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FireEmblem 覚醒:フェリアにて 湯浴み。 |
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フェリアにて。の2話目。湯浴み。 浴場で欲情だなんて…そんな事は言いません。よ?多分、ええ…。 無駄に長い2話目です。1話から3話への繋みたいな内容です。なのに無駄に(以下略… とりあえず?15禁くらいで良いでしょうか…。 「自覚は出来てるの?」 フェリア城の入り口から大広間に続く回廊に、三人の人影が見える。 その影は女一人と男二人で、女は可愛い感じの少女だったが、見た目とは裏腹に口調は厳しかった。 「明日はまだフェリア城だけど、明後日には討伐に向かうのよ?」 「もちろん忘れてるわけじゃないさ…。ただちょっと、夢中になって…」 困った顔で男は言葉を返すが、言い終わる前に言葉を被せられる。 「それが自覚出来ていないって言うんじゃないの…。討伐前に風邪でも引いたらどうするのよ」 「あはは。ルフレ、お母さんみたいだね〜」 もう一人の男が笑いながら少女に言う。普段から微笑んでいるせいか、注意されている自覚がないようにみえる。 「ガイアにだけじゃなく、ヘンリーにも言ってるのよ?」 ルフレはヘンリーに視線を移して、呆れた口調で言った。 「ごめんね〜、ルフレ。僕がガイアに、かまくら作ってって言ったから遅くなっちゃって」 「心配かけてすまない」 「謝らなくても良いわよ。ただ、体調管理だけはしっかりね?」 男二人に謝られて、ルフレはしょうがないなと溜め息をついた。 「まあまあ、それくらいで勘弁してやりなよ」 後ろから威勢のいい女の声がして、ルフレは振り向いた。 「あ、フラヴィア様」 「突っ立ってたら、それこそ風邪引くよ。大浴場は、まだ解放してあるから入っておいでよ。温かい料理でも用意しとくからさ」 「いや、それは…。適当になんとかするから、俺らみたいな一般兵に気を使わないでくれ」 冷えきった身体には有り難い話しだが、素直に厚意を受け入れる気にはなれなかった。 フラヴィアと呼ばれた女はフェリアの東の王で、現在は東西を統べる国王だ。 姉御肌で裏表がなく、部下や国民からの信頼は厚い。 そして誰にでも気さくに接してくれる…とはいえ、盗賊家業を生業としてきたガイアにとっては、身分の違いは天と地の差だ。そんな事は気にするなと言われ ても、やはり気遣われる事に抵抗を感じてしまい、手放しで喜ぶ事が出来きなかった。ただ、断る理由はそれだけではないが…。 「何言ってんだい。こっちこそ、わざわざ討伐に出向いてもらうっていうのにさ。ちゃんと、おもてなしくらいさせておくれよ」 「えーと、その気持ちだけで十分だよ…」 もう一つの理由は言う気にはなれず、言葉を濁してしまう。 そんなガイアの様子を見て、ルフレはある事を思い出し口を開いた。 「あ、そっか。ごめん、ガイア…。大浴場は他のみんなも使うから、入りづらいのよね…」 「まあ、その…、そうだな、じゃあ折角だし料理だけ頂くかな…」 ルフレに言われて、遠回しに大浴場への入浴を断る。 入浴を躊躇う、もう一つの理由は腕の印の事で、ルフレは既に知っている事だった。もちろん、知られたくはなかったが。 その印は罪人への戒めの烙印で、人には見せたくないモノだ。ましてや、王族の者になんて…。 「どうしたんだい?他人とは一緒に入れないのかい?」 「ちょっと、色々あってな…」 「性病とかかい?」 「っっっな!?ちが…」 まさかのフラヴィアの言葉に、思わず言葉が詰まる。言うまでもなく、性病ではない。理由は腕の烙印一択だ。 「あはは、ガイアが性病だったら、僕もっふ…」 「っっっばっ!」 何を言い出す気かと、慌ててヘンリーの口を両手で塞ぐ。 そのままガイアは気まずそうに女二人の顔色を伺っていたが、さほど気にする様子もなくフラヴィアは話しだした。 「まあ、冗談だよ。理由は訊かないでおくから安心しな。で、良かったら王族の浴室使うかい?」 「ええ?良いの?フラヴィア様」 ルフレも気にする様子はなく、フラヴィアの提案に驚いていた。 「もちろんだよ。使った後、近くの使用人に声をかけてくれれば、好きに使ってもらって構わないよ」 「いや、しかし。俺なんかが使って良い場所じゃないんじゃないのか…」 やっとヘンリーの口から両手を離し、フラヴィアの方に向き直った。 流石に身分違いだと、断る言葉しか頭に浮かんでこない。 「私が良いって言ってるんだよ。王の気遣いを無下にする気かい?」 「えっと、僕は〜?」 ガイアが返答に困っていると、ヘンリーが横から口を挟んだ。 「私は構やしないが、どうなんだい?」 フラヴィアにそう訊かれて、王族の浴室を使う事は決定しているように感じた。 なら、むやみに断るのは逆に失礼かと、入る事を前提にやっと言葉を口にする。 「じゃあ…、コイツも一緒で…」 「え、良いの?ガイア…」 流石にそこは聞き流してはくれず、ルフレは心配そうな顔でガイアを見てきた。 腕の烙印の事も冗談めいた性病の下りと同じように、気にしないでいてほしかったが…。 多分ルフレが聞き流してくれなかったのは、ガイアにとって烙印がとても深刻な事だと理解しているからだろう。 「いや、えーと、コイツにもバレちまってるから…。それに一人で王族の浴室なんて、尻込みしてしまう」 「そうなの?バレまくりなのね?」 案外、深刻ではないのか?と、不審な目をガイアに向ける。 そんなルフレに対し、ガイアは真剣な表情で答えた。 「お前とコイツにだけだよ…」 真剣に言ったところで伝わるかどうかは分からないが、腕の烙印を軽く見られてしまうのは不本意だ。 「どうやら私だけ仲間はずれのようだねぇ。ま、用意が出来たら声をかけておくれよ。浴場まで案内するよ」 少し険悪な雰囲気を感じたのか、フラヴィアは二人の会話に終止符を打つ。 フラヴィアに声をかけられ、ガイアはルフレから視線を外した。 「手間をかけさせてすまない」 「気にするんじゃないよ」 手を軽く振りフラヴィアは広間へ向かった。 「器の大きな王様で良かったわね〜」 そう言って、ルフレもフラヴィアの後に続く。 確かに器の大きさに救われた気はする。 フラヴィアに詮索されなかった事に安堵はしたが、ルフレの口調は少し引っかかるモノだった。 遠回しに「私の気苦労でした」という態度が伝わってきて、何気に意地悪な軍師だなと思う。まあ…、優しいと思った事もないが。 フラヴィアに案内されて、王が使用する特別な浴室に通される。 フェリア城自体、無駄な装飾がなく質素で素朴な印象があったが、青や黄色を基調とした明るい浴室からは豪華さを感じた。 「遠慮せず自由に使いな」 「ああ、そうさせてもらう」 フラヴィアが脱衣所を後にして、さっそく二人は服を脱いで浴場に移動した。 「うわあ、広いねえ〜」 「広すぎて落ち着かないな…」 大浴場ほどではないが、二人では余りあるほどの広さがあった。 湯船は三カ所あり、洗い場も広く大浴場にはないシャワー等も完備されている。 「泳げそうだね〜」 一番大きな湯船を眺めながら言うヘンリーに、ガイアは少し意外な顔をした。 「俺の見立てでは、お前は泳げないんだが?」 「ん〜。泳いだ事ないから分からないよ〜。川に落とされて溺れた事はあるけど、教えてもらった事はないしね〜。犬かきなら教えてもらえたかもしれないかな〜」 「そ、そうか…」 詳しく訊いて良いモノかどうか返答に困ってしまう。いつもの笑顔で話してはいるが、あまり楽しそうな過去には聞こえなかった。 「ねえ、泳ぎ方教えてほしいな〜」 「ココでか?」 「うんうん、自由に使って良いって言ってたからね〜」 「ん〜…」 腕を組み少し考え込む。 他人に見られてる訳ではないが、浴場で男二人が裸で泳ぐ姿は、かなり珍妙な光景だろう。 そして裸同士で触れ合ってしまうのは色々と危険な気がする…。 「いや、やめとこう。その代わりイーリスに戻ったら海にでも行こうぜ。そこで教えてやるよ」 「え〜、なんで?」 海へ行く事を喜ぶかと思ったが、意外な返事が返ってくる。 「なんでって…、裸で泳ぐ事になるんだぞ?」 「ダメ?」 「駄目というか…、まあ、取りあえず、かけ湯して入ろうぜ」 言ってヘンリーの背中をポンと軽く押して、湯船に向かう。 「はーい」 ヘンリーは少し不満そうに返事をして、ガイアの後に続いた。 「浴場は遊ぶ所じゃないからな…?」 まだ納得してないのかと念を押す。 「そうだよね〜。でも、初めてだったから嬉しくって〜」 「俺もこういう浴場は初めてだな」 「こういうのじゃないのは、あるの?」 「ん?ああ、まあ…、そこは訊くなよ」 ガイアは逃げるように、かけ湯をして湯船に浸かった。 「ふ〜ん」 微妙な返事をしつつ、ヘンリーもガイアに倣って湯船に入る。 過去の事ではあるが、流石に娼館だとは言いづらい。いくらヘンリーでも良い顔はしないだろう。案外、娼館を知らない可能性もあるが…。 「ま、過去より今だよな」と聞こえないくらいで呟き、隣の存在を確認する。 隣ではヘンリーが口まで湯船につかり、満足そうな顔をしていた。 幸せそうな顔を眺めて、ガイア自身も満足する。そして上を向いてタオルを顔面に乗せ、ゆったりとした空間に身体を休ませる。 「ねえ、ガイア。見て〜」 声をかけられ、ふと隣を見たが、そこにヘンリーの姿はなく、少し離れた別の浴槽に移っていた。 「フェリアに植物があるよ〜」 「そう言われれば、ここに来て草を見たのは初めてだな。広間に花は生けてあったが…」 草花に興味はないが、言われて記憶を辿る。じっくり見た訳じゃないが、あれは生花だっただろうか?と今更ながら疑問に思う。 「ちゃんと、ここから生えてるみたいだよ〜」 「浴場は年中暖かいから育つのかもな」 「年中?」 「多分だが、源泉を引いてるんだろ」 「へ〜、凄いね〜」 ヘンリーは湯船から少し出て、興味津々に植物を見ている。 湯煙と植物、そして裸…、思いのほか幻想的で、ヘンリーに色気を感じてしまう。 そのまま何も言わず、ヘンリーが移動するまでと思い、ずっと無言でその光景を眺めていた。 どれくらい経っただろうか… 見飽きた訳じゃないが、なかなか動こうとしないヘンリーに声をかける。 「おい、そろそろ湯船に戻ったらどうだ?」 「うん」 返事はするが、まだ同じ位置で植物を見つめている。 そのヘンリーの顔には、いつもの笑顔がない。 「どうしたんだ?」 「ここに、ペレジアにもある花が咲いてるんだよ」 「ほう…」 そこで会話が途切れてしまう。 笑顔ではなく無表情に近い顔でペレジアと言われても、どう言葉を返していいか分からない。大好きな国の話しなら別だが…。 とりあえず、このままにしておけず、もう一度声をかける。 「身体冷えちまうだろ。こっち来いよ」 さっきとは違い、少し強い口調で言う。 「…」 いつもなら素直な返事を返してくるトコロだが、無言でガイアの隣に戻って来る。 湯船に浸かっても、今度は満足そうな顔をしていない。 「平気か?」 先ほどとは異なる雰囲気に、少し心配になる。 訊かれたヘンリーは、ガイアの方を見て微笑んだ。 「うん。少し昔の事を思い出しちゃって…。フェリアに来てから何回目かな、変だよね正反対の国なのに」 微笑んではいるが、口調と表情はまったく合っていない。 たまに過去の事を口にするが、楽しそうに感じた事はなかった。いつも笑顔で話してはいるが…。 「別に変でもないが…。知らない土地に来れば、誰でも不安になるものさ。ヘンリーの場合は、祖国が恋しいとかじゃないんだろうけどな…」 「ガイアも初めての土地は不安になる?」 「ああ、なるよ」 お前だけじゃないからと、頭を優しく撫でてやる。 「ここは真っ白で何にも無くて、闇じゃないのに吸い込まれそうで、今の自分が何処かへ行ってしまいそうになるんだよ」 「ヘンリー?」 頭を撫でたくらいじゃ不安は取り除けないだろうと思ってはいたが、ヘンリーの言葉は理解出来ないモノだった。 まったく分からない訳でもないが、ガイアにはない感覚だ。 「昔に戻っちゃいそうで、不安で苦しくて…。どうしてかな?雪は僕を独りにするの?闇と一緒なのかな?」 「いや、違う。俺と雪遊びをしただろ。楽しくなかったのか?」 「すごく楽しかったよ〜、雪は奇麗だったし。あ、でも闇も奇麗で、すごく落ち着くんだよ。でも孤独で寂しくて…」 「雪は…、孤独にはならない」 肩を抱き寄せ身体を密着させる。 他人の温もりを感じれば、独りではない事を実感出来るだろうと…。 「昔は独りでも平気だったのにな〜」 「今は俺がいるだろ?」 やっと、いつもの雰囲気を感じ、もう大丈夫かと顔をのぞきこむ。 至近距離にあるガイアの顔に気づき、少し照れくさそうにヘンリーは微笑んだ。 「うん。もう耐えられないから、独りなんて。あの頃には戻りたくないよ…」 また少し不安を覗かせた表情に、顔を寄せてキスをする。 そして強く抱きしめ、耳元で囁いた。 「お前が戻りたいって言っても、俺が離さないから安心しろ」 「うん、うん」 背中に回した腕に力を込めてヘンリーは何度も頷く。 不安が何処かへ消えてしまうまで、ずっと…。 ずっと抱きしめていたが、このまま身体を離してしまうのが惜しい気がしてヘンリーの耳に舌を這わせ、湯船の中に手を入れ下半身に移動させる。 身体の上を滑るような手の動きと一緒に湯の流動的な動きを感じて、ヘンリーの身体は過剰に反応してしまう。 「あっ…」 湯船のせいか、手の動きがいつもよりやらしく感じ、ヘンリーは思わず身をよじった。 「やだ…、やめ、て…」 嫌がるのを無視して、ガイアは手を足の付け根に移動させる。次に、その手で内側から脚を開かせ、中心に下半身を押し付けた。 「ダメ…、汚しちゃう。怒られちゃうよ…」 「分からないと思うぞ?」 「そうじゃなくて、僕も奇麗なお湯に浸かってたいから…」 「他にも浴槽あるけどな?まあ、やめとくか。身体でも洗おうぜ」 そう言いヘンリーを抱き上げて洗い場に向かった。 「わわ…、降ろして〜?裸だと恥ずかしいよ」 「なにが恥ずかしいんだよ?今更だろ、全部見られてるくせに」 「!!」 「いてっ」 抱かれたままヘンリーはガイアの頬を引っ張った。 「そう言う事は、言っちゃダメだよ〜」 「はあ、女じゃあるまいし…」 めんどくさいなと、軽く溜め息をつく。 そんなガイアを見て、微笑んだままだがヘンリーの顔色が変わった。その笑顔は少し邪悪さを感じる。 「呪っちゃうよ〜?」 「わ、悪かった。謝るよ…」 素直に謝ると、邪悪な気配はすぐに消えた。 「呪う」はヘンリーが言うと、冗談に聞こえない…。 洗い場に着き、ヘンリーを隣の椅子に座らせて、石鹸を手に取る。 そして泡立てながら、ヘンリーの方をニヤリと見た。 「よし、詫びに洗ってやるぜ」 「えーと、背中??」 「そうだな、背中から洗ってやるか」 「から?」 「まあ、いいから、うしろ向けよ」 ちょっと不審な目を向けるヘンリーに、いいからと肩を掴んで少し強引に背を向けさせる。 「痛かったら言えよ?」 もちろん痛がるほど強く擦る気はない。念のためだ。 うなじから尻の割れ目辺りまで、上から下へ丁寧に洗う。 洗い終わると今度は、右肩から胸元へ手を移動させる。 「あ、前は自分で…」 ちょっと焦ってヘンリーはガイアの手を掴んだ。 洗うのを止められたガイアは、自由なもう片方の手をヘンリーの首に回して、まだ話そうとする口を塞ぐ。 「っ…」 すぐ口内に舌が侵入しきて、唾液ごと舌を絡め取り卑猥な音を立てる。 音が耳に入り羞恥心を駆り立てられ、ヘンリーは掴んだ手に力を込めて拒否を示した。だが、ガイアは気にせず執拗に舌で攻め、口内を掻き乱す。 行為を拒んでいた手は次第に力を失い、ガイアの手は自由になる。 その手で泡を絡めとりながら、滑るように移動させ胸の突起を何回もなぞり、丁寧に洗いながら下へ進んでゆく。 途中で口を解放してやると我慢していた声が漏れ、その声が恥ずかしくヘンリーは困った顔をした。 「なんて顔してんだよ?」 「浴場は声が響くね…」 「そうだな」 軽く相づちだけを打ち、止めていた手を更に下へ移動させる。 「あ、だから自分でっ…!」 次に何処を触れられるか分かり、その前にと声を出したが、ガイアの手は止まる事なくヘンリーの中心を握った。 「っ!なし、て…」 「このままの方が辛いだろ?」 「だって、恥ずかしい…」 「だから今更だろって」 「あっ!」 握った手を離して後ろに回し、座っている椅子と尻の間に無理矢理潜らせる。 そして、そのまま窪みまで移動させ、泡とともに中指を押し入れた。 「んっ…」 違和感を感じて顔をしかめたが、泡のおかげか抵抗無く下半身は指を受け入れる。 スルっと入ってきた指の感触に耐えられず、ヘンリーは自ら腰を浮かせてしまい、椅子との間に侵入してきたガイアの手によって脚を開かされてしまう。 椅子から少し離した体勢が辛く、なんとかガイアの首に手を回して自分の身体を支える。 しかし、後ろに侵入してきた指が、二本、三本と増やされ、下半身に力が入らず自分を支えるのに限界を感じた。 「は、ぁ。や、むり…」 我慢出来ず床に膝から落ちそうになる。だが次の瞬間、ガイアが立ち上がったため、膝をつく事なく身体が持ち上がった。 「ああぁっ!!」 入れたままの手を持ち上げられ、指が一気に奥まで入ってしまう。我慢していた声はすべて漏れ、浴場に響き渡った。 「膝から落ちたら、痣できるだろ」 「はぁ、あ、やだ、おろ、し…」 一気に突かれて何がなんだか分からなくなってしまう。身体を動かすのが怖くて息をするのも苦しく、何をされたか頭で考えるのも嫌でガイアの言葉が耳に入ってこない。 突然の事で頭も身体も混乱し、自然に涙があふれてくる。 「す、すまない。そんなつもりじゃなかったんだが…、痣がつくと思って焦っちまって…。わざとじゃないから、泣くなよ…」 まさか泣かれるとは思っておらず、必死に宥めながら一本ずつ収めていた指をゆっくり抜き、抱きしめて優しく背中を撫でる。 「…、今日のガイア、いじわる…だよ」 「いじわるって…」 「だって、雪かけたり…、変な事言うし…」 「悪かったって、謝るから許してくれるよな?」 雪をかけたのは確かにわざとで、他の行為も自分なりに孤独な気持ちを少しでも拭ってやれないかと思っての事だった。 しかし、悲しそうな顔で見つめられると、謝るしかなく…。 「ほら、もう何もしないから、そんな顔するなよ。な?」 指で目尻に溜まった涙を拭い、ヘンリーの機嫌を伺う。 「なんで泣いてるんだろ…、僕…」 「なんでって…、まあ、忘れて湯船に入り直そう」 「…うん」 抱きかかえたまま湯船に入り、そのまま肩まで浸かる。 浴場全体は、熱い源泉が常に入ってくるおかげで、とても暖かい。 とは言え、ずっと裸で湯船に入らないでいれば、やはり身体はそれなりに冷えてしまう。 思った以上に身体が冷えているなと、ぎゅっとヘンリーを後ろから抱きしめて頭髪に顔を埋めた。 「ガイア、大丈夫〜?僕より身体冷たいけど、顔は熱くない?」 「ん、そうか?まあ、確かに寒いんだが…」 ゆらゆらと湯船の中で身体を動かして、ヘンリーはガイアの方を向く。 そしてガイアの鼻を心配そうに見つめた。 「鼻水が出てるよ〜」 「げっ?」 「風邪、引いちゃった?」 「ヤバイな、ルフレに怒られるぞ…」 「熱もあるんじゃ…、頭熱かったよ〜?」 湯船から手を出して、ガイアのオデコにあてる。 「ん〜、温まった手じゃ、いまいち分かんないや」 そう言って、今度は自分のオデコをくっつけた。 「うんうん。やっぱり熱いね〜」 「…、お前の体温が低いだけじゃ」 低血圧のヘンリーなだけに体温も低いハズだ。ただ、ここは浴場で湯船に浸かって身体が温まっているのも確か。 つまりガイアの言葉は、熱が無ければいい…それを願う理屈でしかない。 「あがったら、お薬貰ってこないとだね〜」 「はあ…」 またルフレに雷を落とされると思うと、溜め息しか出てこない。 「あはは、お母さんに説教されちゃうね〜」 「笑い事じゃないぞ。ギリギリの戦力で行くって、さんざん言われてるからな…。気合いで治さないと」 「僕にうつしたら、治るかもよ〜?」 「お前が引くだろ…」 何を言い出すかと、呆れた顔でヘンリーを見る。 「僕も風邪引きたいな〜」 「え?」 「ううん、何でもないよ〜。一緒にルフレに怒られに行こう!」 「やっぱり、そうなるのか…」 ガックリと肩を落として、もう一度溜め息をついた。 「あはは、僕がついてるから大丈夫だよ〜」 何が大丈夫なのかと思いつつ、作り笑いを向ける。 とりあえず、風邪を引いたのが自分だけで良かったと思う。二人で引いていたら、ルフレは説教をする母から邪竜ギムレーにでもパワーアップするだろう。 「よし、覚悟を決めて行くか」 「は〜い」 気合いを入れて、浴場を後にする。 脱衣所で着替えてる時には、明らかに風邪を引いてるのがガイア自身にも分かった。 頭がボーとして、寒気が走り、鼻水も止まらない…。 「ガイア、僕からルフレに言っておくから、先に部屋に戻って休んでて」 「いや、お前だけ説教って訳には…」 「早く治さないと、もっとルフレに怒られるよ〜?」 「いや、しかし…、うーん、駄目だ。頭が回らん…」 「あ〜あ。僕に任せて先に寝ててね〜」 ガイアに肩を貸して部屋まで運び、ヘンリーはルフレに報告するため広間に向かった。 部屋に残されたガイアは、そのまま布団に倒れ込んだ。 思った以上に怠く、寒気はするが身体は熱い。視界も思考もおかしく、寝間着に着替える気力もない。 ヘンリーが戻るまで起きてようと頑張ってはみるが、身体が言う事をききそうもなかった。 思い返せば、かまくらを完成させた時点で、かなり疲れていたと思う。 身体も芯まで冷えて、風邪を引くのは当然だったのかもしれない。 ヘンリーは、よく風邪を引かなかったな… そんな事を頭の片隅で考えながら、どんどん気が遠くなっていく。 そういえば、フェリアに着いてから飯を食べてない気がする… 菓子はちょっと食べたが… ふと思い出して、一回だけ小さく腹がなった。 そして弱々しく溜め息をつき、そこで思考が完全に停止する。 ヘンリーが部屋に戻ってきたのは、それから少したってからの事だった。 ーーーーーー おわり。 結局、最後までナニはしていない。 折角?の、お風呂なのに。 なんかゴメンナサイ(なんとなく謝りたく…色々と…) ヘンリーの後頭部に鼻水を擦り付けてますしね…。いえ、頭を離してから鼻水が出た…んだ。よ、きっと。 つか、ガイア自分の身体洗ってませんヨ。 ティアモとの支援会話からして奇麗好きではないようなので、まあいいかと。二、三日くらい平気ですよね彼は…。 センチメンタルヘンリーな2話目でしたが、1話目からセンチは入っていたと思います。多分 おセンチヘンリーは如何でしたでしょうか…。 浴場で欲情なガイアは…。 無駄に長くなってしまった気がする2話目です。 ここまで読んで頂き、有り難うございます。 いつも読みにくくてスミマセン…。 3話目に続きます>>看病しよう。(これは、タイトルなのか?) 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