EBI-EBI
FireEmblem 覚醒:ふたりの明日 4
絵と文とか

FireEmblem覚醒

TOP
INDEX




「マリアベルは本当にリズの事が大事なんだね〜」
馬車が見えなくなり、ヘンリーはぼそっと呟いた。
「そうだな。あまり周りが見えていないのが心配だが…」
リズのためとは言え、血の繋がりがあるかどうかも分からない子供を救出しようとする辺り、マリアベルらしいが…。
そして、依頼をした上で、個人でも探りを入れるなんて、女一人ではかなり無謀に思えた。
「まあ、正義感の強いヤツだからな。前にギャンレルに捕まった事もあるらしいぞ」
「あはは、それ初耳かも〜」

薄暗くなってきた空を見上げて、ガイアは帰り道とは逆方向に歩き出す。
ヘンリーは少し遅れて歩き出し、何処行くのかな?と小さく呟く。
後ろをついてくるのを確認してガイアは立ち止まり、横に並ぶのを待って口を開いた。
「ちょっと遅くなったが、食材と菓子でも買って帰るか」
「そういえば、お腹減ったね〜」
時間が遅いせいか、夕暮れ時ならまだ賑わいのある通りは、人の行き来も少なく閉まっている店もあった。
開いてる店に立ち寄って食材を購入し、今日の献立を考える。
帰り道は、食材の袋をヘンリーに持たせて、菓子袋をガイアが抱える。その菓子袋の大きさは、食材の袋の数倍は大きかった。

帰り道の路地裏に入り、ヘンリーは足を止める。
「どうした?」
「ねえ、また連れてってくれる?」
「仕事にか?」
「うん。やっぱり、邪魔だったかな?」
食材を両手に抱えて、ヘンリーは不安な表情でガイアを見つめた。
「いや、凄く助かったよ。お前が居てくれて」
「本当〜?」
「嘘を言う分けないだろ。特に今回はな…、あんなガキ、俺の手には負えん」
「あはは」
ヘンリーから不安な表情が消え、いつもの笑顔に戻る。そして、ガイアとの距離を縮めて、もう一度見つめた。
「じゃあ、これからも、よろしくね〜?」
「ああ、俺の方こそ、よろしくたのむ」
今度はガイアから距離を縮めて、キスを交わす。

「…ガイア」
「ん?」
「一緒に夕飯、食べれるんだね〜」
「ああ、これからは毎日だ」
「ふふ、嬉しいな〜」
至近距離でヘンリーは微笑み、ガイアはその頬に優しく唇を寄せた。
「飯食ったら、一緒に湯浴みでもして、ゆっくり休もう。今日は疲れただろ?」
「ん〜、ちょっとだけ疲れたかな?でも、楽しかったよ〜」

さて今度こそ帰るかと歩き出した所で、声をかけられ立ち止まる。
そして、うんざりした表情で、声の主に視線を向けた。
「…、いつからソコに居るんだ?」
「聞きたいんですの?」
「いや、やめとく…」
声の主は、今日久しぶりに会ったマリアベルだった。そして、あの子供も一緒だ。
「えーと、何か用か?」
「この子の呪い、解いてくださいません?」
そう言って、マリアベルはヘンリーの前に子供を差し出す。
「あはは、すっかり忘れてたよ〜。ごめんね〜」
ヘンリーは笑顔で謝る。ガイアとマリアベルは、いつもの事だと気にしないが、子供は不満たっぷりの目を向けていた。
「すぐ、解呪するね〜」
笑いながらヘンリーは、不満な表情で見てくる子供に手をかざした。
その様子を見守りながら、ガイアはマリアベルに声をかける。
「マリアベル。呪いが解けたら、すぐガキの口を塞いでくれ…」
「自業自得じゃないんですの?ああいう事は、人目の無い所でやってくださいませ」
「だ、だれも、その事じゃ…て、やっぱり見てたのか…。はあ、こんな路地裏に人が来る何て誰も思わないだろ…」
聞くつもりはなかったが、やはり見られてたのかと、ガイアは大きな溜め息をつき項垂れた。
「オイ!貴様!!黙ってればガキガキ言いやがって!呪いを操る邪悪な闇に身を染めし者に心を奪われ…ガフッ」
「これで良いんですの?」
マリアベルは子供の口に手を当てて、呪いの代わりに言葉を封じる。
「助かる…。いちいち聞いてられんからな…」
「はあ、世話が焼けますわね」
「…誰に言ってんだ?それ」
「誰にでもありませんわ。それでは、馬車を待たせてますので、これで戻りますわね」
「またねー、マリアベルーと中途半端なウード〜」
「ヘンリーさん!余計な事、言わないでくださいな!」
暴れだした子供を、強引に引っ張ってマリアベルは来た道を戻って行く。
「静かにしやがれですわ!このクソガキッ!!」

「あはは、ちゃんとお別れの挨拶出来なかったね〜」
「お前のせいだろ…それは」
マリアベルを無言で見送り、呆れた顔でヘンリーに視線を移す。
「そうかな〜?それより、お腹ペコペコだよ〜」
「今度こそ帰って飯にするか」
「うんうん」
数回頷きヘンリーは先に歩き出す。
その後ろ姿を眺めて、ガイアは溜め息をついた。
「少しは見られた事を気にしろよな…」
「ん?」
「いや、なんでもない」

これからは毎日だ。
明日もあさっても、ずっと一緒だ。

「気にするだけ無駄か…」

一言呟きヘンリーの後をガイアは歩き出す。



ヘンリーが人生のパートナーなんだなと、やっと自覚できた気がする。




-----------------------------------------
おわり。

ウードらしき子供は、結局なんなのか?は、謎のままです。そのへんはご想像で…。
多分、ガイア達と別れた後でマリアベルが聞き出してると思います。
視点がマリアベルではないので、謎のままです。事件自体もハッキリとした目的が分からないまま…。
全てがうやむやなのは、「盗賊に個人の都合は関係ない」というのが根底にあるためです。
けっして、適当に組み立てた依頼では…。無い、ハズ。

ウードかどうか謎な子供がクソガキ呼ばわりされますが、実際のウードはクソガキではありません!
と一応補足しておきます。

そして、マリアベルの口調が…、分かりやすそうで分からなく、悩みました。
それらしく感じてくだされば、幸いです…。
ウード?の中二な台詞も…。まあ、ウードではないので、中途半端な中二病で十分なんですが(逃)

ガイヘンではありますが…、いちゃってる?のは最初と最後だけという…。
いつもよりガイヘン度が低い気がします。

こんな作文ですが、二人の共同作業?を楽しんで頂けたらな〜と思っております。
謎な作文にお付き合いいただき有り難うございました。


UP