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銀 魂:眠い日。
絵と文とか

銀魂

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「愛してる」を言わそう(またか)な感じです。
すでにナニな関係です。


天気の良い街中をいつものようにパトカーで走る。
まだ昼前だが、今日も平和だと窓から外を眺めて思う。
車内の空気が少し白くなってきたのを感じ、少しパトカーの窓を開けそこからタバコの煙を逃がしてやる。
隣で寝ているヤツが「煙たい」と言って起きるのではないかと、そっちに目を向けた。
だが、起きる気配はない。

「総悟。起きろ」
赤信号になったのを確認して、助手席で寝ているヤツに運転席から身を乗り出してキスをする。
「あ…あふっ。んあ」
「何寝てんだよ。仕事中だろーが」
そう言い、運転席へ体を戻し運転を再開させる。
助手席では、沖田が口を押さえて運転席を睨みつけている。
「ちょ…。何いきなり舌入れてきてるんで…。噛み切られたいんですかィっつーか外から丸見え…」
「口を半開きにして寝てるほうが悪いんだろーが」
そう言われ、はあ…と沖田は溜め息をつき外を眺めた。
だが、直ぐ睡魔が押し寄せてきて、ゆっくり目を閉じる。
それに気づき、土方は声をかける。
「オイ。何また寝ようとしてるんだ?」
声をかけられ、うんざりした表情で沖田は文句を言う。
「土方さん。俺、屯所に戻ったの今日の3時回ってたんですよ?それから飯だの報告だので寝たのは5時過ぎ。ちょいと寝かせてくれても良いんじゃないんですかねィ?」
「俺も寝たのはそれぐらいだ」
「土方さんは屯所に居たでしょ。こっちは現場行ってたんですよ」
「知ってる。俺だって別に屯所で休んでた訳じゃねェ。まあ、体力的にしんどいのはオマエの方だって分かってるよ」
「だったら寝かせて下せィ」
そう言って沖田は助手席で丸くなった。
「俺との仕事中にそれは許されねェな。気を使って俺が運転してるだけでもありがたいと思え」
ホラ起きろと、左手で沖田の右足を数回叩く。
とにかく寝たくてしょうがない沖田は、さらに深い溜め息をついた。
「バシバシ叩くんじゃねーや。土方さんが起きてるんだから少しくらい良いじゃないですかィ。何かあったら起こしてくださいよ」
「だからって寝るんじゃねーよ。寝たら襲うぞ?」
そう言われ、沖田は起き上がった。
「どんな脅しですかィ…それ」
「よし、起きたな」
満足げに言う土方に沖田は腹立たしさを感じた。
寝る事がそんなに悪い事なのか?確かに仕事をサボるんだから良い事ではないが…少しくらい多めにみろよと内心思った。
「眠ィ…」
頑張ってはみるものの、どうしても睡魔が襲ってくる。気怠さもハンパない。
「抱くぞ?良いのか?」
「だから、その脅しはなんなんでィ…。それだと、アンタだってサボる事になるだろーが」
土方は少し考えて「それもアリだな」とパトカーの進路を変えた。
慌てて沖田はそれを止めようとする。
「ちょっと待った。どこ行く気でィ?その脅しにはのりませんよ?」
その言葉を聞いているのか聞いていないのか、土方はパトカーをそのまま進めて空き地に止めた。
沖田は辺りを見回して、また溜め息をつき、そして言う。
「寝ないですからね。だから仕事に戻ってくだせィ」
「そんなに嫌か」
「は?ただの脅しじゃないんですかィ?本気で昼間っからその気で??」
問われた土方は運転席から身を乗り出して助手席側の窓に手をついた。
「最近忙しかっただろ。ご無沙汰だよな?」
聞かれた沖田は、本気なんだと確信した。だが、そんな気分ではない。睡魔はこのやり取りのせいで少し引いた気はするが、気怠さはそのままでやはり休んでいたい。
「まあ…。今、休ませてくれれば夜にでも」
今はとにかく言い逃れに聞こえても良いから「夜に」と提案して、この状況を回避したい。
だが、手を引こうとせず土方は言う。
「夜はもちろんそのつもりだ」
「どんだけだよ…。それだと全然寝れやしねーじゃねェか」
「夕方寝れるだろ」
「今日中に昨日の報告纏めろって言ったのは誰でィ。夕方はそれで丸つぶれだろーが」
何故か寝たいだけなのにまったく寝れる状況を見いだせず、イライラがどんどん募ってゆく…。
どうにかして休みたい。何かいい訳でも何でもいいからと沖田は思案を巡らせる。
その間土方は黙っていたが、不意に口を開いた。
「久しいよな。こうやって二人きりになるのは」
聞かれた沖田は、考えるのを中止して土方に向き直った。
「そうでしたっけ?」
「ああ」
そう言い、沖田の首筋に口づけをする。
土方の前髪が肌に触れたのと唇の感触で、体が変に反応する。
「や…ぱり、夜で。今は休ませて下せ…」
「結局サボりだな。なら良いだろ?終わった後でゆっくり寝りゃいい」
何度目かの溜め息とともに、沖田は呆れた表情で言う。
「どんだけしたいんだよ…。吉原行ってきたらどうでィ」
「吉原にオマエいんのか?」
「いねーけど、別に欲求不満解消なら誰でも良いだろ」
沖田が言い終わるや否や、急に土方は半分だけ身を乗り出していた体を無理矢理助手席に移してきた。
そして沖田の上にのる格好になる。
「ちょっ。狭い…つか重いっ!降りて下せィ」
下になった沖田は必死で土方を運転席に戻そうと体全体を使って自分から離そうとした。
離そうとしたが、土方の体はまったく動かない。
それどころか背もたれを倒され、完全に土方の下になる。
「ぐ…。頭打った…首痛ェ…」
首をさすりつつ顔を上げると至近距離に土方の顔があった。
「…どけろと言ってもどけてくれないんでしょうね」
諦め半分で沖田は言った。
土方はそんな沖田を見て言う。
「誰でもいいって、俺をそういう目で見てたのか。オマエは」
聞かれた沖田は、あーマズイ事言ったのかなと今更ながら気づく。
「いや、すみません。そんなつもりじゃなかったんですけど…。えーと、そこまで想われてるって知らなかったんで…」
土方は何も言わず沖田を見ている。
その表情は怒っているようにも見えるが、困っているようにも見えた。
無言の土方に沖田はさらに言葉を続ける。
「だって、こういう関係になってるけど、特に好きとか言ってないし…普段はあんな感じだし…。体だけなのかなー?なんて、思う時だってあるんですよ…て、何か変ですかねィ?」
「悪ィ。何も変じゃねェよ。俺が悪い…」
言いながら、沖田の頬を優しく右手で触れる。左手は沖田に負担をかけないため、自分の体を支えている。
「別に悪くはないんじゃ…」
沖田はそう言ったが、誰でもいいと思わせていた自分が許せず腹立たしい。
ただ一言伝えておけば、沖田がそう思う事もなかっただろう。やっぱり悪いのは自分だと土方は思った。
「すまない」
「謝らなくても…かっこわるいですぜ。土方さん」
「ああ、かっこわるいな」
「かっこいいですよ?」
「オマエが言ったんだろ。かっこわるいって」
「まあ、それは置いといて。土方さん、俺は土方さんの事好きですよ。愛してます」
「おま…先に言うなよ。今の流れだと逆だろ…」
沖田はニヤニヤしながら土方の方を見ている。
至近距離でそんな顔をされると、なんか腹が立つ。腹を立てている場合でもないが…。
「オマエ、その顔ヤメロ…」
「ヒドイなぁ、土方さん。この顔は生まれつきでさァ。んじゃ、これで良いです?」
と言い、土方の首に手を回して自分の耳元に相手の顔をくっつける。
沖田の顔は見えなくなり、ちょうど耳が近くなる。囁くのには都合のいい位置になった。

なんだかんだで結局、沖田のペースになっている。
でもそれも悪くはないかと土方は思う。

そして耳元で囁く…。
「愛してる」


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おわり。

「愛してる」を使うと、こっぱずかしい最後になりますね〜。
このあと車内でどーしたかは、貴方の妄想の中で…。

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