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FireEmblem 覚醒:鍵1 ここから始まる。
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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ヘンリーとサーリャはタダの呪術士仲間です。
ガイアとヘンリーは友達未満からです。ガイアがちょっと冷たいかも…。
そして、またもや変な?捏造な?術とか出てきます。




戦時中なのだから、兵士が戦闘に明け暮れる日々を送るのは当たり前だ。
そして軍に所属する盗賊は、宝の箱を開ける日々…。
もちろん、それだけではないが…。

溜め息まじりで、いつものように作業をこなす。
別に箱開けが嫌になった訳じゃない。

近場にあった宝の箱を3つ、次々と開けて中の物を袋に詰める。
最後の一つを開けようとした時に、隣でじーと見ている人物に気づいた。
気づいてなかった訳ではないが、別に邪魔でもないので相手にしていなかった。
だが、いつまでたっても離れないため、しょうがなく声をかけてみる。
「何やってんだ?」
「鍵開けを見てたんだよ〜。凄いな〜て思って〜」
感心しているらしく、ガイアの手元をずっと見ている。
「そりゃどうも」
だからどうしたと思いつつ、無表情に礼を言う。
そして最後の箱を開け終えて、その場を離れようと立ち上がった。
「どこ行くの〜?」
言いながらついてくるのを横目で見て、怠そうに答える。
「宝漁りが終わったから、味方の援護に行くんだよ」
「じゃあ、僕もそうしよう〜」
「お前、何やってたんだよ…。俺の鍵開けなんて見てないで、敵倒せよ。戦中だぞ」
薄っぺらな笑顔が何考えているか分からず、少しイラついた口調で言う。
コイツが戦争大好きだと言う事は、噂で何となく知っていた。そんな奴が鍵開けを観察して、何か意味があるのか?
「鍵開けしてみたいんだよね〜。今度、教えて〜?」
「はあ?覚えてどうするんだよ…」
「興味があるだけじゃ駄目〜?」
ただの興味本位かよと、溜め息が出た。
だが、ここで拒否するとしつこくされそうで、面倒ではあるが了承する。
興味があるのは今だけで、数日もすれば興味は失せるだろう。
「いいぜ。いつでも教えてやるよ」
「本当〜?楽しみだな〜」
嬉しそうに微笑み、魔道書を手に交戦中の味方に手を振る。
やっと自分から離れていく後ろ姿を見て、再度溜め息をつきガイアも味方の援護に向かった。


翌日
昼食を終えて一息つく。
風が気持ち良く天幕に戻るのが惜しい気がして、何となくひとりでひなたぼっこをする。
心地よい日向の温もりが眠気を誘う…。
「ガイア〜」
不意に声をかけられ目を開ける。睡魔は何処かへ消え、気怠さだけが残った。
「何の用だ…」
声で誰か分かり、怠そうに言う。
別に嫌いとかそういう訳ではないが、ひなたぼっこの邪魔をされ少し気分が悪い。
「昨日の約束だよ〜。鍵開け教えて〜?」
「あ?」
そうだったっけ?と腕を組み記憶を辿る。
「覚えてないの〜?」
「えーと、よく覚えてたな…」
「え〜、楽しみにしてたんだよ〜」
表情はいつもの薄っぺらな笑顔なので、怒ってるのかどうかは分からない。
どっちにしろ追い払ってもまた来るだろうと、諦めて教えてやる事にする。
「こっち来いよ。教えてやるから」
「本当?ありがとう〜」
ニコニコと寄ってきて隣に腰を下ろし、ガイアの手元をじっと見つめる。
どんだけ興味があるんだよ…と呆れながら手をポケットに突っ込み、鍵開けの小道具を取り出す。
「よく見とけよ。鍵穴はココには無いが…コイツをだな…」
宝箱があると想定して、手先を器用に動かしてみせる。
「ふんふん」
理解しているというより感心しているような相づちを打ち、手先に見入っている。
そんな様子を横目で見つつ、説明を続けた。
「こっちの方で鍵穴を…て、近すぎ…」
次第に近づいてくる頭が気になり、左手で見入っている相手の肩を支える。
いつも笑顔で目を閉じては入るが、何か雰囲気が違う事に気づく…。
「おい、近いって言ってるだろ?聞こえないのか?つーか、寝てんのか!?」
教えてくれと言っときながら寝るって…。
そんなに説明がつまらなかったのだろうか?そうだとしても、失礼過ぎるだろう。
「おい、起きろ」
ムッとしながら、肩を揺する。
しかし、反応がなく起きる気配はまったく感じられない。
「熟睡かよ…」
呆れて、大きな溜め息が出た。
どうしたものかと考えていると、不意に声をかけられる。
「…探したわ」
「ん?」
顔を上げると、寝ている奴と同じくらい禍々しい装束を身に纏った女が立っていた。
「サ、サーリャか…。なんか用か?」
別にやましい事をしていた訳じゃないが、もたれかかって寝ているトコロなんて他人からどう見えているか…。そう考えると、少し動揺してしまう。
「あなたにじゃないわ。そっちに用があるのよ」
「えーと、寝てるみたいだが…」
そっちに用があると言われても、当の本人には聞こえていないだろう。
「違う…、寝てるんじゃないわ。気を失ってる…」
「え…?俺は何もしてないぞ?」
どういう状況で、そういう事になるのか理解出来ない。
とりあえず、疑われるような事は何もしていない…と思う。鍵開けの説明で気を失うなんて、誰が予測出来るか?
「分かってるわよ、そんな事。原因は大体分かってるわ」
「なんだ?」
聞いたところで、どうこうする事もないのだが…、サーリャの口振りからして聞いて欲しいのかもしれない。
「昨夜、軍が呪われたわ…」
「呪われた?」
言われても、まったくピンと来ない。
呪われたという事は、誰か苦しんだりしてたのか?それ自体どういう事なのか良くわからないが…。
「私が呪詛返しを失敗したのよ。敵の呪いを返せなくて私が呪われたわ」
「軍って、サーリャが呪われたって事か…。いや…、大丈夫なのか?」
軍は呪われていないのかとホッとしたが、すぐ表情を引き締める。
よく考えると呪われた人物が目の前にいるのだ。ここで安堵なんてしてたら、こっちが呪われそうだ…。
「大丈夫よ。そこで気を失ってる人が解呪してくれたから。他に呪詛返しとか、結界でも張ってたんじゃないかしら…そんな形跡が野営地の周囲にあったわ」
「知識がないからサッパリなんだが…、大変だったって事か?」
「そうね。彼にとって呪詛返しは朝飯前でしょうけど、結界とかは私も良くわからないわ。滅多にそんな術は使わないし、どれくらいの規模で行ったのかも知ら ない。朝には術は解けていたようだけど、今の状態からすると自ら解呪したというより、自然に解けたんじゃないかしら」
「つまり、疲労で倒れたようなもんか」
呪詛返しや結界等と言われても、分からない事に変わりはない。ほぼ聞き流し、結果だけを理解する。
「そんなところね。限界だったと思うわ」
「はあ…、そんな状態で鍵開け教えろとか何考えてんだ…」
まったく理解出来ない行動に頭を抱える。そして、面倒事を持ってこられたような気がして、大きな溜め息も出た。
「さあ、知らないわ。そんな事より、いつまでそうしてるの。天幕まで運んでくれない?」
「え、俺が運ぶのか?」
不意に言われて、なんで運ばなきゃいけないんだと、サーリャを見る。このままにしておけないのは確かだが…。
「他に誰がいるのよ。女の私にさせる気?」
「そりゃ正論だな」
しょうがないなと、ゆっくり抱きかかえる。
見た目も太くはないが担ぐと想像以上に軽く、ちゃんと食べてるのか?と思う。
そして、こんなんじゃ倒れて当たり前なのかもしれないと勝手に納得した。

天幕まで運び、寝台に寝かせる。
微かに息はしているがピクリとも動かない。気を失っているだけと言われても、流石に少し心配になってくる…。
「私が看てるから」
「ああ…、じゃあ俺は戻るかな」
一緒にいても特に意味がないだろうと感じ、天幕を出る。
空を見上げると、まだ気持ちのよい日光が照っていて、ひなたぼっこの続きが出来そうだった。
気を失うほど疲労してるのに鍵開けを教えてくれと来た事に疑問は残るが、取りあえず草むらの上に横になる。
次第に眠気が頭の中を支配し始め、そんな疑問はすぐ何処かへ消えてしまった。



どれくらい寝ただろうか…。
うっすらと目を開けて辺りを見回す。
まだ夕飯時ではないようで、支度をする人影もまだない。そして、夕食を知らせる元気なリズの声もしない。
もう少し寝てようと、再度目を閉じる。しかし視線を感じ、閉じた目を直ぐ開けて起き上がる。
殺気ではないが、少し寒気を感じる視線だ。
何事かと注意深く周りを確認すると、物陰からじっと見てきているサーリャを見つけた。
「用があるなら声をかけてくれないか…?」
「気持ち良さそうに寝てたから、邪魔はしたくなかったのよ…」
口ではそう言っているが、その冷たい視線は惰眠の邪魔以外の何もでもない。本人はそんなつもりじゃないのかもしれないが…。
「で…、どうした?」
「ヘンリーが目を覚ましたわ」
「…そりゃ良かったな」
わざわざそれを言いにきたのかと、少し面倒くさそうに言う。
目を覚ましたからって、どうという事もないだろう。鍵開けだって、こっちから教えに行くような事でもない。
去ろうとしないサーリャを横目に他に言う事もなく、手持ちぶたさを感じ小袋から菓子を取り出す。
「ヘンリーが、あなたの事を気にしてたわよ」
「ん、何でだ?」
話しだしたサーリャに視線を移し、口に菓子を運ぼうとした手を止める。
「さあ?怒ってると思ってるみたいよ」
「俺が?別に怒ってないが…」
言われて、鍵開けを教えてる時に気を失ってしまった事を気にしているのだろうと、大体予想はついた。
確かに最初は何も知らなかったためムカついたが、事情を知った今は別に何とも思っていない。
「私に言われても困るわ。直接言いなさいよ」
「確かに、そうだな…」
ほっといても良いかと思ったが、サーリャが伝えに来たのは「目を覚ました」事ではなく、「怒っている」事だとしたら行くべきだろう。
きっと、サーリャもそのつもりで声をかけたのだ。
「えーと、わざわざ伝えに来てくれて有り難うな?行ってくるよ」
「こちらこそ、わざわざどーも」
「…。」
微妙な険悪感を感じ、それ以上は何も言わずに菓子を袋にしまい天幕へ向かった。
「わざわざ」は余計だったか…。
だが、その「わざわざ」のナニモノでもない。聞かなきゃ天幕まで行く必要はなかったのだから…。


溜め息まじりに天幕の入り口を開ける。
「起きているか?」
声をかけると、寝台から体を起こし、こっちに視線を向ける。そして、ガイアだと分かり頭を下げてきた。
「さっきはごめんなさい」
「いや、別に怒ってないが。無理してたんだろ」
「ごめんなさい…」
「いや…」
そんなに俺は怖い奴だったか?と口を開くたびに謝られて困ってしまう。
優しいつもりはないが、怖がられるような人間でもないハズだと思う…。
「えーと、そうだな…。どうして、あんな無理をしたんだ?」
「教えてくれるって約束だったから。楽しみだったんだよ」
「日にち決めてた訳じゃないだろ、いつでも教えてやるよ。気を失ってたんじゃ意味がないからな」
「本当にいつでも良いの?また忘れない?」
「ぐっ…。あ、ああ、忘れない。ちゃんと、教えるから…」
見透かされていたようで、焦ってしまう。
何考えてるか分からない顔のくせに、何気に鋭い。どうせ忘れるだろうと、適当に受け答えしてたのに気づいていたのか?
「わ〜い。嬉しいな〜」
いつもの笑顔でそう言われ、見透かした上での言葉なら、かなり腹黒い奴だなと思う。素直に喜んでいるなら、それはそれでかなりの純粋な心の持ち主だ。
まあ、どっちでも構わないが…。
「だから、無理はするなよ」
「は〜い」
最初の謝ってばかりの怯えたような雰囲気がなくなり、ホッとする。
「あ、そうだ。菓子食うか?一応、見舞いだ」
思い出したかのように、袋から菓子を取り出す。
そして、近くにあったテーブルを寝台の方へ持ってきて上に菓子を並べる。
「わあ、ありがとう〜」
並べられた菓子を見て、嬉しそうに礼を言う。
その様子に満足して、お茶の用意をしようとガイアは立ち上がった。
「紅茶でもいれてくるから、俺が戻るまで菓子食うなよ」
「あはは、ガイアは本当に菓子が好きなんだね〜」
「力の源だからな」
言いながら、お湯を貰いに天幕を後にした。

天幕に戻ると、テーブルの上の菓子はそのままで、ずっとそれを見つめているヘンリーがいた。
律儀なヤツだなと微笑ましく思い、つい顔が緩む。最初は溜め息まじりに入った天幕だったが…。
「待たせたな、ヘンリー」
「おかえり〜」
カップに紅茶を注いでいると、満面の笑みでこっちを見てくる。さっきまでの薄っぺらな笑顔との違いは一目瞭然だ。
「どうした?」
普通に紅茶をいれてるだけのつもりだが、変な事でもしたかと一瞬手を止める。
「あ、平気だよ〜。紅茶入れてて〜」
「ん?あ、ああ…」
言われて紅茶を注ぎ終えて、テーブルに紅茶をいれたカップを二つ並べた。
「で、何かあったか?」
「うん。ガイアが名前を呼んでくれたよ〜」
「はあ?」
それがどうした?という顔をついしてしまう。
「ずっと、オマエとかだったから、嬉しかったんだよ〜」
「そうだったか?すまん、別に他意はなかったんだが…」
まったく意識してなかったし、そんな事で喜ばれるとは思ってもみなかった。
これは、腹黒ではなく純粋な心…なのかもしれない…。
「謝らないで〜、別に気にしてないよ〜?ちょっと嬉しかっただけ〜」
ニコニコと笑顔を向けてくる。本当に嬉しかったんだなと思う。
自分の言葉でこんなに喜んでもらえると、何か気恥ずかしく感じる。
照れ隠しに頭をかきながら、菓子に手を伸ばす。
「食べようぜ、ヘンリー」
「ふふ、はーい」
もう一度にっこり微笑み、ヘンリーも菓子を手に取る。
「鍵開けも良いが、菓子も良いだろ?」
美味しそうに菓子を食べるヘンリーに言う。
「うんうん、もっと色んな菓子が見たいな〜」
ヘンリーは頷きながら笑顔で菓子を見つめる。
そんな幸せそうな笑顔に満足し、ガイアにも笑みがこぼれた。
「よし!今度、菓子をいっぱい持ってきてやるよ」
「本当?楽しみだな〜。約束だよ〜?」
「ああ、もちろんだ」
お互い笑顔で見つめ合い、目で約束を確認する。


今度の約束は、今までとは違う忘れるつもりのない約束。
甘い菓子の約束は、二人の距離を近づける。


そんな約束から始まる恋もあるかもしれない…


ーーー
おわり

結局…お菓子が…。
本当はお菓子の出てこない話しをと思って、鍵を持ってきたのに…。
お菓子は偉大ですね!?

ガイアが冷たく名前すら呼ばないという…今までで一番アレな話しかもしれません。
が、愛がない訳ではないのです。これから〜なのです。
そんな雰囲気?感じ?が伝わって頂ければ幸いです。


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タイトルヒドイな。

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