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銀 魂:告白。
絵と文とか

銀魂

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とても最後がハズカシイ展開になってます。
銀さんに「ある言葉」を言わせるのがテーマです(タイトルが告白なので分かると思いますが…)
エロっぽいトコは一カ所もありません。ただただハズカシイ最後ですヨ。
多分、出だしの方は両思いだけど二人ともテキトーに生きている感じです。



炎天下の下、万事屋銀ちゃんこと坂田銀時は、依頼を片付けだらだらとスクーターを走らせる。
早く家へ帰りたい気持ちもあるが、クーラーの無い自宅へ戻るにはまだ日が高い。
どんだけ家の中が蒸しているかなんて想像もしたくない。

「今日もあちぃなァ…。なんでこう、季節ってヤツは住みやすい気温で安定しないの?俺が神様だったらなァ…。あー考えてたら糖分が急激に減ってきた。どうしてくれるんだ。お天道様のバカヤロー」
喫茶店の前でスクーターを止め、汗を拭いながら銀時は一人愚痴る。
「バカヤローは旦那ですぜィ」
銀時はスクーターから降りて、声の主を見る。
そこには、沖田総悟が立っていた。
銀時はあからさまに嫌そうな顔をして、お天道様から今度は沖田に文句のターゲットを移した。
「バカヤローは誰だって?旦那は忙しいんだよ。バカヤロー言うだけならほっといてくれる?」
「ほっとけねェですよ。そこ、違法駐車です」
違法駐車と言われて、喫茶店に向かいかけた足を止めてダルそうに銀時は言う。
「ちょっと、パフェ食いに入るだけだよ。すぐ出てくるから良いじゃん」
「30秒で食べてきてくだせィ。じゃないと、バズーカでレッカーしますぜ」
そう言いバズーカをスクーターに向けて構える。
銀時は慌ててスクーターの元に駆け寄り、エンジンをかけつつ怒鳴った。
「それレッカーじゃねーだろ!無きモノにしようとしてるよね!?」
沖田は「こっちです」と銀時の文句を無視して、駐車場へ誘導する。
ブツブツ言いながら従い、スクーターを止めて今度こそ喫茶店へ向かう。
その後ろを沖田がついてきているのに気づき、振り向かずに銀時は告げる。
「何?サボり?おごらないよ?」
「暑いんで休憩でさァ。旦那におごらすほど金に困っちゃいませんよ」

喫茶店に入り、二人は適当な席に座る。店内は予想通り涼しく快適だ。
程なくしてウェイターがお冷やとメニューを持ってきた。
「いらっしゃいませ。ご注文は?」
「フルーツパフェ1つ」銀時はメニューも見ずに言う。
「あと、コーヒー1つホットで」沖田もメニューを見ずに続けて注文する。
「このクソ暑いのにホット?」とウェイターが去った後、銀時は信じられないという顔で言う。
聞かれた沖田は、頭の上に右手をヒラヒラさせながら答える。
「この席、冷房が直撃なんでさァ。外は暑かったんですが今は寒いんで」
確かに沖田の居る方から涼しい空気が流れてきているような気はするが、テーブルを挟んで銀時の座っている席は半袖で丁度いいくらいだった。
「こっち側は平気だな。そんな冷えるなら移るか?」
言いながら席を動こうとする銀時を沖田は制止する。
「平気です。もう、ホット頼んじゃったんで気にしないでくだせィ」
「そう?辛かったら言って」
銀時はそう言って席に腰を下ろした。
「旦那は優しいですねィ」
「俺はいつも優しいよ?」

少し時間が流れ、パフェとコーヒーが運ばれてきた。
二人はそれぞれ注文した物に手をつける。
「はァ。生き返るわ。糖分って大事だよな〜」
銀時は満足げにパフェをつつきながら言った。
「そうですかィ。取りすぎるともっと大事な事に気づきますぜ。」
「ナニソレ?糖尿病の事?今から我慢してもしょうがねーよ。我慢したら糖尿病にならない?食べたらなる?そう考えて生きる方が、よっぽど体に悪いよ?悪いよね?イライラするし、精神的にも良くないよ。だったら我慢しないで俺は食べるね」
「旦那らしいですね」
パフェを頬張りながら力説する銀時を、呆れ顔で沖田は見つめて言った。

外の気温のせいか、店内は冷房がフル稼働している。
冷房の真下付近の席に座っている沖田はホットコーヒーを顔色変えずに飲んでいる。
そしてパフェを喜んで食べていたハズの銀時は食べるのをやめ、沖田がコーヒーを飲むのを眺めていた。
コーヒーをテーブルに置くのを待って、食べかけのパフェを沖田に差し出す。
「沖田くん。俺のパフェ食べない?」
聞かれた沖田は怪訝そうな表情で銀時を見つめた。
「なんでですかィ?あんなに力説してたのに。大好きなパフェ残すとかどっか具合悪いんで?俺は寒いからいらないですけど」
「いやァ…ちょっとね」
銀時は気まずそうにしている。
沖田は黙ってその様子を伺っていたが、ふとちょっと離れた席に座っている若い女性達の会話が耳に入ってきた。

「ぷは!親がパフェで子供がコーヒー?」
「いや、アレ真撰組の人でしょ?親子じゃないんじゃない…年もそこまで離れてないっしょ」
「ああ、見た事ある!」
「じゃあ友達?あ、犯人と??」
「犯人がパフェ!?プハハハ」
「なんで、犯人と喫茶店なの!」
「さっきも言ったけど、やっぱカップルだって〜!」
「だから、パフェ逆でしょ!!」

くすくすと笑い声とともに、まだ若い女性達の会話は続いている。
勝手な想像やら妄想だけで、よくここまで会話が続くなと思う。他に話題が無いからなのだろうが。
そんな会話を無表情で聞いていた沖田は言う。
「旦那が気にするなんておかしいですぜ。普段どおりにしてりゃいいじゃねェですか」
沖田の言う事はもっともな事で、銀時もそんな世間の目は気にする方じゃない。だが鋼鉄の心の持ち主という訳でもない。ドSは打たれ弱いとも言うが…。
下向き加減で銀時は口を開いた。
「沖田くんは最初っから会話聞いてないからそんな事が言えるんだよ。今時の若い女の子は怖いねホント。旦那は心折れちゃうよ」
聞きたい?と、銀時は言ったが沖田は興味ないと断った。
若い女が数人集まって、男二人を観察しながら喋る事なんて大体想像がつく。さっきの会話の流れからして、まともな内容じゃないだろう。
だけど心が折れてしまいそうだという銀時を見て、ちょっと可哀想かな…と思う。
そしてウェイターが通りかかった時に沖田は声をかけた。
「すいませーん。ストロベリーパフェ1つ追加お願いしまァ」
「え…いらないって言ってたよね?」
銀時は沖田を意外そうな目で見た。
「旦那が美味しそうにパフェ食べてるんで、俺も食べたくなりやした。安心して下せィ自腹で食べますから」
そう言い、飲み終わったコーヒーカップを銀時の方へさりげなく移動させる。
それに気づいた銀時は何も言わず、冷房が直接当たってかすかに動いている沖田の髪の毛を眺めていた。

ストロベリーパフェが運ばれ、沖田はパフェの上にのっかっているイチゴを頬張った。
「これで、カップルに見えますかねィ?」
「沖田くん…。ホモに見られてるって事なんだけど…わかってる?」
「良いじゃないですかィ、思わせとけば。旦那だけパフェ食べて笑われるんだったら、俺も一緒に食べますよ。野郎がパフェ食べて何がおかしいんでィ。旦那は堂々としてりゃ良いんですよ」
「男らしいね。沖田くんは…。惚れちゃいそうだわ」
一瞬、沖田のパフェを食べる手が止まる。
そして「俺は旦那の事好きですよ」と告げ、パフェを一口食べる。
「え?なに?え?え?なになに??」
その告白はさりげなさすぎて、銀時は何を言われたのか直ぐには理解出来なかった。
そんな銀時を無視して、沖田はスプーンを置いて少しだけ食べたストロベリーパフェを銀時の前に置いた。
「寒くなってきやした。旦那、パフェあげます」
「もう良いの?」
「食べちゃってくだせィ」
何となく店内を見回したが、さっきの若い女性客はもういない。
店内に居る客は二人だけとなっていた。
「ありがとう」と言い、銀時は心置きなくパフェを食べる。

そのストロベリーパフェはフルーツパフェより美味しく感じた。



食べ終わって喫茶店を出たはいいが、外は予想以上に気温が高く蒸す。
まだ外に出て数分しか経っていないのに、汗で下着が肌にまとわりつき気持ちが悪い…。
「沖田くん。暑くないの?」
沖田の格好は、今日会った時も喫茶店に入った時も同じで、真撰組の制服をきっちり着ていてる。
それは見ている方が暑苦しく感じた。
「んー。暑いような暑くないような…。店内との気温の差が激しくて、ちょっと分かりませんねィ」
日差しがまぶしいのか、目を細めて遠くを見ている。
汗をかいているようにも見えず、ちょっと心配になってくる。
「そんな店ん中寒かったの?体調大丈夫?」
「大丈夫でさァ。今日はもう仕事サボります」
それは体調悪いって事か?いや、いつもサボってるからって事か?
アレ?さっきからサボってるよね?等と銀時は頭の中で自分に突っ込みを入れつつ考えた。
そして突っ立っている沖田に一つ提案をする。
「サボるんだったら、デートでもするか」
「デート?」
遠くを見ていた沖田の視線は銀時を見た。
その沖田の瞳を見つめて銀時は言う。
「俺の事好きなんでしょ?だったらデートしたくね?」
聞かれて、ちょっと照れくさくなり視線をまた遠くに移して答える。
「今もそんな感じだと思ってやしたけど…。どこか行きますかィ?」
「んー。そうだな…」
とりあえずと日陰に移動する。沖田もそれに倣った。

この炎天下の下、ただ練り歩くのはキツイ。
また店に入るのも良いが、パフェ2個食べているのだ。正直今はもう何も食べたくない。
ひやかしで色んな店に入るのもアリだが、出たり入ったりじゃそれこそ体調を崩しかねない。
もうすでに、沖田は体調があまり良くない気もする…。
どっか休めるとこが良いのかもしれない。

色々考えた末、銀時はデートの案を伝えた。
「ラブホ行くか」
「は?」
沖田からは当たり前の反応が返ってくる。
「アレ?ラブホテルも知らないの?沖田くん」
「いや、唐突すぎやしませんか。ソレは…」
一瞬聞き間違えかと思ったが、はっきり「ラブホテル」と言われ返答に困ってしまう。
サラッとだが好きと言った手前、嫌だと言うのもなんか違う気がする…。というか、あそこまで堂々と言われると断れない雰囲気がある。だが、了承する勇気もなく次の言葉が出てこない。
黙っていると、銀時はニヤニヤしながら言ってきた。
「なに?沖田くん。ヤラシイ事考えちゃってる?」
銀時のニヤケ面は、沖田の反応を楽しんでいる顔だ。
沖田もそれが分かるため、返事を返すのが慎重になる。
「じゃあ、何しに行く気なんで?」
「休憩だよ。別にHしなくったって入れるからね?ちょっと休憩するのになかなか良い所なんだよ。設備も充実してるし、短時間ならなかなかリーズナブルなんだよ?」
「へぇ…。知りやせんでした。でも、入りづらいですぜ…ラブホなんて。俺、制服だし」
「入った事無いでしょ?沖田くん。入り口から部屋まで誰にも遭わないで入れるんだよ。まあ、監視カメラはあるかもしれねーけど。制服なのは、それはそれで言い訳に使えるから良いんじゃね?」
もう行く事が決定しているかのような銀時の口ぶりに、沖田は「休憩なら」と従うしかなかった。

日陰から出て、喫茶店の駐車場に向かいスクーターにまたがる。
沖田にヘルメットを渡し、後ろに座らせ目的地に向かった。

その道中、沖田は微妙な顔をしていた。
ただ休憩しに入ると言われても、この昼間っからラブホテルへ行くのかと思うと、何とも言えない気持ちになってくる。
しかも男二人で、だ。何考えてるんだ?と沖田は銀時の事を思わずにはいられなかった。


目的地に着き、部屋を決めて中に入る。
「面白いですねィ。徹底していて」
部屋に入って沖田はラブホテルの率直な感想を述べた。
銀時は部屋の真ん中にあるウォーターベッドに大の字になった。
「はーっ!気持ちいいぃー。生き返るね」
そんな銀時を横目で見ながら、沖田は入り口付近から室内を見回している。
「ココにも監視カメラあるんで?扉鍵掛かっちゃいましたよ?」
「カメラはあるかもしれないな。鍵は出る時に清算すりゃ開くからね?勉強になったかね。沖田くん」
ふーん。と、今度は室内を歩き回った。
その様子をベッドから見ていた銀時は、沖田に言う。
「シャワーでも入ってサッパリしてきたら?こういうトコのバスルームはスゴイんだよ」
「もしかして、ココ?」
沖田が指差した場所は、ベッドから見渡せる位置にあるガラス張りの壁で、バスルームはそこから丸見えになっていた。
「そそ。中からカーテン引けるから大丈夫だよ?シルエットは見えるけど」
バスルームの中もスゴイよ?と説明しようとする銀時を、「入るのやめときます」と言って説明ごと断った。
折角来たのにと文句を言う銀時に、「じゃあ、旦那が入ったらどうでィ」と沖田は言う。
「確かに汗かいたしな…。よし、一緒に入るか」
銀時はそう言って立ち上がり、沖田の肩に手を置いた。
「なんでそうなるんで…。見える見えない以前の問題になってるじゃないですかィ」
手を払いのけて、数歩後ろに下がりつつ沖田は言う。
「何そんな恥ずかしがってんの?男同士なんだから、なんも恥ずかしくないよね?一緒に風呂入るのぐらい」
「…銭湯ならそうですねィ。でもココはちょっと勝手が違うというか…ヤロー二人で入るような場所じゃないでしょ」
「性別関係ないよ?好き同士なら良いんじゃね?」
銀時が言う事は間違ってはいない気はするが、何かが引っかかる。そう沖田は感じた。
確かに、好き同士なら性別は関係ないのかもしれない。愛し合っているなら、そういう行為も受け入れられるのかも。
そう、愛し合っているなら…。
自分の好きという気持ちには、そういう気持ちも入っている気がする。ラブホテルに行くのを強く拒否出来なかったのは、自覚出来ていたからなのかもしれない。
そこまで考えて沖田は銀時に告げた。
「旦那。俺は好きって言ったけど、旦那は何も言っちゃいないですよ。なのにデートしようとか一緒に風呂入ろうとか、何処まで受け入れりゃ良いんですか?俺」
「言わないと分かんない?」
さっきまでとは違って、銀時の表情からは笑顔が消えて真面目な顔をしている。
その表情を沖田は黙って見つめていた。
言わなくても分かる。これまでの行動で証明されているとは思う。多分、遊びではないと言う事も…。
でも不公平ではないか?と沖田は思う。
「俺だけ好きだって言って、旦那が言わないのは何故ですかィ?言っちゃいけない訳でもあるんで?」
「言わないといけない理由があるの?」
離れた距離を詰めつつ銀時は言う。
「ありますぜ。ちゃんと言葉にしてくれた方が分かりやすいし安心します。好きなら言葉が欲しいって思う時もあるんですよ。最初くらいは言って下せィ」
理由があるのかと聞かれ、何故そこまで言いたくないのかとイラっとし、つい本音が出てしまった。

少し沈黙が流れ、銀時は沖田の顔を両手で優しく挟み自分の顔を近づけた。
「最初くらいは…ね。言っても良いんだよ。俺はいくらでも言えるよ。でも、沖田くんは受け入れる覚悟が出来てる?」
「……。」
沖田は、ただ自分だけ好きと告げるのは不公平だと思っただけだった。
でも銀時にはそれだけじゃない気持ちがあるのだと気づき、これ以上言って欲しいと強請るのを躊躇った。
「覚悟がないなら言えない。沖田くんを傷つけたくないからね。言っちゃうと多分ブレーキきかなくなるから。それでも良いなら言うけど?」
「………。」
言って欲しいと言えば、抱くつもりなのだろう。
言わなくていいと言えば、このまま休憩を取り今まで通りの関係を続けるのだろう。

黙り込んでいる沖田に、銀時はゆっくりと告げる。
「無理しなくてもいいんだよ。今じゃなくても、いつでも言ってあげるよ」
「旦那…優しいですねィ」
「だから、俺はいつも優しいよ?」
そうですね。と呟き、銀時を見上げる。
その優しさに答えてあげても良いかなと思う。そして、銀時の声で聞きたいと思う。今、聞きたいのだと…。
「言ってくだせィ」
「良いの?」
「今、聞きたいんで」

少しの間見つめ合い、銀時は沖田の耳元で囁いた。
「愛してる…」

「愛してるよ。沖田くん…」

「何回言うんで…」
「好きなだけ言ってあげるよ」



 愛してる。






ーーーーーーーーーーーーー
おわり。

こっぱずかしい最後ですね。
銀さんに「愛してる」と言わせるのがテーマでしたが…。
言うだけじゃ止まらない男になりました。

そして休憩のハズが、しっかり済ませて帰るのであります。
銀さんが確信犯かどうかは想像にお任せです。

とりあえず、最後はフェードアウト(お約束)


#UP