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FireEmblem 覚醒:ガイ誕2014 1
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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ガイア幼児化。
ガイヘン+ロンノノです。他にルフレやヴェイクなんかも登場します。
※相変わらずの呪い捏造設定&呪いに振り回される人々です。
※絵にある幼児化ガイアより、小さいガイアになってます。





1月2日。
今日はガイアの誕生日。

年の始まりだけあって戦もなく、穏やかに時間が過ぎていく。
と言っても、明日は屍兵の討伐に出る予定だ。
準備をしておかなければと思うが、まだ年明けのめでたい気分が抜けきらない。

そして食事時には、軍の者達が誕生日だからと、ガイアに菓子を持ってくる。
僕は遠目でそれを眺めて、ちょっとだけ嫉妬してみる。
でもそれ以外の時間は、他の者に邪魔される事なく、ガイアの天幕で二人っきりの時間をすごした。
少し嫉妬はしてみたものの、まだ僕からは誕生日プレゼントを何も渡していない。
別にあげない訳じゃなく、どんな無理な要求でも答えてあげようと思ったからだ。

夕刻が過ぎ、その準備がやっと整った。
皆がガイアにプレゼントを渡している所を遠目で見てるのは少しだけ心苦しかったけど、やっと渡す事が出来る。

今回の呪いは特別で、いつもと違う呪いの道具を用意した。生け贄も、その辺のトカゲとかじゃない。
材料の調達が大変で試す事の出来なかった呪いだが、材料調達以外はそれほど難しい呪いではなく、ちゃんと行程も確認したし自信がある。
これでヨシとヘンリーは頷き、ガイアの寝そべっている寝台に声をかけた。
「ガイア〜」
「ん…」
最初はヘンリーの様子を伺っていたガイアだったが、今は惰眠を貪っている。
呼ばれても反応が薄く、ゴロンと寝返りをうち、ヘンリーに背を向け丸くなった。
「起きて〜」
「ん〜…」
まったく起きようとしないガイアにヘンリーは苛立ち、天幕の外に聞こえるくらい大きな声で名前を呼ぶ。
「ガイア〜ッ!!」
「もう少し…」
「ダメ〜」
それでも起きようとしないガイアに、ヘンリーはマントを掴んで、自分の方へ力いっぱい引き寄せる。
引っ張られてガイアは苦しくなった首元に手をかけ、怠そうに身体を起こした。
「はあ…、俺を放ったらかしにして、呪いに没頭してると思ったら、今度は何だ?」
「待たせちゃってゴメンね〜。プレゼントの用意をしてたんだよ〜」
「呪いでか…」
言われてガイアはちらっとヘンリーの後ろに目をやる。
そこには既に禍々しい気を放った呪いの道具が、床に描かれた魔方陣の中心に用意されていた。
「欲しいモノはなにかな〜?」
「決めてたんじゃないのかよ…」
てっきりプレゼントが沸いて出てくるのかと思った。
何も考えていなかった頭に訊かれても、欲しい物なんて咄嗟に出てこない。そして呪いだと思うと、やはり警戒せずにはいられない…。
「決めるのはガイアだよ〜」
「そう言われてもな…」
甘いモノで良いかとも思うが、呪いで食べ物を要求するのは危険な香りがする。
菓子以外では特に欲しいモノも思いつかず、これといったモノが頭に浮かんでこない。
「早く早く〜」
「そう急かすなよ」
呪いなだけに下手な事は言えないと慎重に考えるが、何故かヘンリーは黙っててくれない。
「早く〜」
「待てって、急がなくても誕生日は逃げないぞ」
「だって早くしないと〜」
「まだ日付が変わるまで時間はたっぷりある」
宥めるように言い、ガイアは腕を組んで欲しい物を考え込んだ。
長考する気満々のガイアに、ヘンリーは困った顔を向ける。
「そうじゃなくて〜、あっ!」
なんとか早く決めてもらおうとガイアに声をかけたが、ヘンリーの後ろで破裂音が響き、天幕内が一瞬真っ白になる。
「なんだっ?」
「…」
視界が戻り、ヘンリーはすぐ何が起こったか理解し、何か異変が起きてないかと注意深く周囲を確認する。
そして最後に視線をガイアに戻し、声が詰まってしまう。
「あ…」
「ん?」
ヘンリーの様子がおかしい事に気づき、ガイアはヘンリーに近づこうと寝台から下りた。
「どうした?ヘン…ぐあっ!?」
…つもりだったが、足が床に届かず宙を蹴り、頭から落ちてしまう。
「あっ、ガイアッ!」
「ぐ…、急に寝台が高く…」
「…」
無言でヘンリーはガイアの身体を起こし、自分の膝の上に乗せて、床に打ち付けた頭を優しく撫でる。
「いや、違うな…」
「うん…」
 「俺が小さくなってるのか?」
ヘンリーを見上げて、ガイアは自分が小さい事にやっと気づいた。
目が合ったヘンリーは申し訳なさそうに頷き、なぜ小さくなってしまったかをガイアは理解する。
「これ、ヘンリーの呪いだよな?」
「ゴメンね、失敗しちゃった…」
「確か、召喚した悪魔が分かれば、直ぐ解呪できるんだろ?」
以前にもヘンリーは呪いを失敗した事があり、解呪法の説明を聞いた記憶がある。
ちゃんと行程を守って唱えた呪いなら、呼び出した悪魔の特定は容易だと聞いた。
なら、その悪魔を直ぐ呼び戻せば、万事解決だと素人なら思ってしまうが…。
「そうなんだけど、呪いに使う材料を取ってこないと〜…」
「何が必要なんだ?」
そう簡単に事が運ぶ訳がない。
しょうがないなと小さな身体で大きな溜め息をつき、ガイアはヘンリーの膝から立ち上がった。
「崖に咲いてる奇麗なお花とか〜、あと熊の手…」
「了解、取ってくる」
崖を下りて花を取り、熊と格闘。大した事ではないなとガイアは呟き、颯爽と天幕の出口へ走り出す。
「ええ〜?駄目だよ、ガイアッ!」
「ぐあっ!?」
思いもよらないガイアの行動に、ヘンリーは急いでガイアのマントを掴み、勢い余ってガイアは前のめりに床に突っ伏した。
「あ、ゴメンね…」
「早く行かないと…」
申し訳なさそうに謝るヘンリーを横目に見て、ガイアは痛い身体を起こして出口に足を向ける。
「無理だよ〜…、今のガイアじゃ。僕が行ってくるよ〜」
崖はもとより、熊は小さいガイアの何倍の大きさだろうか。どう考えても、勝てる相手ではない。
なのにガイアは自分の状況を把握できていないのか、行くのをやめようとしない。
「駄目だ。明日は山へ屍兵の討伐に行くんだぞ。今、山がどういう状況か知ってるだろ」
「だから僕が行くんだよ〜」
「そんな危険な場所に、お前を行かせれるわけないだろ」
「だって〜…」
ガイアではあるが子供に制止されるなんて…。
でもガイアに面と向かって子供だからと言えず、困ってしまい悲しい顔でヘンリーはガイアを見つめた。
「…そんな顔するなよ、俺が悪かった。確かに今の俺じゃ、ヘンリーより役に立たないだろうな」
「ゴメンね…」
「いや…。まあ、あまり人に知られたくないが、ルフレに相談するしかないよな…」
溜め息をついて、ガイアは再度天幕の出口に向かう。
こんな姿を人に見られたくはないが、このまま隠し通せるとも思えない。
「あ、待って」
仕方がないなと覚悟を決め、天幕を出ようとしたが、またヘンリーがマントを掴み、ガイアもまたコケてしまう。
「ぶっ」
「あ…」
「マント引っ張るの禁止な…」
この姿になって今日は既に三回も痛い目にあっている。
子供はよく転ぶというが、自分の場合は子供だからではなく、マント…いやヘンリーが原因な気がする…。
「よいしょ」
「!?」
あと何回ぐらい転ぶだろうかと考えていると、視界が勝手に動き、急に床が遠くなった。
戻れたと一瞬喜んだが、地面に足はついていない。ただヘンリーに抱き上げられただけだと分かり、ガイアはガックリと肩を落とした。
そして抱っこしたまま天幕を出ようとするヘンリーをガイアは慌てて止める。
「待てっ、ヘンリー下ろせ!こんな所、人に見られたら…」
「ガイアが歩くより、抱っこしてった方が早いよ〜。それにこうやったら…、ホラ分からない〜」
そう言ってヘンリーは、自分のマントをガイアの頭からスッポリ被せ、外から見えないようにした。
小さいガイアの姿は外から見えなくなり、ヘンリーがマントの中に何かを入れているという事だけが、他人の目に留まるだろう。
あとは好奇心旺盛な人間と遭遇しない事を祈るのみだ。
「よし、行こう〜」



「ルフレ〜!」
マントを大事そうに抱え、ヘンリーは天幕に声をかける。
後ろを通りかかった者は、ヘンリーの抱えている物に不審な目を向けるが、すぐ目を離し通り過ぎていく。たぶん、呪いの道具だと思っているのだろう。
その中の一人が、不審な目を向ける事なく足を止め、ヘンリーの後ろから声をかけてきた。
「あらヘンリー、どうしたの?」
「ルフレ〜、天幕にお邪魔して良い〜?」
「ええ、いいわよ。どうぞー」
特に何も疑う事なくルフレは、マントの膨れ上がったヘンリーを快く天幕に招き入れる。

天幕に入り、ルフレが用意した椅子にヘンリーは腰掛け、簡単に自分がしてしまった事を説明した。
その説明を聞き、ルフレは唸りながらマントを凝視する。
「呪いの失敗ねぇ…」
「うん、どうしよう〜?」
「ガイアはマントの中かしら?」
「うん〜」
訊かれて頷き、ヘンリーはマントをずらして、大事に抱えていたモノをルフレに見せる。
「あら…、思ったより小さい」
子供の姿に驚く事なく、ルフレはガイアの頭に触れた。
呪いは何でもアリだと散々思い知らされていて、その呪いにガイアは散々振り回されている。
嫌がるかな〜?と思いながらも、労いのつもりで頭を撫でてみる、が…。
「反応ないんだけど…」
「ん〜、起きてたんだけど、途中で寝ちゃったみたい」
「おーい、ガイアくーん」
耳元で名前を呼び、ルフレは頬をツンツンと突いてみる。
「ん…」
「ガイア〜、ルフレの天幕に着いたよ〜」
「おはよう、ガイア」
薄目を開けたガイアに、ルフレは満面の笑みで挨拶をする。
そのルフレと目が合い、ガイアはハッと目を見開いた。
「いや、寝てない…ぞ!?」
「そう?ずっとヘンリーと話してたんだけど、静かだったわね?」
「それは…、マントの中が暗くて…」
「はいはい、ずーっとヘンリーの服にぎって、気持ち良さそうだったもんねー?」
「なっ!」
言われてガイアは慌てて手を離した。
「わわ、落ちちゃうよ〜」
膝から転げ落ちそうになるガイアの身体を支え、ヘンリーは膝の上に抱き直し、大事そうにガイアの背中を撫でる。
そんな二人をルフレは笑顔で眺めた。
「背伸びしなくても良いのよ?」
「別にそんなんじゃ…」
不満げにガイアは言い、ルフレは笑顔のまま言葉を続ける。
「身体は子供なんだから無理しないでね?明日の編成からは外しておくから」
「良いのか?廃墟があるから宝箱を漁るって言ってただろ。アンナは出撃メンバーじゃないからって、野営地を離れて商売しに行っちまったぞ」
現在のイーリス軍で鍵開けが出来る者は、盗賊のガイアとトリックスター…いや行商人のアンナだけだ。
アンナの本業は行商で、戦いが無い時はちょくちょく野営地を離れ、外で仕入れた物を軍の者に売りさばいている。
明日は出番じゃないからと、今日も朝早くから金のために出かけてしまっている。もちろん、この軍の軍資金のためではない。
「うーん、まあ平気よ。軍資金をちょっと拝借して、鍵を調達するだけだから。別に高価な物じゃないしねー」
「やっぱり僕、行って来るよ〜」
「駄目よ。山は屍兵だらけよ?討伐が終わってからにしましょ。私も手伝うから」
「でも、僕のせいだし…」
「気にしちゃ駄目!ガイアの分もヘンリーが討伐を頑張れば良いだけ。何も問題は無いわ」
「…」
ルフレはそう言うが、ヘンリーは責任を感じているのか、下を向いてしまっている。
膝の上にいるガイアは上を見上げ、しょんぼりしているヘンリーの顔を覗いて微笑んだ。
「ヘンリー、俺の分もヨロシクな」
ガイアは優しい口調で言い、宥めるように小さい手でヘンリーの肩をポンポンと叩いた。
「まあ、暇そうな人に声をかけて、参戦してもらう事にするから安心して」
「世話かけるな」
「いいえー、お子様を危険な戦場に連れて行けないからねー」
「誰がお子様だ」
ヘンリーに抱っこされたままガイアは不満の声を漏らす。
「ふふ。じゃあ、ヘンリーは明日の準備をしっかりしておく事。ガイアは野営地で遊んでてねー」
「ガキじゃないって言ってるだろ!?ったく、ヘンリー天幕に戻るぞ」
「じゃあ、明日ねー」
ルフレは手を振って天幕の外まで二人を見送り、ガイアはヘンリーの肩越しからルフレを見る。
「今日はたっぷり甘えると良いわよー?」
「そうだな、それもアリかもしれないな…」
目が合いルフレは微笑んで、ガイアは小さく頷いた。

天幕に戻ってからもヘンリーは静かだったが、ガイアがちょっかいを出すと笑顔で反応を返してきた。
それでもいつもらしさがなく、気分を紛らわせてやろうと色々と試してみるが、すぐ天幕は静まり返ってしまう。
「はあ、夜になっちまったな…」
「うん…」
「じゃあ、寝るか…」
「うん…」
先ほどから交わす会話の返事は、ずっとこんな感じだ。
「ヘンリー、元気出せって」
「うん…」
三回連続の「うん」は…、
流石に放っとく気にはなれず、もう一度ヘンリーに声をかける。
「ヘンリー」
ガイアは膝に手をかけ立ち上がり、背伸びをしてヘンリーを抱きしめた。
「ガイア?」
「ガキに心配させんなよ」
「ガキじゃないよ…、ガイアだよ」
「言うなよ。小さくなっちまって心細いのに、ヘンリーが構ってくれなきゃ、俺はどうしたらいいんだ?」
「ガイア…」
言われてヘンリーはガイアの顔を見つめる。
「良いのか?夜泣きするぞ?」
「ええ?」
まったく予想していなかったガイアの言葉に、塞ぎ込んでいたヘンリーが感情を表に出す。
想像できないと驚きの表情でガイアを見つめ、やっといつものヘンリーに戻る。
「ガイア、ゴメンね…。心配させちゃって」
「謝るなよ。もう夜も遅いが、少しくらいは甘えさせてくれよな」
「うん」
ヘンリーはギュッと小さいガイアを抱きしめ、頬をすりすりする。
どっちが甘えてるんだかと少し呆れた表情で微笑み、背中に回しきれていない手でヘンリーを優しく撫でる。

「…」
「ガイア、眠い?」
無言で目を細め身体が傾いているガイアに声をかける。
するとガイアの身体がピクッと動き、背筋を伸ばしてヘンリーを見上げ口を開く。
「ヘンリーは寝ないのか?」
「ガイアが寝たらね〜」
「俺はヘンリーが寝たらと思っているんだが」
「ええ〜?子供を寝かしつけるのが親の役目だよ〜」
ヘンリーは困った顔をガイアに向けて、その小さい頭を撫でる。
「誰が子供で、誰が親だって?」
お決まりのようにガイアは不満たっぷりな顔でヘンリーを見上げた。
「さっきガイアは、自分でガキだって言ったよ〜?」
「それはそれ、これはこれだ」
「え〜、ずるいよ〜」
「何がずるいんだよ。早く寝ろよ」
言いながら小さくあくびをして、ガイアは布団を引っ張る。
「ガイアの方が眠そうだけどな〜」
「気のせいだ」
身体を斜めにしてガイアは言い、ヘンリーは諦め半分で布団に入った。
「そうかな〜?じゃあ、先に寝ちゃうよ〜」
「ああ、ヘンリーの寝顔を見たら、すぐ俺も寝るよ」
「逆な気がするんだけどな〜。僕もガイアの寝顔見たいのに〜」
布団の中でヘンリーは、不満げな顔を小さなガイアに向けた。
だが、ガイアはそんな表情を向けられても、いつもと変わらない口調で言葉を返してくる。
「いいから寝ろよ。明日早いんだろ」
「うう、おやすみなさい〜、ガイア」
「おやすみ、ヘンリー」
最後にお休みの挨拶を互いにし、ガイアも布団に入った。

「…」

「……」

「すーすー」

「あはは、やっぱり眠たかったんだね〜」
微かに聞こえる寝息にヘンリーは微笑み、身体を起こしてガイアの寝顔を覗く。
「ふふ、可愛いな〜」
優しく頭を撫でて、額に唇を寄せる。
「…ゴメンね、ガイア。すぐ戻してあげるからね」
ゆっくり身体を起こし、もう一度ガイアを見つめて、頬に優しくキスをする。

「すぐ戻って来るから…」








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つづく

2に続きます>>

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