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FireEmblem 覚醒:誕生日 |
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ヘンリーの誕生日。 誕生日という事でベタなネタで。 すでにアレな感じの仲です。誕生日なのでイチャコラを目指しましたな感じです。 幸せそうなのを〜という事で、内容は無いです。つーか、菓子をいつも食っててすみません…。 11月12日。 秋も深まり、野営地から見える山は、本格的な冬を前に奇麗に色づいていた。 昼と夜の寒暖の差も激しくなり、身をもって冬がすぐそこまで来ている事を感じる。 夜も更け、集まって談笑していた兵士達も、明日に備え早めに各自天幕へ引き上げる。 そんな集まりに混ざる事なく、ずっと天幕で暖をとっていたガイアは、暦を手に取り暖を共にしているヘンリーの方を見る。 「明日、誕生日だな」 言われてヘンリーは、焼き菓子を頬張りながら微笑んだ。 「うん。戦争、頑張っちゃうよ〜」 「はあ…。折角の誕生日なのにな…」 「早く戦闘終わると良いね〜」 「そうだな…」 そう言い、抱き寄せて軽くキスをする。 次の焼き菓子に手を伸ばそうとしていたヘンリーだが、不意をつかれ菓子を取る事が出来ないまま手を引っ込めた。 「ガイア?」 「出来れば、誕生日ぐらいずっと一緒にいたかったんだけどな…」 「しょうがないよ〜。敵さんは待ってくれないからね〜」 抱かれたままガイアの肩をなだめるように軽くポンポンと叩く。 「じゃあさ、せめて何か欲しい物をだな…。誕生日は一緒に居れないかもしれないし、欲しい物だけでも贈りたいんだが…」 別に前日まで贈り物を考えていなかった訳ではない。 でも欲しい物も分からず、訊いても何も要らないという答えしか返ってきた試しが無かった。 要らない物は贈りたくないガイアとしては、どうしようかと悩んだまま前日になってしまったという感じだ。 「欲しいもの〜?」 ヘンリーも欲しい物は決まらないままのようで、ガイアの言葉を反復する。 そして悩んでいるのか、静かな時間が流れた。 その間、ガイアはヘンリーをずっと抱きしめたまま、欲しい物が決まるのを待つ。 だが、なかなか次の言葉を言わないヘンリーに、暇を持て余したガイアは首筋に唇を寄せた。 「あ…」 予想していなかった行為に、ヘンリーの体が反応する。 しかし、少し声を発しただけでまた黙ってしまったため、今度は耳の裏から鎖骨にかけて寄せた唇を這わせる。 「や…、ま、まって。言う…から…」 「別に無理に決めなくても良いぜ?無いならそれでもかまわない」 「え〜?じゃあ、何でこんな事するの…」 早く決めろと即すために、された行為だと思ったヘンリーは不満の声を漏らす。 「いや、暇だったし、見てたらつい…」 「はあ〜…。変な気分になっちゃうよ〜?」 「良いぜ、別に。夜は長いからな」 「え〜…。欲しいもの言うよ〜?」 「え?本当に決めたのか…」 さて寝台にでも移るかと思っていたガイアは、ヘンリーの言葉にちょっと複雑な顔をした。 確かに欲しい物を訊いたのは自分だが、このタイミングで言ってくるとは…。 やはり男に抱かれる事に抵抗を感じているのかと思ってしまう。 流石に押し切ってまで寝台に誘うつもりはなく、もう一度欲しい物を訊く。 「で、何が欲しいんだ?」 「闇が良いな〜。奇麗で安らぐような、そんな闇が欲しいな〜」 「やみ?って、闇か…。難しいな…」 難しいどころか、ガイアにはどんなモノかサッパリ想像がつかなかった。 だが、欲しい物を言わせておいて、それは無理と言うのも納得がいかない。 何か無いかと思案を巡らし、つい黙り込んでしまう。 「無理しなくていいよ〜?最近ちょっと忙しかったから、闇が恋しいな〜て思っただけだからね〜」 そう言われて、ちょっとだけ闇を理解出来そうな気がした。 疲れてるからゆっくり休める空間が欲しいという事なのだろう。 「そうだな…、考えておくよ。俺なりの闇ってヤツを」 「本当?楽しみだな〜」 「あまり期待するなよ…」 そこで話を切り、今度こそ寝台に向かった。 翌日は、朝早くから戦闘の準備で野営地は慌ただしかった。 武器の手入れ等、昨日のうちに出来る事はしてある。それでも中には、準備が未だに終わってないヤツもいる。 怠慢なのか鈍くさいだけなのかは分からないが…。 ガイア自身は、昨日の早い段階で戦闘の準備は終わらせていた。 夜ゆっくりしたかったのと、朝はギリギリまでヘンリーと一緒に過すつもりだったからなのだが…。 そのヘンリーは何も準備はしていないと、魔道書を探しに武器庫へ行ってしまった。 「…。どうしたもんかな、時間が余りまくりなわけだが…」 ヘンリーを見送り、溜め息まじりに呟いた。 時間を持て余し、何かする事はないかと辺りを見回し、通りかかったルフレに声をかける。 「おい、今日の味方の配置図とか何かあるか?」 「え?あるけど、何に使うの?」 言いながらルフレは持っていた紙をガイアに渡した。 「いや、ちょっとな。どんな感じになりそうなんだ?長引きそうか?」 「そうね…、そうでもないかな。策は完璧って訳じゃないからハッキリとは言えないけど、負けるような事はないと思う。多分そんなに長引かないとは思うけど、長引いたらちょっと戦局が不利になるかもしれないわね」 「そうか、頑張れば何とかなりそうか…」 受け取った配置図を眺めながら、ひとり納得する。 そんなガイアを見て、ルフレは軽く溜め息をついた。 「今回だけじゃなく、いつも頑張ってね?」 「え?あ、いや。いつも頑張ってるぜ?よ、よし、今日も頑張るぞ!」 見ていた配置図を素早くたたみルフレに返す。そして、ガッツポーズをわざとらしくして、ガイアはその場を離れた。 「これから戦なのに緊張感がなさすぎるわ…」 ルフレはガイアの後ろ姿を見つめながら、もう一度溜め息をついた。 時が過ぎ、戦闘が始まる。 ルフレの言っていた策がどのようなモノかは詳しく知らないが、今の戦況からして失策という事はないだろう。 思ったより早く敵陣の中腹部まで進軍する事ができ、敵は軍師の策に完全にハマった状態と言える。 完璧じゃないとルフレは言っていたが、これは完璧と言って良いだろう。やはり、イーリス軍の軍師は凄い奴なんだなと再認識した。 そんなイーリス軍優勢の戦場を眺めながら、ガイアは自分の役目を早々に終わらせて、役目ではない別の目的の場所を目指す。 移動中、交戦している味方が不利な状況であれば応戦するつもりだったが、まったくその必要は感じられなかった。 策がうまくハマったというのもあるだろうが、イーリス軍全体の戦闘能力もかなりのモノなのだろう。 もちろんガイアもその中の一人になるわけだが…。 やっと目的の場所まで辿り着き、辺りを見回す。 ぴくりとも動かない無数の敵兵が、無惨な姿で転がっている。 その中に味方兵士の姿は無く、ガイアは安堵の息を漏らした。 だが次の瞬間、背後に殺気を感じ素早く数歩退く。そして、剣を構えて殺気のする方を注意深く見やる。 すると殺気は消え、聞き慣れた声が闇の中から聞こえてきた。 「あれ〜?ガイア」 「と、ヘンリーか…」 殺気が誰のものか分かり、大きく息を吐き構えていた剣を下ろす。 相手も戦闘態勢を解いて、笑顔でガイアを見ていた。 「あはは、危なかったね〜。敵かと思っちゃった」 「やっぱり、危なかったのは俺の方なのか…」 「どっちだろうね〜?」 敵のダークマージの闇魔法なら躱せる自信はあるが、この軍のダークマージの攻撃を躱せる自信はあまりない。 敵兵ばかりが転がる惨状を眺め、背筋が少し寒くなるのを感じた。 「お前を敵に回したくはないな…」 「ふふ。僕もガイアは敵にしたくないよ〜」 「そりゃ助かる」 同意見のように聞こえる二人の言葉は、少し違う意味を持っている。 それにガイアは気づいたが、敢えて口には出さなかった。 もちろんガイアも無惨に殺されるという以外に、ヘンリーの言った言葉と同じ気持ちがある。 その気持ちを確かめるように、ヘンリーを抱き寄せた。 「ヘンリー、これからどうする?敵を倒し足りないなら、味方の援護にでも行くか?」 戦争大好きヘンリーの事だ。もっと敵を殺したいのかもしれない。 「どうしようかな〜」 訊かれたヘンリーは、少し考えたようだったが、はっきりとは答えなかった。 そして、ガイアに別の質問を返す。 「そういえば、ガイアはどうしてここに?」 ヘンリーに言われて、ガイアはちょっとだけ複雑な顔をした。 確かに自分の事には無頓着な奴ではあるが、「誕生日ぐらいずっと一緒に」と言っていたのに気づけないとは…。 「取りあえず、自分の仕事は片付いたからな。ヘンリーを迎えにきたんだ」 「迎えに?」 「ああ、平気ならちょっと付き合わないか?」 「うん、良いよ〜。もうそろそろ終わりそうだし、ガイアに付いて行くよ〜。何処行くのかな?」 「それは着いてからのお楽しみだ」 そう言い、ガイアはヘンリーの手を取って歩き出した。 イーリス軍の陣営への道のりは下り坂だったが、ガイアの進む道は上り坂だ。 月明かりを頼りに進んでいく道は、進むにつれて険しくなり、木々が視界を遮り殆ど見えなくなる。 「疲れたら言えよ。担いでやるから」 「すごく遠いの?」 戦闘の後で少し疲れているのか、少し不安そうな声をヘンリーは漏らした。 「いや、そんな遠くもないかな。迷わなきゃだが…」 「え〜。じゃあ迷ったら、お願いしようかな〜」 「了解。まあ、迷わないように祈っててくれ…」 ガイアは勘を頼りに、あるのか無いのか分からない道を進む…。 ヘンリーは何処を歩いているかも、何処に向かってるかもサッパリ分からなく、手を引っ張られながら上を向いて歩く。 木々の間から垣間見える月明かりだけが、自分の居場所を教えてくれている気がした。 そして、ガイアの手の温もりが生きる意味を与えてくれていると感じる。 ふと視界に、白い煙が夜空に向けて昇っていくのが見えた。 「あ、戦闘終わったみたいだよ。狼煙が上がったよ〜」 「あれはイーリス軍側だな。まあ、勝ったんだろうな」 「そうだね〜。お疲れさま〜」 狼煙が上がった方に向かって、ヘンリーは労いの言葉をかける。 道の真ん中で、大木がどっしりと構えている場所に、二人はたどり着いた。 その立派な大木の根が土の中に収まりきれず、何股にも分かれ地べたを這っている。 大木を迂回したとしても、とても歩けるような道に思えず、ヘンリーは不安そうにガイアを見た。 「迷った?」 「いや、多分あってる」 先ほどとは違い、多分とは言っているが自信のある口調だ。 ここからは歩かせるのは無理だと判断し、ガイアはヘンリーの前に立ち姿勢を低くした。 「ヘンリー。おぶってやるから、しっかり掴まってろよ」 「え〜?やっぱり、迷った?」 「ちが…。こんな所、お前は歩けないだろ。脚挫いたり、怪我されても困るからな」 言いながらヘンリーを担いで、道だかなんだか分からない所を進んで行く。 「重くない?」 「軽すぎて心配するほどだ。それより、寒くないか?」 「大丈夫だよ〜。ガイアの背中は暖かいからね〜」 まだ日付はまたいでいないとは思うが、夜も深く回りの空気は冷えきっていた。 吐く息も少しではあるが白い。 さらに進んでいくと、邪魔だった木々は減り、視界が良好になった。 眼前には草原が広がり、その先は崖になっているのか、離れた山々を見渡すことができた。 草原はそれほど広大ではなく、月明かりに照らされ幻想的な青色をしていた。 「海みたいな色をしてるね〜。深海みたい」 「ああ、もっと前に行こう」 ヘンリーを降ろして、草原の真ん中まで移動する。 「あんまり前に行くなよ。崖になってるから危ないぞ」 「はーい」 返事をしながらヘンリーは上を向いたまま歩き続ける。 ちょっと目を離していたガイアは、それに気づいて慌てて後ろからマントを引っ張った。 「だから危ないって…」 「あはは、ごめんね〜。空が奇麗だったから、もっと近づけるかな〜と思って」 やっと立ち止まったヘンリーは、そのまま上を見続けている。 「近づけるわけないだろ…。逆に崖から落ちて遠くなるぞ」 呆れた口調でガイアは言う。 そして、自分の身につけていたマントを外して草の上に敷いた。 敷いたマントの上を数回手で押し、ヘンリーに声をかける。 「おい、こっち来て座ってみろよ」 「?」 近づいてきたヘンリーに、マントの上に座るように即す。 「マント汚れちゃうよ〜?」 「気にするなよ。マントなんて汚れてなんぼだろ」 「ん〜。じゃあ、お邪魔しま〜す」 律儀に靴を脱いで、ヘンリーはマントの上に座った。 ガイアもヘンリーが座ったのを見てから隣に座る。 「どうだ?気持ち良いだろ」 「うん〜。柔らかいね〜、クッションみたいだよ〜」 「ここの草は背が高くて密集してるからな。予想通りの座り心地で良かった」 満足そうな表情を浮かべて、今度は寝転がった。 「ヘンリーも寝転がってみろ。夜空がもっと良く見えるぜ」 上を見上げていたヘンリーは視線を下に移し、自分もまたマントを外す。 取ったマントを自分たちの上に掛けてから横になる。 「寒くないのか?」 「くっついてれば平気だよ〜」 「じゃあ、もっとくっつくか」 そう言ってガイアは体をヘンリーの方に向け、空を見るのに邪魔にならない程度に少しだけ覆いかぶさるような体勢を取った。 次に、上になっている方の腕をヘンリーの腰へ回す。 空を見ていたヘンリーは腕を回され、近くなったガイアの顔に視線を移した。 「ガイアは凄いね〜。こんな所よく見つけたね〜」 「凄くはないさ。蜂の巣を探してて、たまたま見つけただけだ。夜来たのは初めてだったんだが、想像以上の景色で良かったよ」 「へ〜、そうなんだ。でも、ありがとう。無理なプレゼントお願いしちゃったのに、凄く嬉しいよ〜」 「まあ…、確かに結構悩んだけどな。そう言ってもらえると、連れてきた甲斐があったってもんだ」 相手の息を感じるくらいまで顔を近づけて、ガイアは言葉を続ける。 「お誕生日おめでとう、ヘンリー」 「ありがとう〜、ガイア」 そして、軽く唇を重ねる。 もう少し唇に触れていたかったが、空を見る邪魔になると思い、すぐガイアはヘンリーから顔を離した。 姿勢はさっきのままで、頭だけ斜め上に向けて夜空に視線を移す。 少しの間そのまま夜空を眺めていたが、ヘンリーの視線が夜空から自分に移っているのに気づいた。 「どうした?」 「してもいいよ?」 何をだ?と一瞬考えたが、すぐ何の事か理解する。 ただ、ヘンリーから言ってくる事は滅多に無く、違う事なのかもしれないと返事がすぐ出てこなかった。 「ガイアはしたくない?」 そう訊かれて、違う事ではないと確信する。 「いや…、良いのか?寒いぞ…」 「うん、平気だよ〜。だって天幕だと周りが気になっちゃうし…。声も少し我慢しないとね〜、ちょっと辛いんだよ〜?」 「そうだったのか、それで…。あー、いや、悪い…。気を使わせてたんだな」 確かに声をあまり出さないなと思ってはいたが、そういう癖なのかと思いあまり気にとめてはいなかった。 よくよく考えたら、天幕なんだ。近くを通りかかれば聞こえるだろうし、もしかしたら隣の天幕にだって…。 深く考えた事はなかったが、これからは気をつけようと思った。どう気をつければ良いかは、今は考えないでおくが…。 「じゃあ、今日は可愛い声をいっぱい聞かせてくれるってことだな」 悪戯っぽい表情でガイアはヘンリーを見た。 「え〜…。そういう事言うなら、我慢しちゃうよ〜」 困った表情をヘンリーは浮かべたが、その表情は恥ずかしさを隠すためだろう。ガイアが衣服を脱がそうと手を回しても、嫌がる素振りはしなかった。 そんなヘンリーを見て、ガイアはニヤリと笑う。 「出来るもんならやってみろよ」 そして少しだけ覆いかぶさっていた姿勢をヘンリーの上に完全に移動させる。 体重をかけないように手で支え、そして寒くならないように上手くマントをずらして衣服を脱がしていく。 あまり肌が空気に触れないように気を使うが、マント一枚しか上に掛かっていないため、すべてを覆うのは難しい。 月明かりに照らされてマントから覗く白い肌は、何とも言えない色っぽさがあった。 もっと下の方まで…欲を言えば全身見たかったが、流石に寒いだろうと…。 「寒かったら言えよ」 「うん…」 夜空の下、二人だけの時間は何にも邪魔される事なく、朝まで続いた… ーーーーーー 終わり。 最後がアッサリスッパリ切れてしまってるような感じに…。 戦闘をエスケープして朝帰りという…。サボリネタに続いてかなりアレですね。自由すぎてすみません。 なんか、ガイアが変態くさい事言ってる気もしなくはなく…気のせいですね。多分。 天幕でするなら、もちっと相手の事を考えろよガイア…。という突っ込みはナシでお願いいたします。 後日談があるとすれば、まあルフレにむちゃくちゃ怒られるんだろうと思います。 戦が終わっても戻ってこないんですから、敵に打たれた?と、心配するでしょう。 ルフレの策を持ってしても犠牲者が…て、事に。 ケロっとして帰ってくれば、そりゃ怒り狂うと…。 クロムやリズは心配してた!!ぐらいしか思ってないと思いますが(それはそれで薄情か…) とりあえず、誕生日ネタです。ハイ。 後日談を書いちゃうと朝帰りネタにクラスチェンジしちゃう感じです。 とりあえず、お誕生日おめでとう!ヘンリー!! 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