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FireEmblem 覚醒:がいあのよあけ 前編 |
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ヘンリー女体化[パラレルとして実は女の子でしたなヘンリーに、とある事情で知ってしまったガイア]
(ケアル感謝祭リクエスト)です。 事情がタダの出来事になってしまったという…。しかもベタです。スミマセン; 最初っから仲は良い感じです。体の関係はもちろんありません。あったらバレバレです…。 敵兵が目視出来る所まで迫ってきていた。 思ったより敵の進軍が早く、慌ただしく戦闘準備に入る。 イーリス軍は、それぞれ配置につき開戦の時を待つ。 今回は野外戦となり宝箱等は無く、戦闘に専念する以外にやる事はなさそうだった。 盗賊のガイアは、遊撃として戦に参加する事になる。 前衛部隊のうしろに回り、後衛部隊をすぐ援護出来る位置に待機した。 そして、後衛部隊の人数と兵種を確認する。 「あれ、ヘンリーのヤツ何処行った?」 いつもなら、既に配置について戦闘が始まるのを楽しみにしているハズなのに…。 今日の朝は魔道書を何冊か補充している姿を見ていたので、戦闘に参加していないとは考えにくい。 「まさか、女嫌いのアイツみたいに単独で敵陣に向かったのか?」 戦争大好きで敵を一杯倒したいヘンリーの事だ、ありえない事もない気がする。 ほっとけば良いかとも考えたが、鍵開けの仕事もないし、たまには一緒に行動するのもありかもしれない。 そう考え、ヘンリーを探すため軍を離れようとした。が、すぐ足を止める。 「あ、来たか。何処行ってたんだ?今探しに行こうと…」 「あれ〜、そうなの?ゴメンね〜。忘れ物取りに行ってただけだよ〜」 「そうか、なら良いが…。て、ちょっと顔色悪くないか?」 元々血色は良い方ではないが、いつもより青白く見える。そして、忘れ物とは言っているが、手には魔道書以外何も持っていない。 不振な表情でヘンリーを見ていると、笑顔で言葉を返してきた。 「あはは、今日はちょっと曇ってるからね〜。平気だよ〜、ありがとう」 確かに曇ってはいるが…そこまで青白く見えるだろうか。それに笑顔も無理しているように思える。 まあ、本人が平気だと言うなら良いかと「無理するなよ」とだけ言い、近くで待機する事にした。 程なくして戦闘が始まり、軍師の指示で敵を迎え撃つ。 前線を行く部隊は、既に敵と交戦状態にあった。 敵軍の機動力はかなりのモノなのだろう。思ったより手前で足止めを食らっている。 「やっかいだな…」 ガイアは前衛部隊が押さえきれず、後衛に向かってくる敵と剣を交えた。 楽勝だろうと考えていたが、陣形が敵の猛攻で崩れかけているのに焦る。 「なんでこんなに敵が多いんだよ…。自分で偵察に行って数えてくりゃ良かったな」 一人愚痴り、後衛に向かってくる敵を術士と連携して片っ端から排除していく。 少し余裕ができ、一息ついて辺りを見回す。そして、ヘンリーが居ない事に気づく。 そういえば先ほどから、サーリャやリヒトしか見ていない気がする…。 「おい、サーリャ。ヘンリーは何処に行った?」 「さあ、知らないわ。心配なら探してみたら?私は一人で平気よ」 「そ、そうか…?」 そう言われても、戦況は明らかに不利で、この場を離れるのには不安があった。 とりあえず、周辺を注意深く見渡す事にする。 そして少し離れた場所で、うずくまっている人影を見つけた。 マントの柄でヘンリーだとわかり、急いで駆け寄り声をかける。 「おい、大丈夫か!?怪我でもしたのか?」 「あれ〜?ガイア」 「あれ〜、じゃないだろ。どうした?」 何処も怪我はしていないようで、とりあえずホッとする。 しかし、顔色は先ほど会った時より更に悪くなっている。これはもう曇り空なんかは関係ない。 「具合悪いのか」 「ちょっとね〜。でも、大丈夫だよ〜。少し休めば治るから平気だよ〜」 「少し休めばってどれくらいだよ…。敵がすぐそこにいるんだぞ?担いでやるから退くぞ」 そう言ってガイアはヘンリーを担ごうと、しゃがんでいる前で背を向けた。 「え〜、大丈夫だからガイアは早く戦闘に戻って」 「何が大丈夫なんだよ、動けないんだろ?敵が来る前に早くしろって!」 なかなか動こうとしないヘンリーに、少しイラッとしてつい声を荒らげる。 「だから、少し…」 ヘンリーが口を開いたのと同時に矢が飛来し、ガイアは素早く剣で矢を振り払った。 「ほらみろ、敵に見つかったぞ!」 敵の攻撃は遠隔で、片手剣を扱うガイアの攻撃範囲外から狙ってきている。 素早く回り込もうにも、ヘンリーが心配で動く事が出来ず、とりあえず剣を構えて守りに徹する。 「参ったな…。これじゃ防戦一方だ…」 ヘンリーはまだ座り込んだままだ。 「誰か気づいて援護してくれると有り難いんだが…」 そんな事を愚痴っていると、また別の方角から矢が飛んでくる。 「な!?」 流石に逆方向から飛んくる矢に直ぐ対応出来ず、無理な体勢を取ってバランスを崩してしまう。 「ガイア!」 ヘンリーはガイアをかばって素早く前に立ち、魔法を詠唱し敵に反撃をする。 魔法を食らった敵は苦痛な声を上げ、その場に崩れ落ちた。 それを確認してガイアは溜息を漏らす。 「一撃で仕留めたのか…。凄いな…て、大丈夫か?」 すぐ座り込んでしまったヘンリーに気づき、隣にしゃがんで心配そうに顔をのぞく。 「急に立ったから、立ちくらんじゃった。あはは」 「笑ってる場合じゃないだろ。やっぱり駄目だ。ほら、早く行くぞ!」 「え〜。でも敵は倒したよ〜?」 「そんな状態になってまで敵を倒したいのかよ…お前は…」 相変わらず退こうとしないヘンリーに呆れた表情をする。 「っと」 最初に矢が飛んできた方角から、魔法が被弾した音と共に断末魔が聞こえてきた。 そして物陰から人の姿が現れ、機嫌悪そうな顔でこっちを見てきている。 「何やってるのよ、あぶないわね…。戦う気がないなら、さっさと退きなさいよ」 「サーリャか…、助かった。そっちに敵が居たのすっかり忘れてた…」 「ふん、いちゃつくのは後にしてよね。ここは戦場なのよ、目障りだわ…」 「い、いちゃ…?違うぞ!?具合悪そうだから、担いで退こうとしてるだけだからな?」 そう見えてしまったのかと、ガイアは慌てた。ヘンリーとはもちろんそんな関係ではない。仲は良いと思うが、男同士でいちゃつくような事は…。 「どうでも良いわ、そんな事。ここは平気だから、早く行って」 「分かったよ…。ほら、サーリャもああ言ってるんだし、観念しろ」 まだ動こうとしないヘンリーの脚に手を回し無理矢理背負い、ゆっくり立ち上がりながらガイアは言う。 「ちゃんと首に手を回せよ。落ちるぞ」 「でも…わっ」 ヘンリーが何かを言いかけたが、ガイアが走り出したため言葉が続かなかった。 「だから、ちゃんと掴まれって言っただろ…。俺の背中そんなに頼りないか…?」 「はあ…ごめんね〜。じゃあ、掴まるよ〜」 何か躊躇っているようだったが、流石に掴まっていないと不安定で落ちそうになるので、ガイアの首に手を回して背中に体を密着させる。 「んあ?」 予想外の感触を背中に感じ、ガイアは変な声を漏らした。 「お前…」 そこまで言いかけて、すぐ近くで閃光が走り爆発が起きる。 「くっ」 退こうとして地面の窪みに足下を取られ、体勢を崩し地面に手をついてしまう。 流石に人を担いでいると、身軽に…とはいかなかった。 「大丈夫?ガイア」 「ん、あ、ああ…平気だ。しっかり掴まってろよ…」 体勢を崩した際に、ヘンリーに後ろから強くしがみつかれ、背中への感触もハッキリと伝わってきた。 だが、あり得ない事だと頭の中を切り替え、軍の最後方で待機している医療班を目指す。 なんとか最後方に辿り着き、辺りを確認する。 戦場が劣勢なだけあって、負傷者が多く運ばれてきていた。 ヘンリーは負傷しているわけではないので、邪魔にならないように少し離れた木陰で休ませる。 「ここで安静にしてろよ。俺は戻るから、また後でな」 「うん、ありがとう〜。ガイア、気をつけてね」 ガイアは手を上げて答え、急いで戦場に戻っていった。 サーリャは平気そうに言っていたが、今の戦況を考えると余裕だとは思えない。 「サーリャ!無事か?」 サーリャを見つけて声をかける。 「見ての通りよ…」 辺りを見渡し、大きな溜め息が出た。 サーリャの周りには敵が折り重るように倒れている。 「凄いな…呪術士ってみんなこんなのなのか…」 「こんなのとは何よ…」 「あ、いや…」 言い方が悪かったかと気まずくなり、視線をサーリャの顔から下に移す。 そして、背中の感触を思い出し、つい考えている事が口に出た。 「…まさか、こんなのなのか?」 「何処見てるのよ。馬鹿な事言ってないで、先行くわよ…。早くルフレと合流したいわ」 「あ、ああ。悪い…」 ガイアはかぶりを振って、もう一度頭の中を切り替えた。 夜も更け、戦闘を終えた野営地では…。 なんとか勝利を収める事ができ、辛勝ながらも歓声が上がっていた。 日付は変わろうとしていたが、負傷者の回収やらで戦闘中の時とはまた違う慌ただしさが未だに残っている。辛勝なだけあって被害は相当のものだったのだろ う。 野営地に戻っても談笑をする者はなく、兵士達は戦闘の後片付けに追われていた。 ある程度片付いた頃に、ガイアは医療用に用いられている天幕に足を向ける。 「まだこっちに居たのか」 中に入り、寝台で横になっている人物に声をかけた。 「あら、ガイア。休んでなくて大丈夫?あちこち、走り回って疲れてるんじゃないの?」 声をかけた人物ではなく、寝台の横に座っていたルフレが口を開く。 「走り回るのが仕事みたいなもんだからな、これくらい平気だ。ヘンリーの様子はどうだ?寝てるのか?」 「ちょっと、疲れてたみたいね。ただの貧血みたいだから、休んでれば回復するはずよ」 「そうか」 寝ているためいつもの笑顔はないが、ヘンリーの顔色は座り込んでた時より格段に良くなっている。 安心したガイアは、小さく息を吐き表情を緩めた。 その様子を見て、ルフレは大きく伸びをして立ち上がる。 「よし、ガイアが来てくれたから、あたしはそろそろ戻ろうかな」 「ん、何処に戻るんだ?」 「軍師は色々と忙しいのよ。あ、そうだ、毛布一枚運んでこようと思ってたんだわ」 「毛布?」 「ええ、貧血の時は暖かくしとかないとね。ガイアは貧血とは無縁そうだから、分からないでしょうけど」 「鼻血の事言ってんのか?甘い物と血の量は関係ないからな。…多分」 不満そうにガイアが言うと、ルフレは笑いながら天幕の出口に向かった。 その後ろ姿を眺め、ある事を思い出し、椅子に座りかけた姿勢を戻す。 「あ、毛布なら俺が」 言いながらガイアも天幕を出る。 うしろをついてくるガイアをちらっと見て、呆れた表情をルフレはした。 「ヘンリーを見ててもらおうと思ったのに、ついてきてどうするのよ…」 「少しくらい一人にしといても平気だろ。お前は忙しいんだから、毛布くらい俺が取ってくるよ」 そう言われると断る気にはなれず、今度は微笑んでみせる。 「気を使ってくれてるの?優しいのね?」 少し歩き、ルフレは足を止めて不振な表情をガイアに向けた。 「ねえ、ガイア。何処までついてくるの?」 「いや、毛布って何処にあるんだ?」 「…。」 結局ルフレは、ガイアと一緒に毛布等が置かれている天幕まで、ついて行く事になった。 そして、一枚毛布を手に取りガイアに渡す。 「悪かったな。結局ここまで案内してもらって」 「別に良いわよ。もともと、あたしが運ぼうとしてたんだし」 そう言ってルフレは天幕を出ようとしたが、ガイアがじっと見てきている事に気づき足を止める。 「どうしたの?まさか、戻れないとか言うんじゃないでしょうね…」 「い、いや、そんな方向音痴の盗賊なんてどうするんだよ…」 「じゃあ、何?あたしの顔に何か付いてる?」 「いや…」 言いづらそうに頭をかいて、もう一度ルフレを見つめる。 そのまま少しの間が空き、なかなか次の言葉を言わないガイアに、ちょっとだけ苛ついた表情をルフレはした。 「用が無いなら行くわよ?毛布、頼んだわね?」 「あ、ちょっと待て。一つお願いがあるんだ」 今度こそ天幕を出ようとしたルフレだったが、また足を止める。 「お願い?」 「ああ、その…。おんぶさせてもらえないか?」 「はあぁ??なに言ってるのよ?そんな事してどうする気よ…」 ルフレからは当たり前の反応が返ってくる。 二人っきりしかいない天幕で、なんのためにそんな事をするのか、優秀な軍師でも流石にその意図が掴めず厳しい表情をした。 その表情に気づき、慌ててガイアは説明をする。だが、この状況で異性をおんぶするのに、まともな理由なんてあるだろうか…。 「あ、いや。変な意味じゃないんだ。ただちょっと、おんぶしてみたいというか…男と女の違いというか、背中に伝わる感触がだな…」 流石に、ヘンリーの事を言う気にはなれず、しどろもどろになってしまう。 そこまで聞き、ガイアが言い終わる前にルフレは口を挟む。 「ちょっと待って、ガイア…。その何処が、変な意味じゃないって言うのよ??」 彼の言ってる事のどこに正当な理由があるのか理解出来ず、ルフレは警戒心をむき出しにする。 「え?いや、やましい気持ちじゃないからな?ただ、感触を確かめたくて…」 「だからそれのどこが、やましい気持ちじゃないって言うのよっっっっ!!!!??」 ルフレの怒鳴り声とともに、平手打ちの切れの良い爽快な音が野営地にこだました。 ーーーーーー 後編へ続く。 UP |