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銀 魂:酔いどれワガママ。 |
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感謝祭その3 銀沖 酔っぱらった銀さんが〜。 だんな ダンナ 旦那 頭に響くこの声は、ほぼ毎日耳にしている声ではない。 アルアル言ってくるわけでもなく、何やってるんですか!と怒鳴ってくるアイツらじゃない。 じゃあ誰か?旦那と言ってくるヤツは限られている…。 「旦那〜、いい加減、返事するなり、起きるなりしてくれませんかね?」 ちょっと面倒くさそうに声をかけてくるコイツは…。 「旦那〜、いい加減起きないと生ゴミと一緒に捨てちゃいますよ?それとも真撰組に処分してもらいますかねィ?」 そうやって打たれ弱いドSにドSな事を言ってくるんだ。 「あ〜、起きてるよ?銀さんは起きてますよ〜?沖田くん」 「そうですかィ?じゃあ、立ってください。そこ寝るところじゃありやせんぜ」 「あれ?ここ何処?いでッ!」 沖田に急かされ立ち上がったが、視界が一回転し夜空の星が派手に飛び散る。 再度地べたに寝る格好になった銀時は座ったまま周辺を見回す。 「えーと…」 「屯所の門前ですよ」 「あー、屯所ね?」 言って銀時は塀をバシバシ叩く。 「です。土方さんに見つかったら、旦那は排除されますよ」 「いま何時?」 「丑三つ時ってヤツですねィ」 小さくあくびをして沖田は空を見上げた。 銀時が星を散らしたせいか、空の闇はさらに深くなった気がする。 「じゃあ、寝てるだろ。大串くんは」 「まあ、そうでしょうね。俺もそろそろ寝たいですけど」 「あ、俺も」 蹌踉けながら立ち上がり、銀時は沖田の後ろに立った。 「旦那はあっちでしょ」 屯所の門をくぐろうとした足を止め、沖田は銀時の前に腕を伸ばす。 そして、さした指の先は… 「旦那の家はあっちですよ」 「え?どこどこ??」 わざとらしくキョロキョロする銀時に、沖田は大きな溜め息をついた。 「ふざけてねェで、さっさと帰って寝た方が良いんじゃないですかね?まっすぐ立ってるつもりでしょうけど傾いてますぜ?旦那」 「ちょっと飲み過ぎちゃったんだよね〜、まだ酔いが覚めなくてさ〜」 足元をもたつかせ、口調はいつも以上に調子がいい。 本当に酔ってるんだなと思っていたが、今となってはその態度が疑わしい…。 「だから早く帰って寝たらどうですかって言ってんですよ」 「いや〜なんで、ここに来ちゃったのかな〜」 「酔い過ぎでしょ。じゃあ、俺はこれで…」 言って沖田は、もう一度大きな溜め息をついた。 「いやいやいや、おまわりさん、善行な市民がだよ?まっすぐ歩けないんだよ?一人で家まで帰れって、それは酷な話しじゃない?」 「まっすぐ歩けないのは、ただの飲み過ぎです」 「ちょ、冷たくね?少しぐらい介抱してくれても良いじゃん」 「介抱って、いきなり飛びやしたね。じゃ、旦那の家まで送りますよ」 こうなっては酔ってるかどうかなんて関係ない。 この人がココに来て何を企んでいるのか…。ここで会ったのは偶然かもしれないが、ここから始まった会話はこの人のシナリオ通りに進んでいるのだろう。 何処までも掴みきれない人物だ。この坂田銀時という人は…。 「え?え?何が飛んだの?沖田くん??てか、送っちゃうの?」 「おまわりさんに家まで送ってほしいんじゃないんですかィ?」 「それより、沖田くんに介抱してほしいんだけどな〜」 「チャイナにしてもらえば?」 だが、この人のシナリオ通りに動くわけにはいかない。 「お子様は寝てるだろ?ってか、そうじゃなくてね…、沖田くんの家に泊めてくれない?」 「家ってか、屯所だけど」 しれっと無理難題を言ってくる。 酔ってるから出来る事なのか、しらふでも同じ事を言ってくるのだろうか? 「屯所の沖田くんの部屋で良いよ?」 「良いよじゃねーよ、良いわけないでしょ。隣の部屋、土方さんですよ」 「良いじゃん別に。ちゃんと静かに寝るよ?沖田くんと一緒に」 「なに言ってんですか、バレたら殺されますよ」 今までくぐって来た修羅場に比べれば大した事は無い…か? 生死を懸けるほどの闘いとは確かに違う。じゃなくて、何でこんな事に駄々をこねるんだ?この人は…。 「バレなきゃ良いだろ?」 「無理ですって、二人分の呼吸に足音ですよ?バレねェほうがおかしいでしょ」 「隊士と二人で歩いたり、部屋入っても、おかしくないんじゃね?」 「だれが隊士でィ」 「沖田くん専用の特別な隊士だよ」 旦那は壁に手をつき顔を寄せてくる。 真顔で言ってくるその台詞に、ついドキっとしてしまう。 その息は酒臭く、やっぱり酔ってるのか?と思うが、それでも胸が高鳴って治まらない。 「…一番隊ですかね?」 「それ、特別じゃないんじゃね?普通に隊士だよね?」 「旦那、そろそろ酔い覚めやしたか?」 酔って言われるより、しらふで言われた方がやっぱり嬉しい。 だからつい訊いてしまう。悟られたくないから、自分なりにさりげなく…。 「まったく覚めないな〜、沖田くんの部屋で寝ないと覚めそうにないな〜」 「またテキトーなコトを」 Sだからわかる。この人もSなんだって。 言って欲しい事を言わず、さらっと躱してくる。 「テキトーなんかじゃいよ。本当の事だよ」 「…」 「今日は沖田くんと一緒じゃないと駄目みたいなんだよね」 「断りずらいこと言わねェでくだせィ」 それでいて言って欲しい事も分かっている。 旦那は何処かズルい。でも憎めない人だ。 「ただ寝るだけなら問題ないだろ?」 「バレても知りやせんよ」 「大串くんに?ダイジョーブダイジョーブ。マヨネーズあたえときゃ大人しくなるんでしょ?あとバナナだっけ?」 「真撰組をなんだと思ってるんで…」 「間違ってないよね?」 「まあ、あながち…」 ここまで来たら覚悟を決めるしかない。 屯所に巣食うマヨネーズにゴリラ。まあ、なんとでもなるだろう…。 …多分。 ギシ ギシ ギシ … どんなにすり足でゆっくり歩こうとも、立て付けが悪く老朽化した屯所では、音を立てずに歩くのは難しい。 ギシギシギシとハッキリ聞こえる二人分の足音。 誰と誰だなんて寝てる奴は考えたりするだろうか? 無言で自分の部屋の障子を開け、銀時を先に通す。 そして沖田は唇に人差し指を立てて注意を促した。 できるだけ隣の部屋から離れた位置に銀時を座らせ、静かに布団を敷く。 「こっちが大串君?」 小声で銀時は言い、壁を指差す。 「喋んないでくだせィ」 「少しくらい良いじゃん」 「…」 『土方サンの部屋はあっちです。言いたい事は筆談で』 無言でササッと書いた紙を沖田は筆と一緒に銀時に渡す。 『字書くのメンドクさくね?』 表情も面倒くさそうに銀時は紙に書き、敷かれた布団に入り込んだ。 『沖田くんの香りがする』 「…」 紙に目を向け、沖田は無言で布団に入る。 その横で銀時はもう一度筆を走らす。 『書く場所なくなっちゃった』 「…旦那の字が大きいからでしょ」 呆れ口調で沖田は小声で返す。 それに合わせて銀時も小声で言う。 「じゃ、喋って良いよね?」 「駄目でさァ」 「耳元なら良いじゃん」 布団の中でさらに身体を寄せる。 「近すぎ」 「これだけ近けりゃ喋って良いよね」 「ちょッ!」 銀時の間に腕を立て、無理矢理距離をあける。 銀時の息は、まだ酒臭い。 別に酒の臭いがどうとか言う気はないが…、この酔っぱらいがこのまま大人しく寝てくれるようには思えない。 「なになに?照れちゃってんの?」 「違いますよ、耳に息吹きかけるの止めてくだせィ」 「しょうがないじゃん、喋ってんだから。それともナニ?期待しちゃってる??」 喋ってるからと、息を耳に吹きかける行為を止めない。 その顔は酔っぱらってるようには見えなく、わざとやっているとしか思えない。 「いい加減にしないとバレちまいますよ」 「バレるかどうかは、沖田くん次第じゃね?」 「どういう事で…」 ニヤニヤした顔に警戒せずにはいられない。 執拗に身体を寄せてきて、唇が触れそうなほど顔も近い。何を考えているか容易に想像がつく。 「こういう事じゃね?」 「あッ!?ちょッ」 既に相手のペースに飲まれてしまっている事は分かっている。 分かってはいるが、この人のペースにハマってしまうと、抜け出す事は困難だ。 抜け出せる人もいるかもしれないが、大抵の人は無理だろう。 旦那は特別な人だ。 この人に惹かれる人はいっぱいいる。それだけ魅力のある人ってことだ。 そんな特別な人を独占できるなら…、この部屋で何をされても構わないと思ってしまう。 「静かにしないと、バレちゃうよ?」 「旦那も声出しちゃ駄目ですぜ」 バレるかバレないかは自分たち次第。 果たして朝まで独占できるだろうか? 俺は旦那を 旦那は俺を…。 -------------------------------------------- END 「酔っぱらった銀さんが沖田くんにねばる」という感謝祭のお題でした。 酔ってるのかどうか?ねばってるかどうか?疑惑の多い作文になってしまいました…。 しかも、できれば18禁が見事に流れてしまいました。 期待に添えてるかどうかは謎ですが;少しでも気に入って頂ければ幸いです。 相変わらず読みにくい文ですが; 最後まで読んで頂き有り難うございます。 #UP |