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FireEmblem 覚醒:フェリアにて 雪遊び。 |
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雪遊び。 雪で遊んでるだけ…なので?セリフ多めです。(いつも多めではありますが…) 二人はすでに仲良しこよしなナニな関係です。 イーリスより北に位置するフェリアから、更に北東へ行った先が今回の戦の場となる。そして目的は屍兵の討伐だ。 各地で屍兵は目撃されているが、被害が深刻だという付近の村人の報告を受けて、イーリス軍が排除に向かう事になった。 イーリス軍と言っても、今回は少数精鋭で編成された討伐部隊での作戦となる。 部隊は任務を遂行するため、吹雪の中フェリア城を目指して進む。 被害を受けている村の事を考えると城に寄っている場合でもないが、目的地へ向かうための準備を怠るわけにはいかない。 イーリスと違って年中雪で覆われた国で、更に北へ向かうためにはフェリアで食料や防寒具等を用意する必要があった。 数日の滞在を余儀なくされてしまうが、準備を怠って作戦が失敗しては元も子もないだろう。 そしてフェリアでの滞在は、イーリスからの長旅の疲れを癒す事も目的の一つとなっていた。 フェリアの領土に入ってからずっと続いていた吹雪は、城を目前にしてやっと収まる。 見失いかけていた進路は正しかったと、案内役の者は安堵の息を漏らした。 寒さで疲れきった体を早く休めたくて、イーリスの者達は足早にフェリア城へ入って行く。 ただ一人を除いて…。 「ヘンリー、何してる?みんな行っちまったぞ」 ヘンリーと呼ばれた人物は、ひとり足を止めて地平線の彼方まで続く雪原を眺めていた。 「凄い奇麗だね〜。何処までも真っ白で、色の無い世界みたいだよ〜」 太陽の光が雪の上に降り注ぎ、辺り一面が銀色に輝いていた。その景色は他の色が存在していないのではと錯覚してしまうほどだ。 何もない真っ暗な闇とはまた違う、何もない真っ白な世界に心が奪われそうになる…。 「雪、初めて見るのか?」 「ペレジアは年中暖かいからね〜。イーリスは降るの?」 「ああ、冬になればそれなりにな」 「そっか〜。楽しみだな〜」 ヘンリーは、いつもの笑顔で雪景色を眺め続けた。 なかなか城へ足を向けようとしないヘンリーに、もう一度声をかける。 「城に入らないか?」 「もう少し…。ガイア、先に行ってて良いよ〜」 ガイアの方は見ず、雪原を見つめたまま答える。 そんなに雪が気に入ったのだろうか。何を考えているかは分からないが、なんとなく独りにしておけない。そう感じた。 「いや…、一緒にいるよ。遭難されても困るしな…」 「ええ?遠くへ行ったりはしないよ?」 「まあ、遭難は冗談だが…。突っ立って見てるだけじゃ寒いだろ。ちょっと雪で遊んでみるか?」 「雪で遊ぶ?」 雪で遊ぶ事が想像出来ないらしく景色から目を離し、きょとんとした顔でガイアを見る。 「雪だるまって知ってるか?」 そう言い、ガイアは雪を手に取り握り始めた。 「だるまって、あの丸い?」 「ああ、それを雪で作る遊びだ。ほら、ヘンリーも雪を丸めてみろ」 言われてガイアに倣ってヘンリーも雪を手に取り丸めてみる。が、すぐ崩れてなかなか雪の塊が作れない。 「あれ〜?固まらないよ?」 「降ったばかりの雪はサラサラしてるからな。ちょっと手で温めてやると、少し溶けて簡単に丸まるぞ」 「冷たい…」 「雪が冷たいのは当たり前だろ。丸め終わったら俺の手袋かしてやるよ」 先に丸め終わったガイアは、袋から予備の手袋を出してヘンリーに渡した。 「ありがとう〜。それで、雪だるまはこんなに小さいの?」 「いや、ここからが楽しいトコロだ」 丸めた雪を雪原の上に置き、腰を低くして雪玉を転がし始める。 「こうやって、周りの雪をくっつけてやって、どんどん大きくするんだ。まんべんなく転がしてやると、まんまるい大きな雪玉になるぞ」 「へ〜。僕もやってみよう〜」 ヘンリーは雪の中にポイっと丸めた雪玉を投げ込む。 「置いた雪玉を見失わないようにな?」 小さな雪玉を転がしながらガイアは、そんなヘンリーを見て忠告をした。 言われたヘンリーは雪の上をキョロキョロと見渡す。 「あはは、もうどっか行っちゃった」 「はやすぎるだろ…。優しく置いてやらないと、埋まっちまうぞ」 「どこ行ったかな〜?」 ヘンリーが雪の中をモソモソと探している間に、ガイアの雪玉はどんどん大きくなっていった。 「よし、胴体はこんなモンかな。ヘンリーの方はどうだ?」 「これくらいで良いかな〜?」 膝ぐらいまでの大きさになった雪玉を転がしながら、ヘンリーはガイアの近くまで雪玉を運ぶ。 「なんか歪だが…まあ、いいか」 よっこらせと、ちょっと歪なヘンリーの雪玉をガイアが作った雪の胴体に乗せる。そして転げ落ちないように、接触している部分に雪を詰めて固定させた。 「あとは顔だな。えーと…」 ゴソゴソと袋の中を物色して、数個菓子を取り出す。 「棒状の菓子は眉毛と鼻と口。目は…この飴玉で良いか」 そう言いながら、歪な雪玉に菓子を埋め込んでいく。 「つぶらな瞳だね〜」 「まあ、愛嬌があって良いだろ」 「あはは。菓子だるまだね〜」 「雪だるま、だ」 「え〜?顔が菓子だらけなのに〜」 「菓子で出来た顔だが、元となる土台は雪だからな?」 完成した雪だるまを眺めながら、何だるまかと論議する。とてもくだらないが、なかなか白熱する話題となった。 だるま会議が一段落し、城に入ろうとガイアは雪だるまの菓子を取るため手を伸ばす。 「ねえねえ、他にどんな遊びがあるの〜?」 雪だるまの眉毛を取ろうとしたが、ヘンリーに声をかけられて、その手を止めた。 「他か?そうだな…、雪合戦とかソリとか…。あとは遊びと少し違うが、かまくら作ったりかな」 「かまくら?」 初めて聞く単語らしく、何の事か想像出来ずヘンリーは首を傾げた。 「興味あるか?雪で出来た小屋みたいなもんだ。結構、中は暖かいんだぞ」 「雪なのに暖かいの?」 「そりゃ暖房のある部屋に比べると寒いけどな」 雪が暖かい事に興味が沸いたらしく、ヘンリーは期待のまなざしをガイアに向ける。何か誤解されてる気もするが…。 「ガイア、かまくら作って〜」 「ぐ…。雪で作る小屋だからな?時間かかるぞ…ていうか、結構大変だぞ…」 「僕も手伝うよ〜」 ヘンリーの肉体労働は期待出来るとは思えない。ほぼ一人で作るはめになるだろうと想像し、作る前から疲労感が身体を襲う…。 「しょうがないな…。城からスコップとか借りてくるから待ってろよ」 城から戻ってきて、スコップを1本ヘンリーに渡し、お湯の入ったバケツを雪の上に置く。 そして位置を決め、そこにスコップを使って雪を集める。 自分の高さくらいまで雪を積み上げた所で、ヘンリーは音を上げた。 「は〜、これ以上腕が上がらないよ〜」 スコップに雪をのせたまま、ヘンリーは高く積み上がった雪の山を眺める。 「じゃあ、その雪山の上にでも登って、上から雪を固めてくれ」 「登れるかな〜」 「手を貸してやるよ。つーか、もう少し体力をというか運動能力をだな…」 ヘンリーを下から支えながら、予想通りと思いつつ小言が口をついて出た。別にマッチョになれとは言わないが、同じ戦闘要員としては少し心配だ。 「わ〜、眺めがいいね〜」 「落ちるなよ?もう少し雪を積むからな」 ガイアはスコップで雪をヘンリーに向けて投げる。 「あふっ」 流石に雪山の頂上は狭く避ける事が出来ず、もろにヘンリーは雪をかぶり変な声を漏らしす。 「大丈夫か?」 「冷たいよ〜…」 「はは、悪かったな。ちょっとそこで景色でも眺めててくれ」 まったく謝罪の言葉に気持ちはこもっていないが、ヘンリーも別に怒る様子はなく上から心配そうにガイアを見ている。 「もうこっちに投げない?」 「ああ、ちょっとしたイタズラだ」 「え〜?」 「困った顔が見たかっただけだよ」 ヘンリーを見上げて、ガイアはニヤリとした。 「え〜…ヒドイなあ〜」 「まあ、そこで休んでて良いぜ。雪を固め終わったら声かけてやるから」 スコップを雪に突き刺し、お湯…だったバケツの水を使い雪山を固めていく。 雪山の上にいるヘンリーは、景色ではなく雪山の周りで忙しなく動くガイアを上からずっと眺めていた。 「よし、そろそろ入り口でも作るか」 固めた雪山の前にしゃがみ、スコップで当たりを付けて少し固めた雪を削り始める。 ずっとガイアを見ていたヘンリーだったが、ガイアがしゃがんだため雪山が陰になり見えなくなってしまう。 自分以外の生き物が見えなくなり、吸い込まれそうな白い世界に独りだけ取り残されてしまったような、そんな感覚に身も心も支配されそうになる。 忘れかけていた過去を思い出し、孤独から逃げ出したくて、雪山の頂上から下を覗き込み急いでガイアを探す。 「ねえ、降りて良い?もっと近くで見たいよ〜」 「ん?ああ、こっち来いよ」 そんなヘンリーの気持ちに気づいているかどうか、入り口を掘りながら言葉を返す。 「あっ…」 「!?」 ぼふんっと音がして、ガイアの横で雪が舞い上がる。 少し驚いて隣を見たが、雪と一緒に見慣れたマントが見えて、それはヘンリーだと分かった。 「…飛び降りたんじゃないよな?落ちたんだよな…。大丈夫か?」 ちょっと呆れた表情をしつつ、雪を払ってヘンリーを起こしてやる。 「あはは、足滑っちゃった」 「はあ、下が雪で良かったな…。どこも痛めてないか?」 心配そうに足首等に触れて怪我をしていないか確認する。 「大丈夫だよ〜、頭から落ちたから〜」 「いや…それはもっと心配するだろ…」 今度は頭を撫でて無事を確認する。 「僕、役にたってないね。ごめんね」 「まあ、雪は初めてなんだし気にするな。それより、これから雪山に穴掘るから、かき出した雪をちょっと向こうに運んでくれないか」 「は〜い。この辺で良いかな?」 ヘンリーはスコップを持って、雪だるまの横に立ってみせた。 「ああ、そこで良いよ。完成したら、かまくらの中で雪だるまの顔でも食おうぜ」 「のっぺらぼうになるね〜」 菓子で出来た雪だるまの顔を眺めながらヘンリーは微笑んだ。 「やっと完成したな」 フェリアに到着した時はまだ明るかったが、かまくらが完成した時は既に日は沈み、辺りは暗くなっていた。 銀色に輝いていた雪は、月明かりで今度は青白く控えめな光を放っている。 「真っ暗になっちゃったね〜」 「雪国は日が沈むのが早いからな…。まあ、折角だし、入って菓子でも食って一息つこうぜ」 ガイアは雪だるまに近づき、顔の菓子に手をかける。 「ちょっと、可哀想だね〜」 「お前、さっき笑ってただろ…。雪だるまの顔食べようって言ったら」 「あれ〜、そうだったっけ?」 言いながら、やはり笑っている。 きっとコイツが言う可哀想という言葉には意味なんてないのだろう。他の人なら可哀想って思うから…とか、そんな理由に違いない。 そんな事を考えながら、雪だるまの顔から菓子を取り除いていく。 菓子を抱えて狭い入り口をくぐって、かまくらの中に入る。 中は二人だとちょっと狭いくらいの広さだった。 「横になれないね〜」 「寝る気か…?ほら、菓子」 どんだけくつろぐ気なのかと、呆れた表情をヘンリーに向けた。 そして違う意味の寝るではないだろうと思いつつも、菓子を渡しながら少し想像してしまう…。もちろん想像しただけで、この寒さの中で流石にそんな気にはなれない。 「はあ〜、なんか落ち着くね」 菓子を頬張りながら、ガイアに寄りかかって一息つく。 「そうだな、寒くはないだろ?」 「うん。ガイアとくっついてるからかな?暖かいよ〜。ちょっと眠くなってきたかも…」 「寝るなよ?凍死するぞ」 言いながら菓子を数個さらに渡す。 「あはは、ガイアと一緒なら平気だよ〜」 「…何が平気なんだ?」 なんて事ない言葉のはずだが、ヘンリーの言った意味が分からず聞き返してしまう。 寝ても起こしてくれるからか、それとも一緒なら凍死してもと言う事なのか…。そこまで考えて言っているのかさえも不明だが、聞き流す事が出来なかった。 「ん〜?あれ、僕なんか変な事言ったかな?」 ヘンリーには自覚がないらしく、心配そうにガイアの顔を覗き込んでくる。自分が思っている以上に深刻な顔をしているのかもしれない。 「俺と一緒なら平気って、どういう意味だ?」 「全部だよ〜?」 「ぜんぶ?」 「うん、ぜんぶ」 そう言って、かまくらから顔を外に出して、ヘンリーは歓喜の声を上げた。 「わあ、星が一杯だよ〜。こんな奇麗な夜空、初めて見たかも〜」 「…。寒いと空気が澄んでるから、よく見えるんだよ」 ぜんぶの意味も知りたかったが、ヘンリーに合わせて言葉を返す。多分、悪い意味ではないだろう、と…。 「へ〜、ガイアは何でも知ってるんだね〜。もっと色んなこと聞きたいな〜」 「俺で分かる事なら、何でも教えてやるよ」 「本当〜?」 「それより、俺にも見せろ」 無理矢理ヘンリーの横から顔を外に出し、夜空を見上げる。 狭い入り口の隙間は、二人によって全くなくなってしまった。 「ガイア、きついよ〜?出れなくなっちゃいそう」 「その時は、かまくらを破壊するまでだ」 「え〜、折角作ったのにな〜」 横で残念そうな顔をしているヘンリーに、ちょっと意地悪な顔を向ける。 「俺がな?」 「ふふ、また作ってね〜」 「しょうがないな。じゃあ…、戦争が終わったら二人で遊びに来るか、フェリアに」 「良いの?それって戦争終わっても、ずっと一緒って事だよね〜?」 残念そうにしていたヘンリーの顔が、ぱっと明るくなるのが分かった。かまくらを作ってもらうより、もっと嬉しい約束ができたためだろう。 まだ夜空を見ていたかったヘンリーだが、嬉しくてガイアから目が離せなくなってしまう。 「ああ、そうだな」 ガイアも空から視線を移し、笑顔のヘンリーを見つめる。 「全部一緒だよ〜?」 「厠くらいは一人で行かせてくれ…」 「え〜、しょうがないな〜」 二人は微笑み合って、軽くキスを交わす。 戦争が終わった後の事なんて、何も考えていない。 平和になっているかどうかさえも分からないのだ。 だが、イーリス軍なら…クロムやルフレなら、希望のある未来へ導いてくれるだろう。 どんな未来が訪れても、離れはしない。 それだけは今この場所で約束しよう。 ずっと一緒だという約束を…。 ーーーーーー おわり。 ほぼ雪遊びだけで終わるという…。 何気に?どんくさいというか、運動神経0っぽいヘンリーさんになってしまってスミマセン。 今回は戦闘もしていないので、さらにどんくさく…; そんなヘンリーをからかっているようなガイアだったりと。 本当に雪でキャッキャしてるだけですね。 こういうのをバカップルというのでしょうか…。 2話目に続きます>>湯浴み。(※15禁くらいです) UP |