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FireEmblem 覚醒:ふたりの明日 1
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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ED後です。ガイアとヘンリーが一緒に暮らすと〜ではなく。
ED後、ヘンリーがガイアの仕事について行くという内容〜になるハズ…。
マリアベルと似非ウードが出てきます。



寝室と居間の仕切りもなく狭い、お世辞にも奇麗とは言えない今の住処。

外から聞こえてくる子供達の声が耳に届き目が覚め、布団の中で寝返りを打ち隣に誰もいない事に気づく。
時刻が昼を回ろうとしているのは、子供に昼食を知らせる大人の声で分かった。

寝台から少し身体を起こして机の上を確認し、すぐ布団に潜る。

数回寝台を離れる事はあったが、暗くなるまでの時間をほぼ布団の中で過ごす。

微かに扉の開く音がして、目を開ける。
だが、身体を起こす気はなく、そのまま布団に包まって辺りの様子を伺う。

床のきしむ音が徐々に近づいてきて、近くに人の気配を感じた。
それでも、布団から出る気はない。

「ただいま」

布団の上から声をかけられる。
でも、返事はしない。

「どうした?」

今度は優しく声をかけ布団をめくり、その人は素肌に触れてくる。

「冷たいよ…」
「夜も遅いからな」
「おかえり」
「ただいま」
もう一度言い、口づけをする。

「飯は食べたのか?机の上の飯代がそのままだったが」
「ガイアが作ってくれた朝食は食べたよ〜」
「昼食と夕食は?」
「食べてない」
「食べないと駄目だぞ。それに、少し外に出ろよ」
「…食欲ない」
そう言って、めくられた布団を引っ張って、また潜ってしまう。
ガイアは溜め息をつき、もう一度布団をめくる。
「ヘンリー、あまり心配させるなよ。稼ぎに出れなくなるだろ…」
「二人で暮らそうって、こういう事だったの?」
「こうって?」
ヘンリーに言われ、どういう意味なのか理解出来ず、言葉を反復する。

ー二人で暮らそうー
それは、邪竜ギムレーが滅び、寄せ集めのイーリス軍が平和のもとに解散したその日、ガイアがヘンリーに告げた台詞だ。
その言葉に偽りはない。

「朝起きたらガイアは居ないし、夜帰ってきても…。僕はガイアのなんなの?」
「…、寂しい思いをさせているのは分かっている。だから夜ぐらいは一緒にすごそうと」
言いながら、ヘンリーの身体に触れる。
「昨日のままだよ。水浴びもしてないから」
「別に良いよ」
「やだ」
ヘンリーを組敷こうとしたが、ガイアの腕をすり抜け布団ごと手の届かないとろへ移動されてしまう。
無理矢理捕まえる気もなく、溜め息をついて身体を起こし、ヘンリーに視線を向けた。
「今日は、まだ仕事の依頼がないから、ゆっくり出来るぞ」
寝台の上から声をかけてくるガイアに、ヘンリーは机の横に立ち不満な声を漏らす。
「まだって?こんなの…、ひとりで暮らしてるのと何も変わらないよ」
ヘンリーの不満は、もちろん分かっている。
「金が無いと生きていけないだろ…」
「生きるためだけのお金なんて要らないよ。僕は生きるためだけにガイアと居たいんじゃないから」
それも分かっている。
だが、そんな奇麗事だけで生きて行ける世の中ではない。そんな事はヘンリーだって分かっているハズだ。
「ヘンリー…」
「平和にならなければ良かったのに…。軍に居た時の方が良かった…」
布団を抱えたままイスに座り、ヘンリーは下を向いてしまう。
「すまない、ヘンリー。だが、お前に苦労はさせたくないし、生きていくためには稼がないと…」
ガイアは寝台から立ち上がり、ヘンリーに近づいて布団ごと抱きしめる。
目を合わせてはいなかったが、ギュっとガイアの腕を掴み、ヘンリーは顔を上げた。
「じゃあ、僕も連れてって」
「え?」
目が合い、ガイアは複雑な顔をヘンリーに向ける。
別にそんな驚くような事ではない。むしろ、今まで言ってこなかったのが不思議なくらいだった。
だからなのか、ついに…という気持ちが表情に出てしまう。
「ガイアの仕事に。もっと一緒にいさせて?」
「いや、駄目だ。危険だ」
「じゃあ、仕事を減らして?」
「それは…、仲介役の信頼を失い、依頼が来なくなっちまう…」
「じゃあ、連れてって」
「だから、それは…」
なかなか言い訳が思いつかない。
訊かれても連れていく気はなく、駄目の一点張りで通すつもりだった。
だが、面と向かって訊かれると駄目だとハッキリ言えなくなってしまい、次の言葉が出てこない。甘いモノは好きだが、ココまで自分が甘いヤツだったとは…。
「ガイアだけ危険な仕事をするのは不公平だよ〜?僕だって闘えるよ。ガイアの役に立てるよ?」
「俺の仕事は闘うんじゃなくて、盗んだり潜入したりだぞ?」
「じゃあ、お弁当持ってったり、逃げ道確保とか。追っ手が来たら、殺してあげるよ〜」
楽しい遠足のようだなと聞いていれば、殺すなどと言ってくる。相変わらずコイツの思考回路はバランスが悪いなと思う。
…そんな事を考えている場合でもないが。
「どうしてもか?」
「うん。ひとりでずっといるくらいなら、危険でもガイアと一緒にいたい」
「わかった」
早々に承諾してしまう。
やっぱり甘い。いや、それより自分も感じていた事だ。
一緒にいるより、ひとりの時間の方が多く、不満を感じていたのは何もヘンリーだけではない。
もっと一緒にいれる時間を作れないかと、ガイア自身も考えた事は何度もあった。ただ、良い考えが思いつかず実行も出来ないで今に至る…。
「その代わり、本当にヤバイ事になったら、もう連れて行かないからな。以後、留守番だ。いいな?」
「は〜い」
ヘンリーに、その気持ちが伝わったのか、素直な返事が返ってきた。
「よし。じゃあ、水浴びして飯食って寝るぞ」
その返事に満足し、ガイアはヘンリーの背中を軽くポンポン叩いて、水浴びの準備をするように即す。
「お腹ペコペコだから、先に御飯が良いな〜」
「了解。飯の用意するから、ゴロゴロしてろ」
「は〜い」
ヘンリーは寝台に戻り、布団を整えて寝転がる。
「…、せめて服着ろよな?」
「めんどくさいな〜。どうせ、また脱ぐのに〜」
言われて、呆れた表情をヘンリーに向ける。
「一日中裸でいたくせに」
「だからだよ〜」
「ものぐさって言葉を知ってるか?」
丁寧に野菜を洗いながら、もう一度ヘンリーを呆れた表情で見た。
「え〜と、服は〜と…」
ヘンリーは、渋々服を探し始めた。


次の日の朝、扉に挟まった紙切れを見つけ、次の仕事を確認する。
ガイアは依頼文に目を通して、朝飯を頬張りつつ呟く。
「二人の方が都合の良さそうな仕事かもな」
「本当〜?」
「多分な…、ちょっと作戦でも練るか。ひとりとは勝手が違うからな」
真面目に仕事と向き合うガイアを眺めながら、ヘンリーは笑顔で食後のデザートを口にした。

「楽しみだな〜」
「…、お前は本当に自由だよな…」




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つづく。

二話目が本編…ということで?短いです。

終始裸のままのヘンリー(笑)
二話目はちゃんと服着てます。ハイ。


2話目に続きます>>

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