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FireEmblem 覚醒:希望に咲く闇 1
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FireEmblem覚醒

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<1話目>
もしもヘンリーが邪竜と何か関係があったとしたら〜なif話です。
if話という事で捏造しまくりです。
が、ネタバレ風味な内容があちらこちらに散らばっているので、ゲームクリアしてから読む事をお進めします。




繰り返される屍兵との戦い。
いつものようにそれは始まり、いつものように屍兵を排除して戦闘は終わる。
そう、終わるはずだった。

今日の空気は重く淀んでいて天気が悪い。
ただ、そう思っていた…。


その日も変わりなく、屍兵との戦闘が終わったかのように思えた。
だが、あの男が現れ、事態は急変する。
男はルフレの自我を支配し、笑いながらこっちを見る。
その瞬間、自分の存在が分かった気がした。
僕はルフレの近くに居てはいけない。この軍から離れなければいけないと…。

「だめ、ヘンリー!戻ってきて!!」

遠くで男が笑う。
無駄だと。
確かに無駄な事かもしれない。けど、少しでもルフレの助けになるのなら…。
少しでもギムレーを遠ざける事が出来るなら…。
平和な未来に、もっと近づける気がする。

だから、さようなら。

ルフレに微笑み、後ろを見る。
崖下は暗くて何も見えないが、きっと飛び降りたら無事では済まないだろう。
だけど怖いとは思わない。闇は落ち着く場所だと知っているから。

「やだっ、ヘンリー!」

飛び降りる時、ルフレが顔を覆うのが見えた。
でも、視界はすぐ闇の中へ落ちていく…。

「ああ…っっ!!」

ルフレの悲痛な声がこだまする。
だけど、その声は耳に届かない。
もう何も聞こえない…。


ルフレはその場に崩れ落ち、声にならない声でヘンリーの名を叫ぶ。

「ルフレ!!」
呼ばれてハッとルフレは振り向くが、既に呼んだ人物は崖の方へ向かっていた。
「ガイア!!待ってっっ!」
「くそっ!」
何の躊躇いも無くガイアと呼ばれた男は崖の向こうに消えていく。

「だめっ…!!」

二人を見失い、あの男も姿を消した。
男は現ペレジア王でファウダーと言ったか…。
その王の隣に居た自分そっくりな最高司祭が頭の中から離れない…。そして、ファウダーは私を自分の子だと言った。
…記憶がすごく曖昧だが、思い出すのは全てが壊れてしまいそうで怖い…。

私はどうしたら…。


…僕はどうしたらいい?

―邪痕
どうして我が子に?
忌まわしき痕…。

知られる前に、殺してしまえ。

いいえ、大事な我が子。殺すなんて出来ない。
なら、焼いてしまえ。邪痕なんて最初から、この子には無かったんだ。

やけどの跡が痛々しい。だが、邪痕は浮き出てしまう。
消えるわけなんかない。
忌まわしき子なのだから…。

幸い、二人目の子に邪痕は無かった。
ひとり目は運が悪かったんだ。
この子は捨ててしまおう。

それでも忌まわしき子に変わりはない。
何故、生きている?
どうやって生きてきたのだ?
獣に成り下がったか?
自由にしてしまうのは危険だ。
施設に閉じ込めておけ。

オオカミだ!!
何故ここに?
危険だっ!殺せっ!

ヤダ、ダメ!!コロサナイデッ!!

僕の大事なモノを返して…。
壊さないで…。

ピクリとも動かなくなった僕の友達は、川へ捨てられた。
最後のお別れも出来ず、お墓も作ってあげられなかった。お花も添えることが出来ないなんて…。

もう何も要らない、
全て無くなってしまえば良いんだ…。


このガキはなんだ?
施設に居た子供です。施設を半壊させたと…。
こんな弱そうなガキがか?
施設では手に負えないとの事で、軍に引き取って欲しいそうです。
そりゃ、末恐ろしいガキだな。使えるかどうか、試してみるか。

…全て壊しても良いの?


「僕、戦争大好きだから。一緒についてったら、いっぱい戦えそうだもん。
もし僕のこと信用できなかったら、殺しちゃってもいいからねー」

そんな事を言いながらイーリス軍に入ったんだっけ。
誰も嫌な顔をせず、僕を受け入れてくれた。
良い国だなって思ったんだ。嘘じゃないよ?

そして、ガイアに会ったんだ。
でも、お別れだね。


「だめ、ヘンリー!戻ってきて!!」
「やだ、ヘンリー!」

「ヘンリー!!」

声が聞こえる。

「目を開けてくれ!」

聞き慣れた声。

何も聞こえない闇の中で…
どうして声が聞こえてくるんだろう。

ガイア…?

目を開けると視界が明るくなった。
そして、人の温もりを感じる…。

「大丈夫か?」
「…ガイア」

これは闇じゃない。

「二人とも、無茶しすぎよっ…!」
ルフレの声も聞こえる。

「無茶でも何でもいい。どうして、飛び降りたんだ。何があった?」
強く抱きしめられ少し息苦しい。でも、ガイアの体温が心地良い。
じっと見てくる表情に笑顔はないが、息づかいを感じ安心してしまう。
「ゴメンね、ガイア。でも、こうするしかなかったんだ」
「どういう事だ?」
「僕はルフレの側にいちゃ駄目なんだよ…」
「何言って…、ヘンリー?」
ルフレから離れなきゃと思うけど、ガイアの腕の中で僕は…。
「…気を失ったみたいね。ガイアも無理しないで。人を呼んで来るから」
「お見通しか…」
ガイアはルフレを見上げ、目が合ったルフレは呆れた表情をする。
緊張感のない顔だが、何処か安心しているような、そんな印象があった。
「あんな所から飛び降りてピンピンしてたら逆に驚くわよ…」
「そうだな。生きててビックリしてる…」
「まさか、死ぬ気だった?」
「いや…、必死で分からなかった。崖下は海でさ、ヘンリーのマントを掴めたから、もしかしたらと思って…」
海中で何も掴めなければ、今の自分は居なかっただろう。そしてヘンリーも…。
助かったから言える事だが、愛があれば何でも出来る。…なんて、それは流石に言い過ぎか?

「ルフレさーーん!!」

「あっ…。呼ぶ前に来ちゃった」
「俺が呼び止めたようなもんだな…」

「大丈夫か?」
クロムはガイアに声をかけ、身につけていたマントを外し差し出す。
「すまない…」
そのマントをガイアは受け取り、ヘンリーの身体を包み抱き上げようとしたが、体に激痛が走り苦痛な声が漏れる。
「無理するな。ヘンリーは俺が運ぶから、ガイアはリズの肩を…て、ちんまいから返って負担になるか」
「んもう!ちんまいって言うな!!」
「やっぱり、人を呼んでくるわ。ガイア、もう少し待ってて!」
「すまない…」

待っている間、リズが回復の杖を使い。いくらか身体の痛みが和らいだ。
だが、海水で濡れた身体は体温が下がり、体力をどんどん奪っていく…。
ヘンリーの事は心配だったが、頭の中が靄に包まれていくような…そんな感覚に襲われ、次第に意識が遠のいていった。






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つづく

もしもヘンリーが〜だったら〜というif話しです。
いきなりヘンリーの過去がダダ漏れです。
そして、ガイアに肩を貸さないルフレに突っ込みを入れては駄目です(笑)
運べないと見越していたんですよ、きっと…。

2話目に続きます>>

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