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FireEmblem 覚醒:幸せになろう。前編
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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「ガイアのよあけ」の続きのよーな作文です。つまりはヘンリー女体化です。
妊娠&プロポーズ話なので、苦手な方は回れ右で回避してください。
13章以降という事で、クロムに嫁が居ます。相手はスミアです。
ヘンリーの痛い過去が垣間見えますが…、そういうのが苦手な方も読まないように。



天幕で迎える朝は、日差しが遮断され薄暗く、寝起きの頭では朝だと理解するのに、少々時間がかかる。
その朦朧とした頭で、もう一つ理解するのに時間がかかる事があった。

「ガイア、どうしたの〜?」
「いや…、まだ何かこう、信じられなくてな…」
隣から話しかけてくる奴は男で、寝起きで眺める視線の先には、男には無いモノがある。
いや、男だと思っていた。だが、実は女で、自分に好意を抱いていると分かり…。
不思議なもんで、知ったら自分も好きだったなんて、気づかされてしまう。
「ガイア?」
「何でもないよ。女なんだなって思ってさ」
「ええ?もう、3ヶ月くらいたつんだよ〜?今もこうやって…」
薄暗い天幕の中でも、相手の身体のラインはハッキリと分かる。
一夜をともにし、今も裸で触れ合っている。なのに、女だと理解するのに時間がかかってしまう。
「ヘンリーもやっぱり女だな」
「ん〜?」
「付き合ってから何ヶ月とか、女って記念日とか気にするだろ」
「ん〜、そうなのかな〜?男の子にはない日が女の子にはあって、僕はそれが気になるからだと思うな〜」
「お前が言うと、何かややこしいな」
「え〜、それ差別だよ〜」
いつもの笑顔で、頬を膨らませる。
怒ってるのかどうか今イチ分からない態度だが、知り合った当初にくらべれば、感情表現が豊かになったなと思う。

「朝だよー!朝食の準備出来たよー!早く起きないと無くなっちゃうよーっ!!」
今日もリズの元気な声が野営地にこだまする。
元気一杯のイーリス王女が、兵士達に元気を与える、毎日欠かす事のない日課だ。

その声が、ガイアの天幕にも届き、ようやく寝台から身体を起こす。
「よし、支度して飯食いに行くか」
「はふ…」
ヘンリーは返事の代わりに、控えめなあくびをする。
「眠いか?」
「ん〜、大丈夫だよ〜」
「本当か?眠いなら寝てて良いぞ。朝食は確保しといてやるぜ?」
ヘンリーに大丈夫と言われると、逆の意味に感じてしまう。
女だって知ってしまったあの日だって、大丈夫だと無理を言うヘンリーの一言が始まりだったんだ。
「いつも言うが、無理はするなよ」
「あはは、あくびしただけだよ〜?」
にっこりと微笑んで、いつもの装束に着替え始める。
そして、辺りを確認し別々に天幕を出た。

二人は食堂で合流し、食事を共にする。
朝食を終えると、今度は「また後で」と声を掛け合って、その場を離れる。
ヘンリーが女だという事はガイアしか知らず、端から見れば男同士だ。アヤシい関係に思われるのもゴメンだが、変な詮索をされバレてしまう訳にもいかない。
知られたくない理由は未だに分からないままだが、これもヘンリーのためだ。
そう自分に言聞かせ、ガイアはひとり寂しく街へ向かった。


ガイアと別れて、ヘンリーは散歩がてら野営地を少し離れる。
風通しの良い小高い丘で、翼のある美しい白馬の隣に腰を下ろし、ヘンリーは一息ついた。
そして白馬の方を眺める。
「キミは男の子なのかな〜?それとも女の子かな〜?」
ブルルルル。
鼻を鳴らし、ペガサスは地面の草を頬張り始めた。
「あはは、何言ってるか分からないや〜」
「ヘンリーさん?」
声をかけられ振り向くと、そこには花束を手に優しく微笑んでいる女性が立っていた。抱えた花束には、花びらの無い寂しいモノが数本混じっている。
「あれ〜?スミア…。ああ、この子はスミアの子だったんだね〜」
「はい。ヘンリーさんは、この子とお話ですか?」
「うん。内緒話ししてたんだ〜」
「あら、お邪魔でしたね」
「大丈夫だよ〜」
すぐその場を離れようするスミアに、ヘンリーは声をかけて呼び止める。
「僕が一人で話してるだけだから〜。何か、通じなくって。あはは、いつもは分かるんだけどね〜」
おかしいな〜と首を傾げ、いつもの調子で笑いながら話す。
そんなヘンリーを少し複雑な表情でスミアは見つめていた。
「そうなんですか…。何か、お悩み事でもあるのですか?」
「ん〜?」
もう一度首を傾げるヘンリーに、今度は優しい笑顔を向ける。
「悩んでいるから、この子にお話しが通じなかったんだと思います。心に迷いがあると、この子は敏感に感じ取ってしまいますから」
ペガサスの隣に座り、優しく撫でながらスミアは云う。
「へえ〜」
「私でよければ、この子の代わりに、お話を聞かせていただきますよ」
「え〜と、じゃあ…」
スミアに言われて、ヘンリーは少し考えてから、口を開く。
「スミアは…、僕がイーリス軍に来た時には、もうクロムと結婚してたよね?」
「…はい」
少し恥ずかしそうにスミアは頷く。
「ルキナも、産まれてたよね?」
「そうですね。大きいルキナも居ますが、この世界のルキナも無事に産まれてます」
「ふふ、お母さんの顔してるよね〜スミア」
「ええ?」
ちょっと驚いて、スミアは自分の顔を両手で挟んで、顔を赤らめた。
抱えていた花束はスミアの腕を放れ、そのままペガサスの食事になってしまった。
「あはは。ねえねえ、嬉しかった?クロムは喜んでた〜?」
興味津々に訊いてくるヘンリーに、少し戸惑いながらスミアは答える。
「それはもう、嬉しかったですよ。クロム様も…、口数は少なかったですが、凄く喜んでくださいました。見てるこっちが恥ずかしくなるくらいに…」
「へ〜。ルキナは望まれて産まれてきたんだね〜」
いつもの笑顔で言う言葉に、感情はこもっていない。別に今回だけ特別という訳ではなく、そういう人物なのだ。それは、少しでもヘンリーと接した事があれば分かる事で、もちろんスミアも知っている。
その無表情な笑顔に、スミアは返す言葉を丁寧に探した。
「子供が産まれて喜ばない親なんていないですよ。私は、そう信じたいです…」
「うんうん、分かるよ〜。僕も信じてるよ〜」
本当にそう思っているのだろうか?口にした台詞は棒読みに近く、感情が読み取れない。
何を考えているか謎だが、小さく頷きヘンリーはゆっくりと立ち上がった。
ペガサスを挟んで隣に座っていたスミアは、ヘンリーの事が分からず少し心配そうに見上げる。
「ヘンリーさん。私は貴方の過去を知りませんが…、今、好きな女性がいるのなら、絶対幸せになってくださいね」
「うん、そうだね〜。スミア、ありがとう〜、スッキリしたよ〜!」
ヘンリーは大きく手を振り、丘を降りて野営地へ戻って行った。
その後ろ姿を眺めつつ、スミアはペガサスに話しかける。
「プロポーズでもするのでしょうか…。ヘンリーさんを幸せにする花嫁さんは誰なのでしょうね」


野営地に戻り、ヘンリーは辺りを見渡す。
「よう、ヘンリー。誰か探してんのか?」
「ん?ん〜…」
同じ軍に所属するヴェイクに声をかけられ、言葉を濁してしまう。ガイアを探してると、素直に口から出てこなかった。
「ガイアか?」
「え?」
先に言われて、思わず警戒してしまう。別に、知られて困る事はないのだが、そう訊かれてしまうという事は、それだけ一緒に居る印象があるのだろう。
「ハズレか?」
「ん〜」
それでもハッキリ言ってしまうのに抵抗を感じ、唸ってしまう。
「なんだよ、当たったからって、何かよこせなんて言わねーからな?」
「あはは。じゃあ、何処に居るか知ってるの〜?」
「知らねーよ?街に行ったくせーけど」
「ふーん。一瞬ヴェイクを呪いたくなっちゃったよ〜」
「何でだよ!?」
ヘンリーが冷たい微笑みをヴェイクに向けると、辺りに冷たい空気が流れた…。
「マジか…」
呪うには、それなりの儀式等が必要なのだが、これはヘンリーの纏う殺気…的なモノなのだろう。

「何やってんだ?お前ら…」
ヴェイクにとって危機一髪とでも言うような、タダならぬ雰囲気が漂う中、場違いな声が聞こえてきた。
その声を聞いたヘンリーは、パッっと雰囲気を変える。
「あ、ガイア〜。お土産〜」
「はあ?ヴェイクお前、コイツに何か言ったか?」
お土産と言われ、街に行くなんて誰かに言ったっけ?と、疑いの目をヴェイクに向ける。もちろん、ヴェイクに言った記憶もない。
「別に、何も言ってねーよ?」
「本当か?お前、死にそうな顔してるけどな」
「う、うるせぇ!」
情けない面を見られたと、ついガイアに向けて虚勢を張る。
ヘンリーに何か言うと、呪いを使って本気で苦しめられそうだが、ガイアなら害はない。ヴェイクにとって、苦手なのは甘い菓子より、自分が理解出来ない呪いの方だ。
「うるさいのはヴェイクだよ〜?喋れなくしてあげようか〜?」
「なっ!何だよそれ!?」
ヴェイクは数歩後ずさりし、ヘンリーとの距離をあける。
「何があったか知らないが、ここに居たら本当に呪われちまうんじゃないのか…」
ガイアは呆れた顔をヴェイクに向け、適当な忠告をした。
「何で、俺様は呪われそうになってんだよ…」
理解出来ないと、めいっぱい不満を込めて愚痴り、ヴェイクは逃げるように何処かへ行ってしまった。

「はあ、何だったんだアレは…?」
ヴェイクが居なくなり、ガイアは溜息を漏らす。
「ん〜。ガイアを捜してたんだけど、からかわれてる気がして…」
「気にしすぎじゃないのか?」
「大丈夫だよ〜」
相変わらず、大丈夫と返ってくる。その言葉に慣れてしまい、そう言われても安心は出来ず、つい心配な顔で覗き込んでしまう。
そのガイアの顔に気づき、いつもの笑顔をヘンリーは向けてくる。これも、お決まりだ。
「それで、俺を捜してたんだよな。どうしたんだ?夕飯までは、いつも別行動だろ」
「夕飯の後でも良いんだけど、でも今じゃないと…また言えなくなると思うから」
「…分かった。今、聞くよ」
ヘンリーが話しだすまで、色んな想像が頭をよぎる。
流石にヴェイクは関係ないと思うが、誰かに知られてしまったとか、女に告白されたとか…。
どう考えても、マイナスな事しか浮かんでこない。それは、ヘンリーの深刻な雰囲気が伝わってくるせいか…。
「えーと、ここじゃちょっと…、天幕で良い?」
「じゃあ、俺の天幕に行くか」
人目があるため気遣う事は控え、少し離れてヘンリーの先を歩く。何を告げられるか不安しかないが、足早に天幕へ向かった。

「あー!ガイアとヘンリー!!」
「ぐあ、ノノ!!」
天幕に入ろうとした時に、遠くから大きな声で呼び止められる。
二人の目の前まで走って来て、ノノは満面の笑みで話しだした。
「ノノねー、マムクートの友達が欲しくって、ヘンリーは考えてくれるって言ってたよね?早く知りたくって、聞きにきちゃった!」
目を輝かせながら話すノノに、ガイアは何だそれは?という顔を向ける。
「ノノごめんね〜。まだ考え中なんだよ〜。幻みたいのじゃ駄目だったから…、子供かな〜?て思うんだけど〜、ノノが子供作らないといけなくなっちゃうからね〜。難しいね〜」
さらにガイアは何だそれは?という顔を今度はヘンリーに向ける。
「ノノの赤ちゃん?」
「うんうん。ノノの子供なら同じマムクートでしょ?」
「わあ、ヘンリー頭良い!!ノノ子供作るよ!!」
「まてまて、何言ってんだよ?ノノはまだ子供だろ?それに、そんな理由で子供作るのかよ?つーか、相手はいるのか?」
ガキの他愛も無い話しかと、適当に聞き流そうと思ったガイアだったが、どうもおかしな方向に話しが進んでいると、二人の会話に割って入る。
「ノノは子供じゃないもん!大人の女性だよ!ガイアだって、みりょくてきだって言ってくれたでしょー?」
「ぐ、それはだな…」
しつこくつきまとわれるのが嫌で、適当に返した言葉をココで言ってくるとは…。嘘だったとも言えず、まったく言い訳が思いつかない。
「あはは、じゃあノノの魅力を知っているガイアに友達作るの、お願いしたら〜?」
「はあ?何言ってんだ?ヘンリー?!それは、あり得ないだろ?俺はお前と…」
さらに変な方向へ進む会話に、頭の中が混乱してしまう。
そんなガイアを宥めるようにヘンリーはガイアの背中を軽くポンポンと叩いた。
「あはは。ガイア、落ち着いてね〜?」
「むー。あり得ないなんて、ガイアは失礼な事を言ったよ!じゃあ、ヘンリーは?」
「え?僕〜?僕は、え〜と…」
ちょっと眉をひそめて、ヘンリーは考え込む。
「…」
ガイアは混乱中の頭を何とか切り替えて、自業自得だと言う目をヘンリーに向けた。
「ノノが僕の事を一生涯愛してくれて、子供と一緒に幸せな家庭を築いて…」
「ヘンリー?」
適当に躱すと思ったが、予想以上に真面目に答えている。女同士になるのだから、あり得ないと思いつつも、つい不安な声をかけてしまう。
「ノノ、ごめんね。僕に子供は…」
真面目に答えるヘンリーをノノは不思議そうに見つめる。
「どうして謝るの?ノノ、怒ってないよ?ノノが好きなのは二人じゃないから、ちゃんと愛してる人とって事をヘンリーは言ってくれてるんだよね?」
「ノノお前…、分かってんなら焦らすなよ!?これだからガキは…」
からかわれた気がして、つい声を荒らげてしまう。ノノは、からかって言った訳じゃない、そんな事は分かっている。
「ノノはガキじゃないってば!大人の女性に弄ばれるガイアが悪いんだよ!」
「おまっ…!!」
分かってはいるが、なんか腹立たしい…。大人…もとい、ガキに弄ばれるなんて。
「あはは、僕たちノノに振られちゃったね〜」
いつもの薄っぺらな笑顔でヘンリーは言うが、少し複雑な気持ちになってしまう。別にノノに振られたからじゃない。ヘンリーの言葉に、「自分たち」を感じてしまったから…。
「ヘンリー…」
思わず声をかけると、ノノも心配そうにヘンリーに声をかけた。
「ヘンリー、ごめんね?」
「ん〜?ノノも何で謝るのかな〜?」
「ガイアが怒ったから…」
言われてガイアは、はあ?と理解出来ないとノノに厳しい顔を向ける。
「俺が悪いのか?…まあ、もう良いだろ?そのノノが愛してる奴の所に早く行けよ」
「むー!ガイアのいじわるーっ!」
最後にあっかんべーをして、遠ざかって行くノノの後ろ姿に、ガイアは大きなため息をついた。
「いじわるって…。やっぱり子供は理解出来ないな…。訳が分からん…」

「ごめん、ガイア」
「ん?」
天幕に入ろうとして、今度は隣に居るヘンリーに呼び止められる。
「やっぱり今日は、やめとくよ〜」
「どうしたんだ?大事な話しじゃなかったのか?」
「ん〜、ちょっと…。何か疲れちゃったし、今度にするよ〜」
「そうか。まあ…、あいつらは元気すぎるからな。一緒に居ると疲れるよな」
疲れたと言われて、顔色を伺う。血色は言うまでもなく、いつも悪いのだが…。
「話しは今度で良いから、とりあえず天幕で休もう」
「うん、ありがとう〜」
天幕に入り、優しく身体を支えて寝台に座らせる。
「気分悪いんだったら、胸に巻いてる布を外した方が良いんじゃないか」
「…うん」
「本当に大丈夫か?」
「大丈夫だよ〜」
「なら良いが…。あいつらに元気を吸い取られたんじゃないかと…」
「あはは、まるで呪いみたいだね〜」
笑うヘンリーを見て大丈夫そうだなと、とりあえず安心して寝台の端に座る。
「見ててやるから、ちゃんと休めよ」
「うん」
布団に入り、ヘンリーは目を閉じる。
次にヘンリーが目を覚ますまで、ガイアはずっと寝顔を見つめていた。

今となっては想像で妄想にしかならないが、隠したままのヘンリーとは、ずっと友達でいれたのだろうか?


いや、
ずっと友達のままだったのだろうか…。


ーーーーーー
つづく。

ノノが出てきて、わけわからん事言ってますが、支援ごちゃまぜ会話となっています。
何気にノノはガイア&ヘンリーと仲が良いらしい設定。
ヘンリーにいたってはコレSの会話じゃね?みたいな…。

ヴェイクは…
ガイアは害がないなんて、シャレではありませんヨ。

中編へつづく。

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