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銀 魂:お祭り。
絵と文とか

銀魂

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お祭りのお話です。まだナニの関係のない所からです。なのにラブラブで頑張ろうとして頑張れなかった感じです。
なんか長くなっちゃった気がします。
めずらしく?最初から最後まで二人で行動してます。



※でっちあげの江戸祭り。(夏祭りぐらいやってるよね?)


本日、江戸は夏の最大イベントとなる祭りの最終日。
天気にも恵まれ、一番のにぎわいになるだろう。

祭りと言えばテロ勃発の可能性が否めない。
しかし、将軍様が来るような記念すべき祭典とかではない。
そのため警備に赴くであろう真撰組は…。

屯所のとある一室。
襖を開け、部屋の主に声をかける人物が一人。
「総悟。祭りに行くぞ」
呼ばれて振り返った沖田は、普段着の袴に刀を差して立ち上がった。
「見回りですかィ?いつでも行けますぜ」
その姿を見て、声をかけた土方は不服そうに言う。
「祭りにその格好か。何か他に着るもの無いのか?」
「あー、警備か。制服に着替えた方がいいですかね」
沖田はそう言い、壁にかけてあった制服に手を伸ばした。
「そうじゃねェ、祭りだって言ってるだろ。もっと、らしい格好したらどうだって言ってんだ」
「仕事じゃないんですかィ?」
「御上が来るような祭りじゃないから、そんなピリピリする必要もねェよ」
「そうですかィ」と興味無さげに言い、タンスを開け着れそうな物を探す。
「なんもねェですよ」
そう言われ、土方も一緒にタンスを覗く。
「こっちの引き出しは?」
「そっちはダメです。下着ですよ。見たいんですかィ?」
「バッ!男の下着なんて見たい訳ねーだろ!!」
開けかけた引き出しを慌てて閉める。
そして勝手に開けるのをやめ、沖田の開けている引き出しを一緒に見る事にした。
「それなんか良いんじゃねーか?」
「コレですかィ?」
沖田はタンスから藍色の甚平を取り出した。
「まだ、こっちのが祭りっぽいだろ」
「コレ、かなり前のですぜ。小さいんじゃないかと…」
そう言い甚平を広げてみる。
沖田と広げた甚平を見比べて土方は、
「そうか?そんなサイズ変わんないように見えるけどな。成長してないんじゃねーか?」と口を滑らせ、沖田の蹴りを腹に受けた。
「ぐは…。け、蹴る事ないだろ。冗談だろ冗談。着てみろよ」
「わーったよ」
成長してないと言われたのがムカつき、不機嫌に返事をして着替える。
「…。やっぱり裾とかちょっと短くないですかね?」
「そうか?こんなモンだろ?」
「そうですかねィ?…まあ、いいか。んじゃ、行きますか。結構時間たっちゃってますぜ」
そう言いながら沖田は今度こそ刀を持って部屋を出ようとした。が、土方に呼び止められた。
「総悟。その格好に刀は似合わないから置いていけ」
言われた沖田は、訳が分からないという顔で土方を見た。
「は?見回りでしょ?丸腰で行けって言うんですかィ?」
土方は少し考えて「それもそうだな。よし、俺がお前の刀も持って歩く」と、沖田の刀に手を伸ばした。
さらに沖田は理解出来ないという表情をするが、それで了承した。
「まあ、それでも良いですけど」
「何かあったら、ちゃんと渡すから安心しろ」
あたりめーだと呟き、沖田は刀を二本携えている土方を眺めた。
「3本の方が良いんじゃないですかィ?もっと強く見えますぜ」
「俺は海賊狩りじゃねェよ」

屯所の出口まで行くと、近藤と山崎が立っていた。
近藤と山崎も今日は私服だ。
「おう、トシと総悟。遅かったな」
「ああ、ちょっと手間取ってな。近藤さんはまだ行かないのか?」と、土方が聞く。
近藤は胸を張って喋りだした。
「もう少し経ったら行くぞ。お妙さんもそろそろ向かう頃だからな。今日は祭りの最終日で凄い混んでいると言う噂だ。そんな中で、お妙さんに何かあったら大変だからな。しっかり後ろから護衛しなければならん!!」
「護衛ね…。ストーカーも程々にしてくれよ。近藤さん」
土方が言い、沖田も山崎も呆れた表情で近藤を見ている。
「ストーカーじゃない!!護衛だ!!立派な任務だぞ!?」
「分かった分かった。せいぜい気づかれないようにやってくれ。じゃあ、俺たちは先に行ってるわ。行くぞ総悟」
「はぐれるんじゃないぞ!」
近藤は門を出る二人に声をかけた。
「言われてますぜ。土方さん」
「オマエだろーが」

そのやりとりを見ていた山崎は近藤に話しかける。
「大丈夫なんですかね、あの二人で行かせて…」
「ん?大丈夫だろ?ああ見えて息は合ってるからな。長い付き合いなんだし問題ないだろう」
山崎は溜め息まじりに言った。
「そうじゃなくてですね。沖田隊長、刀持ってませんでしたよ。仕事する気まったく無いんじゃないんですか…」
「トシが二本持ってたぞ」と、近藤は答える。
「なんで副長が二本で、沖田隊長が手ぶらなんですか…。おかしいでしょ」
「大丈夫だって。俺はトシを信じている」
「はあ、そうですか。じゃあ、俺もそろそろ行ってきますね」
呆れた顔をして、山崎は一人で祭り会場に向かった。
「皆行ったか。よし、俺も志村家に向かうとするか!」
皆が出払ったのを確認して、近藤も屯所を後にした。


祭り会場に着いた土方と沖田は、祭りの混雑ぶりに圧倒された。
「うわ、どっからこんなに人が沸いて出てくるんでィ。くそ暑いのに人ごみに入りたくねーや」
沖田は文句を言い、人であふれ返った露店の並ぶ道に入るのを躊躇っている。
土方の方も予想以上の混雑に怯んだが、ここに居ては見回りも何もできやしないと覚悟を決める。
「しょうがねえ、行くぞ総悟。迷子になるなよ」
「土方さんがな」
「……」
これは絶対にはぐれる。土方はそう確信した。
「総悟。手を繋ぐか」
「はあ?」と、沖田からは予想通りの反応が返ってきた。
「手を繋ぐとか、どこのお子様でィ。迷ったりはぐれたりしたら、携帯ならすなり屯所に戻ってりゃ良いでしょ」
何考えてんだ?という目で沖田は見てくる。
だが、土方は沖田の意見を受け入れる気はさらさらない。
「お前は一人になったらサボるだろーが。それに丸腰だろ。何か事件でも起きたらどうするんだ?」
「土方さん。丸腰なのは俺のせいじゃねェですよ」
「いいから、行くぞ」
土方はそう言い、強引に沖田の手を取って人ごみに入って行った。

沖田は手を引かれながらも、取りあえず文句を言わず隣を歩いている。
そんな沖田を見ながら土方は思う。
そう言えば今日は祭りっぽくないと勘平を着てもらったり、刀が合わないと持たせなかったりと…なんかアレだな。
そして、なんだかんで総悟は言う事を聞いてくれている。
自分勝手な振る舞いだったと、土方はちょっと申し訳なく感じてきた…。
「何か食べるか?折角の祭りだし、おごるぞ」
「そうですねィ…」
沖田はキョロキョロして、一番自分たちに近い位置にある露店を指差した。
「アメリカンドッグで」

アメリカンドッグを一本買い、沖田に渡す。
「ありがとうございやす」
「いや、何か俺のワガママに付き合わせたからな」
沖田はアメリカンドッグを頬張りながら土方を見上げた。
「ワガママって?何か言ってましたっけ。コレ、なかなかウマいですぜ」
「そうか…、なら良い。気を使わせてたらワリィと思って」
「気を使うとか使わないとか、そんな薄っぺらな仲ですかィ?俺に気ィ使うことなんざないですぜ」
そう言われ、ホッとして何となく礼の言葉が出た。
「ありがとな」


特に事件も起きず、見回りは順調だ。仕事量としてはいつもの街中と大して変わらない気がする。…この人ごみさえ無ければ。
人ごみで歩き煙草も出来ない土方は禁断症状を抑えるため、警備に集中する。
そして、ふと隣の沖田に目をやるとアメリカンドッグを片手に、しかめっ面をしていた。
「まだ食べ終わってなかったのかよ。つか、なんて顔してんだ。不味いのか?」
声をかけられ、しかめっ面のまま沖田は口を開いた。
「さっき、美味しいって言ったでしょ」
「じゃあ何なんだよ」
ニコチンが補給出来ずにいるせいか、沖田の言い方にイラっとする。
「笑わないで聞いてくださいよ」
「何を笑うんだよ。早く言えよ」
「痴漢です」
「痴漢?何処だ?」
痴漢と聞き、周りの女性を注意深く観察する。
「ちげェよ。どこ笑う気だよ?痴漢されてる女の。俺ですよ」
「え?お前、痴漢してんの?警察がしちゃ駄目だろ」
「アンタどんだけバカなんだよ。俺、両手塞がってるのに出来る訳ねーだろ!」
土方はハッとした顔をしている。
「もしかして、総悟が痴漢にあってるのか」
「もしかもクソもねェよ。だから、笑うなって言ってるんでィ」
「まだ、居るのか?」
土方は後ろを見ようとしたが、人ごみに邪魔されてなかなか確認が出来ない。
「居ますね。野郎だと気づきゃ居なくなると思ってるんですけどねィ」
「いや…。男だって分かってるんじゃないのか?祭りで女に痴漢するなら華やかな浴衣姿狙うだろ…」
「んじゃ、変態ですか」
「変態…だな」
土方は、何かちょっと心が傷つくのを感じつつ「変態」と沖田の言葉を反復した。
沖田のしかめっ面はさらに度を増した。
「大人しくしてりゃ良い気になりやがって…。つーか土方さん、ぼーとしてねェで手離してくだせィ。どんだけ変態を放置する気ですかィ」
「え?ああ、そうか。俺が捕まえるから、総悟はそのままでいろ」
慌てて傷ついた心をしまい込み、沖田の後ろに手を回す。
後ろに回した手を背中から下へ移動させると、何かにぶつかった。
多分、痴漢をしていたヤツの手だろう。捕まえようと素早くその腕を取ろうとしたが、後ろが見えている訳ではないので直ぐ人ごみに引っ込められてしまった。
「く…。すまん逃がした…」
「まあ、この人ごみじゃしょうがないですねィ」

少し歩き、人ごみがようやく引いてきた。
土方は沖田の様子を伺っていたが、痴漢の事を気にする様子はない。
その沖田が歩きながら言う。
「土方さん。いつまで人のケツに手置いてるんですかィ?」
「ああ、また痴漢が来ないようにと思ってな」
「ずっと触られてたら、どっちが痴漢だかわかりゃしねーじゃねェですか」
そう言われ、土方は「変態」という言葉が頭をよぎり、自分は痴漢とは違うと反論した。
「どっちが痴漢って…俺は痴漢じゃねーだろ!?これは痴漢対策だ。痴漢する奴は俺の手があれば痴漢してこれねーだろ?俺をあんな痴漢と一緒にするな!」
「痴漢痴漢言い過ぎ…。だけど、こんなとこ万事屋の旦那にでも見られたら、何言われるか分かったもんじゃないですぜ」
「来てねえだろ。こんなダリィ所なんかに」
「どうでしょうねィ。あそこにゃ、チャイナっていうガキが居ますぜ。あと、志村姉弟と一緒に来てる可能性もありますね」
「こんな人だらけの所で鉢合わせなんざありえねーよ」
「だといいですけどねィ」と沖田は言い、続けて「これからどうしやす?」と聞いてきた。
「そうだな。このまま、まっすぐ神社よって帰るか」
土方は露店の通りを抜けて、さらに奥に見える鳥居を見て言った。
「神社ですかィ?何か願掛けでもするんで」
「折角ここまで来たんだ。神様に願い事して帰るのも良いだろう」

神社でお参りをする人の姿は、露店通りよりは少ないがそれなりにいた。
二人は賽銭を入れ、鈴を鳴らし形通りの二拝二拍手一拝をする。
沖田は早々にお参りを済ませ、まだ最後の一拝をせず願い事をしているだろう土方を見ていた。
やっと最後の一拝をして軽く会釈をする。視線を感じたのか土方は沖田の方を向いた。
「早いな総悟。何願い事したんだ?」
聞かれた沖田は、ちょっとにやついて答えた。
「秘密ですぜ」
「どうせ、俺を副長の座から蹴落とすとか、そんな事だろ」
「まさか。神頼みなんかしなくても、それは俺の実力で引きづり落ろしてみせますぜ」
「出来るもんならやってみろ」

参拝を済ませた二人は、神社から横道にそれて暗がりの中を歩いて行く。露店はもうかなり遠くだ。
土方の後ろを歩いていた沖田は不信に思い声をかけた。
「帰るんじゃないんですかィ?」
「人ごみに疲れたから休憩だ」
土方は袂から煙草を取り出し一服し始めた。
やる事の無い沖田は、夜空を見上げたり煙草の火を眺めたりしている。
辺りを見渡しても人っ子一人歩いていない。なんでこんな奥まで来て一服なんだと沖田は思った。
「土方さん、俺暇です」
「ああ、そうか。煙草吸うか?」
「土方さんより長生きしたいんで遠慮しときます」
土方は特に何も言わず、煙草を吹かし続けた。
暇な沖田は黙ってるのもつまらなく、土方に話しかける。
「神社で何願い事したんで?」
「聞きたいか?」
「教えてくれるんですかィ?」
「教えてやるから、こっち来いよ」
土方は煙草の火を消し、沖田を手招きした。
手招きされ、大人しく土方の目の前に立つ。
「変態は嫌いか?」
そう聞かれ沖田は一瞬眉間にシワを寄せる。だがすぐに普段の表情に戻って言う。
「さっきの痴漢野郎は嫌ですねィ。まあ、どんな変態かにもよりますよ」
「例えば?好きな変態とかあるか?」
沖田はもう一度眉間にシワを寄せた。
「土方さん…。好きなって何なんですか。俺を変態好きにしたいんですかィ?」
「いや、そうじゃなくて…」
土方は言葉を選び間違えたと悔やんだ。方向修正をしようと思うが、次に言うべき言葉が見つからない。
思案をめぐらし黙っていると、沖田の方から口を開いた。
「変態の話はおいといて、何となく分かりやしたよ。土方さんの言いたい事は」
土方は頭を抱えて下を向いていたが、え?と沖田の方を見た。そんな土方を無視して沖田は言葉を続ける。
「自分は好きか?て、聞きたいんでしょ?。土方さんを変態だとは思っちゃいませんけど」
思わず、沖田の肩を両手で掴み嘘ではないかと疑い、「本当か?」と聞く。
沖田は肩をいきなりつかまれて小さく体が跳ねたが、すぐ呆れた表情で言葉を返した。
「変態って言われたいんですかィ…。じゃあ土方さんは、俺が何願い事したか聞きたいですかィ?」
「え、秘密なんじゃ?」
「別に秘密じゃないです。あの場じゃ言いづらかったんでね」
そう言って沖田は言葉を続ける。
「土方さんと今以上に仲良くなれたら良いなって願ったんですよ。でも、必要なかったみたいですね。自惚れじゃなきゃ、俺は今土方さんに告られてますよね?」
沖田が言い終わるや否や、土方は沖田を抱きしめた。
「ちょ…。手が早いですぜ…土方さん」
「別に良いだろ。相思相愛だって事が分かったんだから。俺の願い事はまさにコレだよ」
今度は軽く口づけをする。
土方の腕の中で沖田は呟いた。
「こんな暗がりに来たのって、まさかこのためですかィ?」
「さあな」
右手で強く抱きしめ、左手は甚平のズボンをたくし上げ太股に触れた。
触れられ、沖田の体が反応する。
「ちょ、ちょっと待って!それ以上は無理…。もう帰りやしょう?」
沖田は何されるか想像して、太股周辺をまさぐる土方の腕を焦って掴んだ。
腕を掴まれた土方は無駄に余裕のある表情を見せて言う。
「大丈夫だ。上手くやるから」
「上手くってなんだよ?!とりあえず帰ろうってッ!!」
簡単に甚平は脱がされ、それは地面に落ちる。
あらわになった肌の感触を手と口を使って確かめる。滑らかで触り心地のいい肌に思わず興奮してしまう。
「だ、駄目だって!!もう良いでしょ!?後は、今度にしやしょう!?」
「もう良いだと?」
そう言って顔を上げた土方の表情を見て、沖田は抵抗出来なくなってしまった。
あの顔は欲情しきっている表情だ。そんな人の顔は今まで見た記憶は無いが、自分に向けられているそれは他に考えられなかった。
「甚平着せたのも、このためですかィ…」
「んなわけないだろ。たまたまだ。でも良いなコレ、脱がしやすい」
土方はそう言って、今度は甚平のズボンに手をかけた。

「やっぱり変態ですぜ。土方さんは…」
「俺に抱かれてるお前も変態だろ」
「嫌がってるだろーがッ!」
「最初だけだろ」
口づけで、まだ何か言おうとする沖田の口を塞ぐ。
その口づけは深く、そして長く続いた。





ーーーーーー
おしまい。

仕事してなさすぎです。後半。とっとと帰ろうとしてましたしね。良いのでしょうか。

そして、お祭り会場に集結して何かありそうに思わせといて何も無しです。伏せんでも何でもありません。
見られてたんじゃね?的な想像はお任せしますが…。
いえ…。書こうとも思ったんですけど、結局は後日「ホモ方さんだ」みたいな言われ方するだけだろうと思ったので…。
もっと良い後日談が思い浮かべば良いんですけどね…。想像力乏しくてスミマセン。
監察の山崎あたりは最後の方も見てるかもね?

すべては貴方の妄想の中で…(逃げの一手です)


#UP