EBI-EBI
FireEmblem 覚醒:呪いと恨みのエトセトラ 中編
絵と文とか

FireEmblem覚醒

TOP
INDEX

中編です。
ちょっぴりだけナニソレなシーンがありますので注意で。
自己責任でお読みくださいませ。




特に面倒なヤツに遭う事なく、無事自分の天幕に辿り着く事が出来た。
そして、中に入り大きく溜め息をつく。
夕飯時までにもとに戻れば良いと願うが、全てはサーリャ次第だ…。
勝手に恨まれ、勝手に呪われ…、もう溜め息以外何も出てこない。
寝台に腰を下ろして溜め息ばかりついていると、ヘンリーがじっと見てきていた。
その視線は天幕に入る前と同じで、背中を見ようと寝台に上がってガイアの後ろ側に座っている。
「さっきから何やってんだ?」
「ねえ、シッポは?」
「シッポ?」
「尻尾だよ〜、耳があるならあるんじゃないかと思って〜」
「あ…、えーと…」
何を期待しているのか、ヘンリーは楽しそうにマントの中を覗く。
「マントの中見ても何も無いぞ。動物の尻尾の位置は知ってるだろ?」
「お尻〜」
「そのちょい上だな。尾てい骨って分かるか?」
「じゃあ、ズボンの中?」
「まだ、生えているとは言ってないけどな」
「え〜」
ヘンリーは残念そうな声を出す。
耳を触っていた時もそうだが、呪いだというのに楽しそうだ。
「人事だと思って…」
そう愚痴を漏らさずにはいられない。
どうせなら、ヘンリーが呪われた方が…なんて事も考えてしまう。自分なんかより、ヘンリーに耳や尻尾がついてた方が可愛いじゃないかと。
「生えてるんでしょ〜?」
そう言いながら、シッポのありそうな位置を撫でて探る。
「お前、何処触ってんだよ?!」
慌ててヘンリーに向き直って、触ってくる手を掴む。
強い口調で言われてもニコニコと笑顔を返してくる。いつもの事だと思いながらも、その笑顔は頭の耳のせいじゃないかと思ってしまう。
「ん、ちょっとモコモコしてるよ?やっぱり、隠してたんだね〜」
「隠してた訳じゃないが…、まあ隠したいが。いや、最初からズボンの中なのに、わざわざ出す必要が無いだろ」
「でも、邪魔じゃない?」
「お前ね…、俺が耳隠してたの知ってるだろ。耳隠して尻尾出しとけって言うのか?」
『頭隠して尻隠さず』なんて異世界のことわざを思い出してしまう。
思い出しただけで、そのような失態はしない自身がある。が、隠していたはずのヘンリーとの関係はサーリャにバレている…と言う事は、やはり何処か隠しきれていなかったという事なのか…。
「今は隠す必要ないよ〜。シッポ苦しそうだよ?出してあげよう〜」
「シッポが苦しそうって…、それ俺の一部な?」
別の生き物みたいに言うヘンリーに呆れて言葉を返す。
隠す必要が無いのは確かなのだが、何か抵抗を感じる。
多分その理由は…、
「ズボンを下げて、尻を出せって言うのか?」
こういう事だからだろう。
「じゃあ、ズボンに穴開けて出すとか〜?」
「一生このままならな」
「ん〜」
ヘンリーは尻尾のありそうな位置をズボンの上から見つめて唸る。
何を悩んでるんだと、突っ込みを入れたくなるが…。
「まあ、サーリャが解呪してくれるまでの辛抱だ」
「ん〜…」
「どうしたんだ?」
唸り続けるヘンリーの顔を覗く。
ヘンリーもサーリャと同じ呪術士だ。もしかしたら、解呪法を考えてくれているのか?
「シッポに触りたい」
「…そっちかよ」
結局ヘンリーに突っ込みを入れてしまう。
そして、ヘンリーは意味が分からなかったらしく首を傾げる。
「そっち??」
ヘンリーの頭の中には解呪という言葉は無く、シッポで一杯のように思えた…。
「まあ、良いや」
諦め口調で言い、自分のズボンに手をかけて、ベルトを緩めて隙間を作る。
「これでいいだろ?」
隙間に手を入れて、尻尾を外に出した。
「わあ、本当にシッポだね〜」
「…シッポだな」
ズボンの中に何かあるなとは思っていたが、耳と違い露出していなかった部分で、わざわざ出して確認する勇気はなかった。
ヘンリーに即されて、中に手を突っ込み出してみたそれは、まぎれもなく尻尾だ。
「狼っぽいの想像してたけど、猫っぽいね〜」
狼のような尻尾だったら、ズボンに収まりきれていただろうか…と、余計な心配が頭をよぎる。まあ、違った訳だが。
猫っぽい尻尾は狼の尻尾にくらべると細くて収まりがよく、自分で言うのもなんだが毛並みが良い。
その毛並みをヘンリーは気に入っているらしく、耳と同様に両手で触れて満足げな笑みをこぼす。
「耳より長いから触りがいがあるね〜」
「…あんまり触るなよ」
ずっと手を止める事なく撫で続けるヘンリーにひと声かける。それでも手を止めず、不思議そうな顔で見上げてくる。
動物の尻尾をいじるヘンリーは可愛いが、これは少し状況が異なり個人的にはホノボノした雰囲気とは言い難い。
「なんで?」
「猫は触られると嫌がるだろ?」
「ガイアだよ?」
「まあ、そうなんだが…」
やっぱり理解していないなと溜め息をつき、気を紛らわそうとくわえている菓子の棒を噛んでみたり右や左に移動させてみる。
だがヘンリーは一向に尻尾から手を離す気配がなく触り続けている。
何故そんなに夢中になって触るのか…、執拗に触ってくる手に力がこもってきているのが分かった。
「ヘンリー、もう良いだろ…」
「え〜、シッポなんて滅多に触れないからもう少しだけ〜」
最初はくすぐったく頭を撫でられているような気持ちよさがあったが、次第に気持ちよさの度合いが増していく…。
「お前、夢中になり過ぎだろ…、もっと優しくな?」
「ん〜?そんな強く掴んだかな?」
言いながらやはり触り続けている。
「無自覚かよ…。まあ、その辺にしとけ」
「え〜」
まだ触り足りないらしくヘンリーは不満な声を漏らす。もちろん尻尾を握ったままで、その姿は可愛らしいのだが…。
「やめないと、俺は猫から狼になるからな?」
「狼に?」
「ああ、だからやめとけよ」
ハッキリ言ってやろうかとも思ったが、尻尾をいじるヘンリーは可愛く、そんな言葉をぶつける気にはなれない。
だが、遠回しに言われた言葉で、ヘンリーは期待の眼差しをガイアに向ける。
その目に一瞬ドキッとしたが、誘ってきているようには思えなかった。

とりあえず、これで手は止まるだろうと一息ついて菓子に手を伸ばした瞬間、強い刺激が背筋を一気に駆け抜けていく。
「!?」
ずっと我慢していた感覚が、油断した途端すぐ背筋を通って溢れていき、くわえていた菓子の棒を思わず落としてしまう。
何事かと焦って振り向くと、思った通りヘンリーが一生懸命尻尾を触っていた。
「おま…」
「狼になった〜?」
「ヘンリー、昼間っから俺に襲われたいのか?」
「ん?」
首を傾げて、さらに撫で回してくる。
「一旦手を止めろっ。襲うどころじゃなくなってしま…うからっ!」
ずっと我慢し続けてきたが、止まらないヘンリーの尻尾への愛撫に思わず声がうわずる。
「どうしたの?ガイア。狼は〜?」
「お前な…、狼どころじゃなくなるって…」
必死に込み上げてくる感覚を押し殺してヘンリーを睨みつける。
口に出して言う勇気はないが、まさか見ている前で一人でイケって言うんじゃないだろうなと警戒する。
「え〜?狼の友達ごっこ出来ると思ったのにな〜」
「友達?」
少しヘンリーの手が止まり、ホッと一息つく。
しかし、その言葉は理解できず、残念そうにしているヘンリーの顔を見つめた。
「うん、僕の友達だよ〜。でも、殺されちゃったんだ。だから、昔みたいに遊べるんだと思って〜」
「あ…」
そう言えば狼に育てられたとか言ってたなと思い出す。
自分の使った狼の例えは「ヘンリーには通用しないものだ」という以前に、「使ってはいけない」例えだと今さらながら理解した。
「ガイア?」
「ヘンリー、すまない。そう言う意味で使ったんじゃないんだ。異世界の童話に、少女が狼に襲われるという話しがあって、その例えで狼を男に…」
簡単に説明してみるが、狼の印象が悪い童話の例えで、ヘンリーがどう思うかを考えると、説明し続けるのが心苦しくなってくる。
「満月の夜に狼に変身しちゃうって話しもあるよね〜」
「あ?ああ、あるな」
不意にヘンリーが口を開き、素直に相づちを打ってみせる。
ヘンリーは何も知らない訳じゃない。知らない振りをしている方が楽だと、自然に身に付いたヘンリーなりの心の防衛なのだろう。
「僕の友達は優しかったけど、怖がられてたのは知ってるよ。だから、僕に会いにきて大人の人達に殺されちゃったんだ」
「…」
「ねえ、ガイア。もっと触っても良い?」
「良いが…、襲わない保証は出来ないぞ…」
あと、一人でイカされるのだけは勘弁してほしいと心の中で訴える。
「良いよ〜、ガイアとなら」
「まだ昼だぞ?」
「うん、かまわないよ〜。ガイアのこと大好きだし、シッポも気持ち良いから〜」
尻尾を撫でながらニコニコと笑顔を向けてくる。
その姿は本当に愛らしく、昼間だろうと関係なく襲いたくなる。
だが、尻尾を執拗に触ってこられるのは…正直しんどい。
「少し…手を離せ。俺が一人でいっちまってもいいのか?」
「あ〜、それも良いかもね〜」
「ほ、本気、か…?」
あり得ないと思いつつ警戒していた事を、良いかもと言われて少し焦ってしまう。
ヘンリーに限ってと思っていたが…甘く見すぎていたか?
「だって、ガイアは僕にするでしょ?たまには仕返し〜」
「ぐ…っ、させる…かよっ!」
言って尻尾を触っていたヘンリーの手を掴み、押し倒して素早く口を口で塞ぎ、舌を侵入させ口内を責め立てる。
空いている手もヘンリーの衣服の中に侵入させ、知り尽くした敏感なところを執拗にいじり回した。
「ん、ぁあ…」
少し唇を離すとすぐ声が漏れ、力の抜けた手からスルッと尻尾が解放される。そして、我慢し続けていた刺激がやっと和らいでいった。
「はあ…、やっと…」
「ガイア…、後でもうちょっと触らせて…」
「しょうがないな」
そう言って、もう一度キスを交わす。






-------------------------------------
つづく

気のせいか?ヘンリーが頭悪そうにみえるんですが…。きっと、気のせいですよね!?

後編に続きます>>

UP