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FireEmblem 覚醒:異界から来た子供 4
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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異世界の子供マーク
ガイアとヘンリーの関係は既にナニソレです。その関係をルフレは知っています。
ルフレの旦那は謎のままです。






天幕にヘンリーとマークを残し、ガイアは町へ出る。
三人で買い出しに行く方が安全なのかもしれないが、軍の人間に遇ってしまうのが厄介だ。
ガイアは自分たちの食料のほかにミルクやおむつを手に取る。
三人じゃなくても、この姿は見られたくないなと、大好きな菓子を我慢し寄り道をせず人目を避け、ヘンリーの待つ天幕へ帰る。

天幕までは道がなく、木々や空で方角を確認しつつ足を進める。
「あれは…」
顔を上げると、天幕のある方角から煙が上がっているのが見えた。
野営地で見たのとは違い一カ所のみだが、それは天幕がひとつしか無いからだろう。
「なんて考えている場合かっ!」
自分に突っ込みを入れ、全速力で走り出す。
道中、何か荷物を落とした気もするが、拾っている時間が惜しい。
「ヘンリーッ!!」
思った通り天幕の周りは屍兵だらけだ。
すぐ護身用に持っていた剣を鞘から抜き、屍兵に斬り掛かる。
屍兵を薙ぎ倒しながら、周囲を見回しヘンリーを探す。
「ガイア〜、危ないよ〜」
「!!」
名前を呼ばれたと同時に、爆発が目の前で起こる。
爆風を顔面に浴び後ずさりすると、後ろからいつもの笑い声が聞こえてきた。
「あはは、危なかったね〜」
「笑ってる場合かよ!?俺まで吹き飛ばす気か?」
振り向くと、やはりいつもの笑顔のヘンリーが立っていた。そして、腕の中にはちゃんとマークもいる。
「あはは〜、ガイアなら避けれると思ったからね〜」
「たく、今日は余裕そうだな?」
笑いながら言う台詞が軽すぎないか?と呆れ口調で言う。野営地で屍兵に襲われた時は笑えない状況だったくせにと。
「うん、ルキナも居るしね〜」
「ルキナ?」
予想外の人物の名前が耳に入り反復する。
まあ、ルキナじゃなくても、誰の名前が出てきても繰り返し言ってしまうだろう。
「屍兵が現れて、一人で相手するの大変だな〜て思ってたら、ルキナが助けてくれたんだよ〜」
「ずいぶん、いいタイミングだな」
「そうだね〜、僕は助かっちゃったけど〜」
少しルキナの存在は気になるが、まずは屍兵の排除が優先だ。
狭い天幕の周りだけあって、戦闘中にルキナと何回か目が合った。
何で居るんだ?と、つい不審な目を向けてしまう。

「さてと…」
やっと屍兵が姿を消し、剣を鞘に収める。
そして、ガイアはルキナに視線を移した。
「何で居るんだ?」
「さあ〜?」
ヘンリーが首を傾げ、その後ろでルキナが頭を下げる。
「挨拶が遅れてすみません」
「いや、挨拶は別にいいが…」
「僕たちの跡をつけてたとか〜?」
どう切り出そうか考えあぐねていると、ヘンリーが先に訊いてしまう。
こういう時はハッキリともの言えるコイツの性格が羨ましい。
そして予想通りルキナは深々と頭を下げた。聞くまでもなく、俺たちの周辺を嗅ぎ回らなきゃ、こんな所で会うわけないんだ。
「悪趣味な事をしてしまい申し訳ありません。野営地が屍兵に襲われた時の事が気になり、見過ごせなかったんです」
「ルフレや他の奴には?」
「言っていません。私一人の判断です」
「ヘンリーの抱いている子供の事は?」
ヘンリーの問いかけを皮切りに、次から次へとルキナに質問を浴びせる。
王女という立場の人間に尋問まがいな事はしたくはないが、こうなる事はルキナも分かっていただろう。
「今日、初めて知りました。その子はマークですよね」
「ルキナは知ってるんだ〜」
「じゃあ、誰の子だって事もか?」
「はい、ルフレさんの子供ですよね」
「ルキナの世界でも、こんな小さいのか?」
「いえ、服装と雰囲気でマークだと分かりました。私の世界のマークは…、ルフレさんの後を追うように姿を消してます」
「どういう事だ?」
確かにルフレは自分たちとは違う。そして、その子供ならルフレと同じ血が流れているはずだ。
そのルフレとマークが未来で姿を消しているなんて…。ルキナの居た未来は絶望的な戦況じゃなかったか?
「すみません、詳しくは話せません。あまり未来の事は過去に持ち込みたくないのです」
「赤ちゃんじゃないんだね〜?」
「はい、私たちと同年代です」
「そうか。別の世界の別の時代のマークって事か…」
少し整頓しかけた頭が、また混乱しそうだ。
できればこれ以上、あちこちの未来からマークやルキナが現れないでほしい。
「マークだけですか?」
「ああ、そうらしい」
「えーと、異界から降って来たんだよ〜」
上を指差してヘンリーが言い、その腕の中で小さいマークも上を向いて笑う。
こういう姿は本当に親子のようだ。とても微笑ましいが、絶対親子じゃないと言えないのが、何か落ち着かない。
「別の世界のルフレから託されたらしい」
「時がきたら迎えにくるって〜」
「時、ですか」
「それまで、ルフレからは離れてようと思ってな。マークの存在がバレると色々と厄介だろ」
「そうですね。ですが、あまり長い時間、軍を離れるのは…」
そう言ってルキナは眉をひそめる。
自分たちの知らない事をルキナは知っていて、色々と裏で動く事が多い。
何か懸念する事でもあるのか、その台詞と表情が気になる。
「たまに顔を出して、適当な報告をするようにしようとは思っている。どこまでルフレが納得してくれるかだが…」
「私にも協力させてくれませんか?その、お二人の邪魔はしませんから」
やはり何かを知っていての行動か。
協力的なのは嬉しいが、こっちの関係まで知っているのが少し腑に落ちない…。
「俺らは助かるが、良いのか?お前が野営地を頻繁に離れると、クロムあたりが心配するんじゃ?」
「平気です。私はこの世界の住人ではないですから」
「そう言う問題か?あいつ、ああ見えて過保護だぞ」
「ふふ、この世界には小さなルキナがいますから、私に対してはそこまで過保護じゃないと思いますよ」
「目に入れても痛くないんだろうな」
「僕もマークを目に入れても痛くないかも〜」
「お前の子じゃないだろ」
…多分。
「そういえば、ルキナは知ってるの〜?マークの父親が誰かって」
「知ってますが…、内緒です」
「あはは、気になるな〜」
「…」
内緒というのが、ますます疑わしい…。いや、髪の色からして絶対有り得ない。
ヘンリーが父親だなんて、有り得ないはずだ。
……多分。


日が沈む前に、ルキナは他の仲間の目があるからと、野営地へ戻っていった。
他の仲間というのはクロムやルフレの事ではなく、ルキナと同じく未来からきた子供たちの事だ。
苦しい未来を生きて来たルキナたちは結束力が非常に強い。
これから野営地を頻繁に抜ける事になるであろうルキナを他の子供たちはどう思うだろうか…。

「なんか幸せだね〜」
「ん…」
「未来のルフレの事とか色々考えると、幸せなんて言っちゃ駄目なのかもだけど〜。でも、マークが幸せそうな顔してるから〜」
「別に駄目じゃないさ。幸せだと思った時くらい、幸せでいようぜ」
言ってガイアはヘンリーとマークの頭を撫でる。
正直に言えば頭を撫でるだけじゃなく、もっと触れたい部分がある。だが、流石に他人の子供を挟んでするのはどうかと思う。
しょうがないかとぐっと我慢をし、マークを挟んで見つめ合う。
「そっかー、そういう考え方もあるんだね〜」
「未来のルフレだって、幸せそうに笑ってるマークを見たら安心するだろ」
「うんうん、みんな幸せになれると良いね〜」
「なれるさ。未来から来たルキナも、他の子供たちだって…」
戻れなくたって、この世界で幸せになれるはずだ。
お前も幸せになれるんだよと小さく呟き、雀の啄むようなキスをする。
「ねえ、今日もかわのじで寝よう〜」
「他にあるのか?」
「あはは、積み重なるとか〜」
「お前らの敷き布団になる気はないぞ」
「ふふ」
こんな会話が幸せでたまらない。
いつまでこんな生活が続くのかと心配もあるが…、もう少しこの空間を楽しんでいても罰は当たらないだろう。







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つづく

5に続きます>>

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