも希望に添えてれば良いのですが…おふざけな内容すぎたかもしれませんね;タイトルもヒドイ;
そして、誤字脱字が無ければ良いですが…。
最後まで読んで頂き有り難うございます!


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