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FireEmblem 覚醒:異界から来た子供 5
絵と文とか

FireEmblem覚醒

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異世界の子供マーク
ガイアとヘンリーの関係は既にナニソレです。その関係をルフレは知っています。
ルフレの旦那は謎のままです。






-翌朝-
清々しい朝を迎え、小さな天幕を出て二人は大きく伸びをする。
「まーっ!」
「あ、マークおはよう〜」
天幕から顔を出すマークにヘンリーは笑顔で挨拶をし抱き上げる。
「まーって、マークの事か?」
「ん〜、ママじゃないかな〜?」
「ヘンリーをママって言ってんのか」
「え〜、違うと思うよ〜。マークは僕の事、おーって言うんだよ〜」
おーってなんの略だ?と少し気になったが、このタイミングでママって言うのは…。
「俺じゃないよな…て、ママが恋しいのか?」
「かな…?やっぱり僕たちじゃ、親代わりは無理なのかも」
「いや、お前には凄い懐いてるだろ。無理だったわけじゃないさ」
「でも…」
まだ何か言いたげなヘンリーだったが、周りの空気が急にざわつき始め、口を閉じ顔を上げる。
ガイア自身も雰囲気が変わったのを肌で感じ、戦闘態勢を取り周辺に気を配った。
「ガイアさん!ヘンリーさん!」
「あ、ルキナ〜、おはよう〜」
「よう、どうした?」
ルキナかとホッとし、鞘にかけていた手を離す。
しかし、ルキナの表情は穏やかではなく、何処か緊張した面持ちだ。
「空を見てください!異界の方角です!」
「ん?」
空は赤紫色をした文様が浮かび、一筋の光が下へ向けて伸びている。
異界を出入りする時の光景とそっくりだ。
「あっ!ルフレかも〜!」
「まーっ!」
「これが合図か!?」
マークは母親が恋しかったのではなく、気配を感じて呼んでいたんだ。
この世界にもルフレは居るが、やはり本当の母親とは違うのだろう。
「行ってみましょう!」
「ああ!」
早く異界の門に駆けつけたいが、三人とも歩兵なのが残念でならない。


「ハア、ハア」
息を切らしながら必至に走り続け、やっと異界の門に辿り着く。
これで子守りは終ると思ったが、さすがにそんな簡単に事が運ぶわけがなく、異界の門の周りは屍兵で埋め尽くされていた。
「思った通りですね…」
「はあ、キツイな…」
溜め息をつき、片手でマークを抱き直す。そして、空いた手で剣を鞘から抜き、ガイアは屍兵を睨む。
「ガイアさん、私とヘンリーさんで援護するので、マークを母親の元へお願いします!」
「屍兵は僕にお任せ〜」
「あ、ああ…」
申し分ない戦闘力を持つ二人はとても頼もしい。いくらでも背中を任せられる連中だ。
だが…、空に伸びる一筋の光の先にルフレが居るのなら、そこにどうやってマークを届ければ良いんだ?
「どう考えても、マークを持ち上げただけじゃ届かないよな…」
上を見上げてガイアは言い、ヘンリーは屍兵に魔法をぶっ放しながら言葉を返す。
「ん〜、上に放り投げてみたら?」
「そのまま落っこちて来たらどうするんだよ…」
光の中が無重力とかなら、マークは上に昇っていくかもしれない。しかし、そんな根拠は何処にもなく、重力通り落下してしまう可能性もある。
「もっかいキャッチ!」
「あのなあ…、お前はどうやってマークを受け止めたんだ?」
呆れ口調でガイアは言う。
「良くわかんないけど、誰か下にいると分かっていてルフレはマークを落としたのかも?丁度よく受け取れたよ〜」
「うーん」
「だから、上に投げたら丁度よくルフレが受け取るのかも?」
「なんか、危険な香りがするな…」
どんだけ高く投げれば良いのか、そしてルフレは何処まで手を伸ばして来るのか。
思わず凄く腕の長いルフレを想像してしまう…。
「ちょっとルフレを呼んでみようか〜」
「聞こえるのか?」
「さあ?ル〜フ〜レ〜!」
ヘンリーは攻撃魔法を唱えるのを止め、異界に向けて大きな声を上げる。
「…」
「……」
「まー!」
しかし、返事をしたのはガイアが抱いているマークだけだった。
「俺には何も聞こえないが…、マークには聞こえてるのか?」
「かな〜、居るっぽいよね?」
「どうしますか?上に投げてみるなら、落ちた時のために下で構えてますが…」
ルキナはそう言い、屍兵を倒す手を止める。
代わりにヘンリーが魔道書を構え、屍兵に向き直る。
「屍兵は僕が相手するよ〜」
「やってみるか…」
他に方法もなく、危険だがやってみるしかない。
このまま手をこまねいていても、屍兵だけがどんどん増えてくるだけだ。
最悪、異界の門が閉まってしまうなんて事もあるかもしれない。


よし、上に向けて思いっきり投げるぞと、マークを持ち上げようとした時だった。
どこからか元気のいい声が聞こえてきて、ガイアは勢い良く振り上げた手を止めた。
「どいてどいて〜〜〜っ!!」
「ん?」
「ルキナーッ!!」
目視できるとこまで近づいて来た人影は…、上空に一人、そして地上に三人。
「シンシア!それに…ウードとアズール。ロランまで!」
「ルキナ、水臭いですよ」
屍兵を魔法で吹き飛ばしロランが言う。
その吹き飛ばされた屍兵をウードは剣で払い捨てる。
「屍兵、お前の相手は、選ばれ英雄の血を受け継いだこの俺だ!」
ポーズを決めるウードの横をアズールは素通りしルキナに声をかけた。
「ルキナ、屍兵は僕たちに任せて」
「みなさん、有り難うございます」
ルキナは礼を言い、ガイアは少し怪訝そうな顔をする。
「ガイアさん!マークをあたしにっ!」
しかしシンシアはそんなガイアに構う事なくペガサスの上から手を伸ばす。
「あ、ああ…」
とりあえず今は考えている場合じゃない。
「あたしがペガサスで届けちゃうよー!」
「なるほど、任せた」
色々気になる事はあるが、ここはシンシアに任せるのが一番安全だろう。
ガイアはマークをシンシアに託し、異界の門の上空を眺める。
「まっかせといてー!」
「頼みますっ!シンシアッ!」
「いっくよー!」
マークを腕に抱きシンシアは颯爽と光の先へペガサスを走らせる。

「かなり高いな…」
ずっと目で追っていたガイアはひとつ呟いた。
米粒大になったペガサスは更に上空を目指して駆けていく。
「届くかな〜?」
「いずれ届くだろ…多分…」
屍兵を未来の子供たちに任せ、ガイアとヘンリーは小さいマークを見守る。
「ペガサスに限界なんてないよな?」
「さ〜?」
何処まで上を目指して飛んでいけるのか、米粒よりも更に小さくなってしまったペガサスを二人は見つめる。

「ふええぇ〜、まだかな〜」
こんなに高い所まで飛んだ事がないと、シンシアは不安で頭の中が一杯になってしまう。
「まー、まー!」
「高い所は平気だけど、ちょっと高すぎだよ〜!」
「まー、まー!」
「母さん、こわいよーっ!」
もう無理とシンシアは弱音を吐く。
その腕の中のマークは、ずっと「まー、まー!」と声を上げる。
『マ、、ク』
「ん?」
シンシアが泣こうとした瞬間、耳に声が届く。
ルキナたちは遥か彼方下で、仲間たちの声なんて聞こえてくるはずがない。
「じゃあ、この声は?」
「まー!!」
「え?」
『あり、、とう。シ、シア…』
「マークのお母さん!?」
「まー!」
上を向くと、雲の中に空いた空間から手が二つ見えた。
顔までは見えないが、きっとマークの母親に違いない。そう思ったシンシアは折れそうだった心を持ち直し、マークの母親の名前を叫ぶ。
「ルフレさんっ!」
「まー!」
「マーク、あたしにまかせて!」
足でしっかりペガサスの胴体を挟み、両手でマークを掴む。
手綱を手放すのは凄く怖かったが、そこは我慢して高々とマークを持ち上げた。
「お願い、届いて!」
手綱を手放した事で、不安定になったペガサスが上下に揺れる。
「わわ、わっ!」
落ちそうになるのを必至に堪えて、限界までシンシアは背伸びをする。
「とどけえぇぇぇーっ!!!」

「…」
じっと無言で上空を見上げていたガイアが痺れを切らし口を開く。
「どうなった?まったく見えないんだが…」
「なーんも見えないね〜」
オデコに手を当て、ヘンリーも空を見上げる。
「シンシアが落ちて来てない以上、まだ大丈夫でしょう」
「縁起でもないな…」
屍兵を倒し終えたロランにガイアはなんとも言えない顔を向ける。
「なにか?」
「いや…」
ルキナ一人くらいならと思っていたが、仲間が四人も駆けつけて来たのだ。
マークの事も知ってるだろうし、隠し通せるなんて到底思えない。
「安心してください。どんなに小さなマークでも、彼は僕たちの仲間です。仲間を失うような事はしません」
「そ、そうか…」
「ルキナの行動が怪しかったもので、一人で何かまた無理をしてるのではと思い、僕たちだけで探っていたんです。そうしたら、ガイアさんたちに行き着いしまいまして…そこは申し訳ありません」
「あーいや、別に…。マークの事をこの時代の奴らに漏らさないでくれれば、あとは気にしなくていい」
こちらから言わなくても大体の状況を把握している事が分かり安心する。
小さいマークやルフレ意外の事は、なんかもうどうでも良くなってきた…。
ヘンリーとの関係がバレたところで、未来がガラっと変わるなんて事はないだろう。

「みんなあああーっっ!!」
遠くから声が聞こえ、ペガサスがこっちへ向かって下りてくる。
「シンシア!」
「無事だったか!」
息を切らせながらシンシアはペガサスを降りる。
その腕の中にはマークの姿は無かった。
「マークは!?」
「ちゃんと届けたよー!ありがとうって言われちゃった!えへへへ」
「そうか、良かったな」
安堵の息が、この場に居る全員から漏れる。
「声が聞こえたんだ〜。僕には何も聞こえなかったよ〜」
少し残念そうにヘンリーは言う。
まあ、託された身としては最後に挨拶のひとつでも言いたかったのだろう。
「すんごい高い所だったんだよ!」
シンシアは手を高く上げ興奮気味に言う。
「ふーん、落ちて来た時はそんな高そうじゃなかったのになあ〜」
「異界の開く位置はまちまちなのかもな」
空を見上げて言うヘンリーにつられガイアも上を見る。
まだ異界の門は開いているらしく、一筋の光が上に向かって伸びている。
「あんな高い場所はもう勘弁してほしいよぉ、ペガサスでもギリギリだったんだよ!」
「あはは、落ちなくて良かったね〜」
あの光のずっと先に門が開いているのだろう。
「あ、異界が閉じていきますよ」
ロランが指を差す。
天まで伸びていた光が次第に細くなり、すっと地上から消えてゆく。
「これで、一件落着か…」
ガイアが言い、はあーと全員で大きな溜め息をひとつついた。

「では、戻りますか」
ルキナが言い、未来から来たルキナの仲間たちは、並んで野営地へ向かって歩き出す。
その後ろ姿をガイアとヘンリーは見送る。
「ガイアさんたちは戻らないのですか?」
「接点のない俺たちと一緒に戻ったら、ルフレやクロムに怪しまれるだろ。俺たちは後で戻るよ」
「そうですか…」
足を止めて見てくるルキナにガイアは頷く。
「凄い助かったよ。礼を言う」
「ルキナ、ありがとう〜!」
ヘンリーが笑顔で礼を言うが、ルキナはまだ歩き出そうとしない。
他の仲間たちはもう見えないくらいまで遠くへ行ってしまっている。
「あの、接点がないなんて言わないでください。親子じゃなくても、私たちは絆で繋がっていると思います」
「さすがクロムの娘だな」
「あはは、絆って凄いね〜」
「ふふ」
ヘンリーが笑い、ルキナも一緒に笑う。
何処に笑う要素があったのかは分からないが…。
「では、先に戻ります」
「ああ、またな」
「また後でね〜」
ヘンリーは大きく手を振る。
そしてルキナは仲間を追ってこの場を後にし、残されたガイアとヘンリーはその後ろ姿が見えなくなるまでずっと眺めていた。


空が暗くなり夕食を終え、狭い天幕に戻って二人は敷きっぱなしの布団の上に腰を下ろす。
ただでさえ狭い天幕は、布団と荷物で隙間がまったくない。
ずっとこの天幕で生活する事を元々想定していないため、荷物は少なめに抑えているはずだったが、おむつ等の子供用品が幅を利かせている。
「ちょっと寂しいね〜」
子供の肌着を手に取りヘンリーが呟く。
「ん…、マークが恋しいか?」
「少しね〜、もう少し一緒に居たかったな〜」
「それは子供が欲しいってことか?」
名残惜しそうにしているヘンリーに、ついそんな事を訊いてしまう。
子供が好きなんだなと言う事は、今回の件で良くわかった。
「え〜?僕たちには無理だよ〜」
「そんな事は分かってるよ。そうじゃなくてだな…、まあ良いか」
いちいち言う事じゃないなと口を紡ぐ。
子供が欲しいから女の子と一緒になりたいとか、有り得るんじゃないかと一瞬思ってしまった。
別にヘンリーを信用してないわけじゃない。一瞬よぎっただけだ。だから口に出して言うのをやめたんだ。
「ふふ、せっかく仲良くなれたからね〜」
「また仲良くなれるさ。この世界のマークとな」
「あはは、早く産んでくれないかな〜ルフレ」
「そりゃルフレと旦那になるヤツ次第だな…。誰かは知らんが」
ルキナたちは知っているようだが、秘密だと言われている。
口の軽そうな奴もいるが…まあ訊いちゃ駄目だろう。
「誰だろうね〜」
「誰だろうな…」
天幕の中を片しながら考える。
髪の色から推測すると候補は数人いるが…。

「楽しみだね〜」
「そうだな、ゆっくり観察してやるか」
「あはは」

軍内は何気に春が来ている。
それは季節の春ではなく、恋の季節というヤツだ。
恋が実ると、続々と未来から子供たちがやってくる。

近い将来、成長したマークがどこかからかやってくるかもしれない。

今のルフレが恋愛をするなんて想像できないが…。

「まだ考えてるの〜?そろそろ寝よう〜疲れちゃったよ〜」
「そうだな、寝るか」

「おやすみ〜、ガイア。そして、マーク〜」
「おやすみ」

今頃マークは母親の胸の中で寝ているのだろうか。


まだ見えぬ未来に、永遠の幸せを願う。

小さなマークの世界はもちろん、

この世界も。







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おわり。

ガイヘンというより、ルフレの旦那は誰だ?な内容に…。
そして活躍する子供たち…。
これはガイヘンなのでしょうか?
二人が一緒に居るのでガイヘンです。ハイ。

イチャコラも大したしていないのに、この長さ。
もっとガイアとヘンリーと子供マークの生活を入れれたら良かったのですが…。
私が書くと間延びしそうで…;
何となく家族っぽい三人を想像して頂ければ…と思います。

最後まで読んで頂き有り難うございます。

誤字脱字が無い事を祈ります。


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