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銀 魂:沖田誕生日三夜目 3
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銀魂

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2012.2013年の沖 田誕生日の続編です。
『引くも引かぬもアンタ次第』←サブタイトル。





―翌朝―


いつも通り支度をすませ、煙草をくわえて部屋を出る。
途中、隣の部屋を襖越しに観察してみるが、既に出払った後のようで気配はない。
「めずらしいな」
隣の襖に小言を言わなくていい日がくるなんて…。
くわえた煙草に火をつけ、土方は隊士の集まる広場へ向かう。
ズボンのポケットに手を突っ込みながら周辺を見回すが、ここにも沖田の姿はない。
朝早くから人目の付かない場所でサボリか?
しょうがない奴だなと脳内で愚痴り、通りかかった山崎を捕まえる。
「山崎、総悟は?」
「あ、副長、おはようございます。沖田隊長なら、医務室で治療受けてますよ」
「治療?」
確かに頬を怪我してはいたが…。
「かすり傷より少し深いぐらいだろ」
「副長、隊長に厳しいですね。あの傷をかすり傷だなんて」
「頬の傷だろ?」
そんなに深い傷だったのかと、昨夜見た傷を思い返してみる。
出血が多かった気もするが、そこまでの傷たった印象はない。
「いいえ、横腹ですよ」
「ハラ?」
「見てないんですか?あの沖田隊長がって思いますけど、けっこう深いみたいですよ。昨夜帰って来てそのままほっぽいてたみたいですけど、流石に辛かったんじゃないですかね」
「それで、今何処にいる?」
「だから、医務室ですってば」
呆れ口調で言う山崎を解放し、土方は急いで医務室に向かう。

何処もかしこも立て付けの悪い扉を開け、室内を確認するより先に名前を叫ぶ。
「総悟!!」
「トシ、静かにしろ。治療中だぞ」
「近藤さん」
沖田を見つける前に近藤に声をかけられる。
近藤さんもココに居るという事は、やはり総悟の怪我は深刻なのか…。
「総悟の怪我は?」
「半日放っといたみたいだからなあ…。すぐ手当てしてりゃ良かったんだが、まあ怪我より出血が酷いみたいでな。貧血だ」
「命に別状はないんだな…」
「大丈夫だ」
「ったく」
安堵の息が漏れる。
とは言え、帰宅後すぐ会話を交わしているんだ。
既に脇腹から血をだらだら垂らしていた状態だったわけで…、それに気づけなかった自分に腹が立つ。
「トシ、部屋まで連れてってやってくれないか。隣の部屋だろ」
「ああ」
「そのまま安静にな」
「仕事を休めて万々歳だろ」
「そう言ってやるな。昨日は頑張ったんだからな」
「〆が甘いけどな」
なぜ言ってくれなかったのかと、つい舌打ちをしてしまう。
「生きてて何よりだろ」
近藤さんの言う言葉に間違いはない。
布団の中で冷たくなってたなんて、冗談でも笑えない。






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4へ続 く。

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