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FireEmblem 覚醒:異界から来た子供 2 |
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異世界の子供マーク ガイアとヘンリーの関係は既にナニソレです。その関係をルフレは知っています。 ルフレの旦那は謎のままです。 朝を迎え、屍兵の討伐へ向かうため、ガイアは天幕でその準備を進める。 一人黙々と戦闘準備をするが、隣からは能天気な笑い声が聞こえてくる。 毎日耳にしているヘンリーの笑い声と、子供の笑い声だ。 「よくあのルフレが承諾したな…」 呪術士の魔法はかかせないとか言って、いつもヘンリーとサーリャを戦略に絡めていた軍師がだ。 今回はマークの件があり、ヘンリーがルフレに討伐隊から外してもらうよう申し出ていた。ただ、マークの事は秘密なため、どう理由をつけたのかは知らない。 「ん〜とね、昨日の夜はガイアの天幕に泊まって疲れちゃって、喉もガラガラで呪術を唱えられないよ〜て言ったら、何も言わないで休ませてくれたよ〜」 どんな理由をつけたか気になってはいたが…、予想外の理由に準備の手が止まる。 「その言い訳、俺の事なんにも考えてないだろ…」 その理由は容易にアレを想像させるだろう。マークが居るからするわけないだろなんて、そんな言い訳はルフレに出来るわけない訳で…。というか、言い訳をしたら討伐隊から外れるヘンリーの理由が台無しになってしまう。 とはいえ素直に受け入れるには、少し抵抗を感じる…。 「ん?考えてるよ?考えてるから、ガイアの名前が出ちゃったんだよ〜」 「そう言う意味じゃなくてだな…」 「ん〜?マークの事は僕にお任せ〜」 「はあ、ルフレに何を言われるか気が重いな…」 まあ、言ってしまったもんはしょうがないかと覚悟を決める。 ルフレにはヘンリーとの関係が既にバレているんだ。少し軽率な行動だと注意されるくらい…だと思いたい。 理由はどうあれ、編成からヘンリーは急遽抜けた状態で屍兵との戦闘を開始する。 呪術士はかかせないと言っていたわりに、居なくても全く問題なく屍兵は倒されていく。 さすが軍師は策を幾つも用意しているという事なのだろうか。 楽勝すぎる屍兵の討伐を終え、さて戻るかと行軍を始めた時、ルフレから小言を頂いてしまう。 何か言われる前に、ささっと天幕に引っ込んでしまいたかったが、このタイミングでは逃げ場がない。 「ルフレ…、周りに皆が居るんだ。その話しは…」 ちらっと斜め前を歩く女性陣に目を向ける。 聞こえてるかどうかは分からないが、内容が内容なだけに、どうしても気になってしまう。 「誰が誰と何を〜なんて言ってないけど?」 「じゅうぶんそれと分かる言い回しだろ」 「自覚があるから、そう聞こえるんじゃないの?」 自覚も何も昨夜は何もしていないのだが…。 「反省してるから、もう良いだろ」 「本当に反省してる?あんな理由で休ませてって言われるこっちの身にもなってよね?」 「ああ、分かってる。気を使わせて悪かったな」 事実は言えないため、無かった事を既成事実にして素直に謝る。 正直なところ、夜に抱き合ったからと言って、次の日の戦闘が無理なんて事はない。これはヘンリーの苦し紛れの嘘だ。 「いいえー、戦いは身体が大事だからねー」 「別に無理させてるわけじゃ…」 ヘンリーの苦肉の嘘は、ルフレに激しい夜を想像させたに違いない。 それが分かるから、早くこの場から立ち去りたい。 逃げたい逃げたいと頭の中で繰り返していると、逃げたい相手ルフレから声をかけられる。 「ガイア、あれ何かしら?」 「ん?」 ルフレが指差した先は野営地の方角だ。 天高く黒い煙が上がっている。それは幾つも上がっており、ただの焚火じゃなけりゃ狼煙でもないだろう。 「急ぎましょう!」 「ああ」 ただ事ではないと、ルフレは行軍中の兵に急いで指示を出す。 野営地で何かが起こるとすれば…、いやな予感が頭をよぎりガイアは誰よりも先に走り出す。 「屍兵!?」 燃え上がる天幕が最初に目に入り、その周りをうろつく屍兵と目が合う。 すぐヘンリーの元へ行きたかったが、襲ってくる屍兵に道を塞がれ戦いを余儀なくされる。 「くそ!どうなってるんだっ!?」 屍兵の討伐に行ってる間に、野営地も屍兵に襲われるなんて…。 何か関係があるのか?と咄嗟に思ってしまうが、多分こっちの屍兵は討伐で排除した奴らとは違う。 片っ端から剣で薙ぎ倒し足で屍兵を蹴飛ばしながら、なんとかヘンリーの天幕の前まで来る。が、屍兵に埋め尽くされた天幕の周囲に息をのむ。 「な、なんだコレは…」 天幕の入り口は屍兵の群れで見えなくなってしまっている。 確かに天幕はここにあるはずなのだが、何処を見ても屍兵だらけだ。 中はどうなっているのか?もしまだ二人が居るとしたら…。 いくらヘンリーでも幼いマークを守りながら、この屍兵の大群を相手に無事でいられるとは思えない。 「ガイア!」 「ルフレか」 「ここだけ異常に屍兵の数が多いけど、ここってヘンリーの天幕よね?」 「ああ、早く無事を確認したいんだが…。くそっ」 何処から沸いて出てくるのか、倒しても倒しても出入り口に群がる屍兵にガイアは舌打ちをする。 「中にヘンリーは居るの?」 「多分」 「分かったわ。ルキナ!天幕周辺の屍兵の排除をお願い」 「はい!どうか、ご無事で!」 近くで闘っていたルキナは大きく返事をし、天幕に群がっている屍兵に剣を向ける。 「ガイア、私が援護するから一緒に中へ!」 中に進もうと入り口付近にいる屍兵にルフレは魔法をぶっ放す。 その横に居たガイアはルフレの前に出て、中に入ろうとするのを慌てて制止する。 「ま、待て!ルフレ。中には俺一人で行く。出入り口の排除だけ頼む」 「何言ってるのよ?中にだって屍兵がいるでしょ!」 「中は狭いからな、一人の方が闘いやすい」 「そうかしら…」 不審な目をルフレはガイアに向ける。 確かに狭いから一人でって言うのは分からなくはない。だが、中の様子が確認できない以上、援護があった方が安全ではないだろうかとルフレは思う。 「頼む、中は見ないで闘ってくれ」 「頼むって言われても…、うーん…」 なぜ、ここまで頑に嫌がるのか…。中は見るななんて、何か如何わし物でもあるのだろうか? ガイアとヘンリーなら有り得るのか?でも今は、そんなワガママを言ってる場合ではないと思うが…。 中を見るなと言われて納得できず唸っているルフレに、ガイアは時間が無いと即す。 「世界がかかってるんだっ!」 「ええっ?世界!!?ちょ、ちょっとガイア!!」 何がなんだか分からないルフレは、困惑の表情を浮かべながら魔法を屍兵に放つ。 魔法で怯んだ屍兵をガイアは薙ぎ倒し、天幕の中へ颯爽と入っていく。 「ルフレ、出入り口は任せた!」 「え、ええ。気をつけて…!」 「ああ!」 状況がつかめないままルフレはガイアを天幕内へ送り出す。 「ヘンリー!ヘンリー、無事かっ!?」 呼びながら中に入り、内部に詰まっている屍兵を斬り前へ進む。 それを繰り返し、天幕内に少し空間ができる。 「ヘンリーッ!」 屍兵の隙間からマントらしき布が見え、大声で名前を呼ぶ。 「う、ガイ…ア?」 「ヘンリー!」 微かに声が聞こえ無事を確認し、必至に屍兵を駆除していく。 「大丈夫か!?」 やっと手の届く所まで近づき、その手を伸ばして無理矢理引き寄せる。 なんとか腕の中にヘンリーを収め、ガイアはホッと安堵の息を漏らす。 ヘンリーは傷だらけだったが、ヘンリーが大事に抱えているモノがモソモソと動き、マントの中から笑顔を覗かせた。 「大した奴だな。こんな時でも笑顔か」 笑うマークを見ながら呆れ口調で言うと、ヘンリーはガイアの後ろを指差す。 「ガイア、まだ…」 「ああ、分かってる。もう少しの辛抱だ」 「うん、マークは任せて」 「頼んだぞ」 よく頑張ったと労いの言葉と共にヘンリーの背中を優しく撫でる。 外でルフレやルキナが頑張ってくれているおかげで、天幕内の屍兵は増える事無くガイアの手によって排除されていく。 そして最後の一体を手にかけ、よくやく屍兵の排除を終える。 天幕はこんなにも広かったのかと、いつもは狭いと愚痴っている天幕を見て思う。 「はあ、ガイアが来てくれて良かった〜」 「間に合って良かったよ…本当に…」 「頑張ったんだけどね〜、マークを抱っこしながらだと、なかなか思うようにいかなくって」 「まあ、しょうがないな」 いつもの笑顔で話すヘンリーの頬に軽くキスをする。 「ちょっと待っててくれ、ルフレが中に入って来る前に…」 そう言ってガイアは天幕の外に急いで出て行く。 「ルフレ」 「あ、ガイア!ヘンリーは?」 天幕の外もあらかた片付いたらしく、ルフレが天幕の前に突っ立っていた。 そして少し離れた場所では、ルキナが戦闘の後片付けを始めている。 「ああ、怪我はしてるがヘンリーは無事だ。それで、ひとつ頼まれて欲しいんだが、ヘンリーの治療をお願いできないか」 「ええ、もちろん良いわよ。リズを呼んでくるわね」 言ってルフレは歩き出そうとしたが、ガイアに呼び止められる。 「いや、ヘンリーをそっちに連れて行ってくれ」 「え、大丈夫?」 「重症ではないから、歩くくらい平気だ」 「でも、行くより来てもらった方が良いと思うけど」 「天幕の中がぐちゃぐちゃなんだよ。ヘンリ−が治療してる間に、俺が片しておこうと思ってな。寝台とか今は使えない状態だからさ」 屍兵は死ぬと消えるから片付けは楽な方だが〜なんて、訳の分からない言い訳をしながらガイアは言う。 もちろん嘘ではなく、棚が倒れてたりと片付けが必要なのは確かだ。だが、ルフレの目を見るとどうしても言い訳をしたくなってしまう。 それは多分、隠し事をしているからだろう。なんたって、ルフレは軍師らしく勘が鋭い。恋愛に関しては鈍いが…。 「ふーん、ならしょうがないか…。じゃあ、ここで待ってるわね」 「ああ、悪いな。今、連れて来る」 ヘンリーをルフレに任せ、ガイアは天幕内を片付け始める。 真っ先に片付けた寝台の上にマークを寝かせ、棚を元の位置に戻して本や呪いの道具を片す。 たまに寝台の上のマークに視線を向けると、ひとりでキャッキャと笑いながら遊ぶ姿が目に入る。 「…。まさか父親って、ヘンリーじゃないだろうな?」 ほぼ笑ってる姿しか見ていないガイアは、マークを疑いの目で見てしまう。 髪の色は銀髪ではなく、ルフレの髪の色とも違うが…。 「やっぱり違うよな…」 面倒を見ていたヘンリーの笑顔が、うつったに違いない。ガイアは勝手な理由をつけ、勝手に納得する。 ------------------------------------- つづく 3に続きます>> UP |