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FireEmblem 覚醒:ガイア誕生日 前編 |
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ガイア誕生日 相変わらず菓子だらけな話しですが…。 定番?の、プレゼントは何が良い?な感じで。 すでに、ナニな関係です。菓子作りなんかも一緒にしちゃう感じです。 ここはイーリス聖王国、王都。 城に隣接して軍の宿舎があり、夜は自室で各々自由に過ごしている。 既に就寝している者もいるが、まだ明かりの灯っている部屋の方が多い時間帯だ。 その宿舎の自室で、ガイアは横になっている寝台の隣で寝ている奴を眺める。 「一緒に寝よう」と来てくれたのは良いが、そのまま本当に寝てしまった。 まだ日付は変わっておらず、さほど眠くもない。だが、寝込みを襲うような事は流石にしたくはなく…。 特にする事もなく、睡魔に誘われるのを待つ事にする。 程なくして睡魔は現れ、眠りに導かれる…。 何か夢を見ているような、現実かどうか分からない世界を漂っていると、聞き慣れた声が何処から頭の中に入ってくる…。 「おはよう〜、ガイア〜」 「?」 ふと、現実に引き戻され、辺りを見渡す。 部屋の中は真っ暗で、朝ではない事は明白だ。それどころか、寝付いたのはついさっきだった気がする…。 ぼーとしているガイアを他所に、もそもそと隣で起きだしランプに明かりをともす。 目を細めていると、ランプに手をかざし「眩しい?」と声をかけてくる。 「いや、平気だ」 「起こしてごめんね?」 「先に寝たのは、お前だろ…」 体を起こして、溜め息まじりに言う。 「あはは、そうだね〜。起きてても良かったんだけど、寝ちゃった」 「流石ヘンリーだな」 呆れた表情をして言ってやると、何か納得したようで数回頷く。そして、満面の笑みをガイアに向ける。 「えーとね。ガイア、お誕生日おめでとう〜」 「ん?ああ、日付変わったのか」 時刻を確認して、ヘンリーに視線を戻す。 「一番最初に言いたかったんだよ〜。起きれて良かった」 「…そんなに眠かったのか」 「ん〜。ずっと一緒に起きてると、言いそびれそうだったからね〜」 「別に…しなくても一緒の寝台で起きてても良いんだが…」 「え〜?そういう意味で言ったんじゃ…」 ちょっと気まずそうな表情をヘンリーはする。 ガイアも余計な事を言ってしまったと後悔し、話題を変えようと口を開いた。 「俺の誕生日だったな…、祝いの言葉ありがとう。で、プレゼントはあるのか?」 部屋に手ぶらで来ていたのは知っているので、特に期待はしていない。ただの話題変更のネタだ。 「そうそう、プレゼントね〜。ずっと考えてたんだけど、思いつかなくて今日になっちゃった。あはは」 「まあ、俺も何欲しいか自分でも分かんないしな…」 予想通りとガイアは自分なりの無難な言葉を返す。何故か「甘いもの」は出てこなかった。 「欲しい物ある?」 訊かれて考えてみるが、何も頭に浮かんでこない…。 「そうだな…。何も思いつかないし、ヘンリーでも貰うか」 「え〜?あ、でもそれって誕生日じゃなくても、もうあげてるよね?」 「それを言われてしまうと…」 面と向かってそんなことを言われると、何故か申し訳ないという気持ちになってしまう。 もちろん、お互いを求めあって体を重ねてるはずで、そう思うのはおかしいのだが…。 「まあ、何もいらないぞ?お前が居ればそれで良いよ」 「うわ〜。ガイア、急に恥ずかしい事言うね〜?」 「たまには言わせろよ…」 笑っている顔に手を添えて、自分の方へ引き寄せる…。 夜は、 まだ始まったばかりだ… ーーー コンコン 「ん…?」 ノックの音が聞こえてきて目を覚ます。 窓からは日差しが差し込み、夜が明けている事が分かる。 早朝ではない事も窓から入る日差しの強さで明らかだった。 「しまった、朝飯が…」 コンコン 「おっと」 再度ノックが聞こえ、その音で起こされた事を思い出す。 急いで寝台から体を起こし、服に手をかけて扉の方へ向かう。 「誰だ?」 片手で器用に服を着ながら、もう片方の手で扉の鍵を確認する。 鍵はちゃんとかかっていて、取りあえずホッする。 「おはよー!リズだよっ」 「リズか、どうした?」 朝は過ぎているので、朝食を呼びに来たわけではないようだ。 じゃあ、昼飯か?と、時刻を確認したが、まだそこまでは過ぎていない。 「今日、ガイアさん誕生日でしょ?お祝いしようと思うんだけどー?」 「はあ?今までそんな事してたか?」 記憶を辿ってみるが、誕生会なるものをやった事はあっただろうか? クロムやリズは王族なので、祝い事はあったかもしれないが…。 軍の一人一人を祝うなんて事は、特にしてなかった気がする。 「えへへー。今年から、皆の誕生日を祝おうと企画してて、その第一弾がガイアさんだよ!」 「ぐ、何か面倒くさい企画たててるな…」 「面倒くさいとか言わないの!」 扉を挟んでいるので表情は分からないが、きっと頬を膨らませているのだろう。 無下に断る事も出来ず、溜め息まじりに了承する。 「はあ、分かったよ…。そんな長い時間はやらないんだろ?」 「え?用事あったりするの?」 「ん、いや、まあ…。自分の時間が欲しいというか、なんというか…」 「そっか、ガイアさんの誕生日だもんね。ガイアさんに合わせるよ!」 「すまない、助かるよ」 「じゃあ、また後でねー!!」 用事だけをつげて、元気な声と軽快な足音は、扉から遠ざかっていった。 「まいったな」と呟き、窓際に移動し窓を開ける。 涼しい空気が部屋に流れ込んできて、寝起きだった頭はやっとスッキリと目を覚ます。 ふと視線を感じ寝台に目をやると、じーとヘンリーが見てきていた。 「起きてたのか、おはよう」 「おはよ〜」 「えーと、水浴びでもするか?」 「ん〜、もうちょっと」 そう言って、もぞもぞと布団の中に潜ってしまった。 寒かったのかと思い、窓を閉めて寝台に腰を下ろし、布団に声をかける。 「寒かったか?湯浴みにするか?」 「大丈夫だよ〜」 「じゃあ、どうした?具合でも悪いのか?」 心配になり布団の中を覗き込むと、にっこりと笑顔を見せてくる。 「良かったね〜ガイア。きっと今日は一杯甘い菓子が貰えるよ〜」 なるほど。と、ガイアはニヤリと笑う。 「わかった、誕生会に嫉妬してるんだろ」 「残念でした〜」 ヘンリーもニヤリとしてみせ、予想とは違う返事を返してきた。 「誕生会は楽しみだよ〜。潜ったのは、まだゴロゴロしてたかっただけ〜」 「楽しみなのかよ…」 二人っきりで過ごしたいとか考えてたのは自分だけかと、少し寂しく感じる。 そして、面倒くさいと思っているのもガイアだけのようだ。 「代わりに祝ってきてもらいたいぐらいだな…」 「それはダメ〜」 「はあ、俺ももう少しゴロゴロしてるか…」 そう言って布団の中に入り、昼食の時間までまったりとした時間を過ごす事にした。 ーーーー 昼食を済ませ、その数時間後にリズがガイアを呼びにやってきた。 あまり気乗りはしないが、リズの笑顔を見ると嫌とは言えず一緒に広間へ向かう。 誕生会の主役は一応自分なんだなと、面倒くさいという気持ちをなんとか仕舞い込んだ。 「じゃじゃーんっ!!お誕生日おめでとーー!!」 リズはケーキに注目が集まるように、大きく両手を広げた。 イスに座りながら、大きなデコレーションケーキに目を向ける。 「でっかいケーキだな」 「でしょー?わたしもちょっと手伝ったんだよー!」 エッヘンとリズは胸を張った。 「ほう。リズが…」 「んもう!不安がらないでよ?ちゃんと手伝ったんだからね!!」 「いや、別に不安がっては…。ありがとう、嬉しいよ」 「えへへー。はい、プレゼントも渡しちゃうよ!」 「ああ、ありがとう」 受け取り礼を言うが、周囲が気になりつい笑顔を忘れてしまう。 「あんまり嬉しそうじゃないね?」 「ん…、そうか?嬉しいが…」 言われてリズに向き直る。 リズはさっきまでと違い、ちょっとつまんなそうな顔をしていた。 「どうして男の人ってそうなのかなー。あんまり来てないし」 「まあ、男なんてそんなもんだろ。こういう行事には疎い生き物なのさ」 言いながら、また周囲を見渡す。 誕生会が楽しみだと言っていたヘンリーの姿が見当たらない。 昼食は一緒に食べたが、後から行くと言い自室に戻ってから会っていない。 楽しみだと言う言葉に嘘はないと思うが、もしかしたらへそを曲げている可能性も…。 黙り込んでいると、リズは不満の声を漏らす。 「むう、女子会にすればよかったかな…」 「俺の誕生会じゃなかったのかよ…」 呆れた表情でリズに視線を戻した。 半分女子会と化したガイアの誕生会は夕飯時まで続いた。 ーーーーーー 後編へ続く UP |