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銀 魂:銭湯。
絵と文とか

銀魂

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銭湯1。
ナニの関係じゃないトコロから。じゃなくて、最後までナニじゃないです。アレでもないです。
優しい土方さんを…書けてたら良いなって感じです。
最初沖田、気づくと土方目線な感じに…。(駄文とはそういうモノですよ…ね…)


夜も更け、仕事を終えた隊士達は疲れた体を癒そうと、入れ替わり立ち代わり風呂場へ足を運ぶ。
風呂場の混み具合を確認して、時間を置いてから入ろうと部屋に戻る者もいる。
いっその事、風呂場の利用時間をシフト制にしてみてはどうかと思う。
そんなメンドーな管理は誰がするのか?それはフォロ方さんが適任だろう。
などと勝手な事を考えつつ、沖田は風呂場の混み具合を確認するため引き戸を開けようとした。
だが中から聞こえてきた会話で開けるのをやめる。
そして少しの間、中の会話に集中した。

「総悟。お前なにしてんだ?」
不意に後ろから声をかけられ振り向くと、そこには土方が立っていた。
風呂に入る体制万端で、腰にタオルを一枚巻いただけの姿だ。
「土方さんも風呂ですかィ。今、混んでますよ」
「ん?そうか。まあ、脱いじまったし我慢して入るか」
入ろうと引き戸を開けようとした土方に声をかける。
「どうせだったら、銭湯行きません?」
「あ?銭湯?つーか、何がどうせだったらなんだ…俺もう脱いでんだけど」
何言ってるんだという目で土方は沖田を見ている。
とりあえず、引き戸は開けられていない。そして土方は中の会話に気づいていない。
それを確認して沖田は言う。
「混んでるじゃないですか。たまにはゆっくり風呂に入りたくないですかィ?一人で行こうかなとも思ったんですけど…。あ、いいや。やっぱ一人で行こうか な」
「なんなんだ、オマエは…」
土方は訳が分からないという顔で沖田を見ている。
沖田自身もよく分からないという顔をしている。
「大丈夫か?」
訳が分からないなりに、土方は心配して声をかけた。
「頭が?大丈夫です。ちょいと銭湯行ってきやす」
「ちょっと待ってろ。今、服着るから」
「一緒に行ってくれるんで?じゃあ、外で待ってます」
そう言い、沖田は風呂場を後にした。
なんだか良く分からないまま、土方は服に着替えて風呂場を出た。

銭湯までは仕事ではないため徒歩で行く。
夜も更け、目的地までの道のりは人通りも少ない。
「銭湯って何時くらいまでやってるんだ?」
黙って歩いているのも何だなと思い、土方は沖田に声をかけた。
「確か、あそこは夜12時くらいまでやってたと思います」
「へェ、結構遅くまでやってんだな」
「…」
だが会話は続かず、無言の重い空気が流れる。
まだ銭湯までは距離がある。
土方はもう一度声をかけてみる。
「なんで急に銭湯行こうと思ったんだ?」
「だから、混んでたからでィ」
「それだけか?いつもなら部屋戻って、空いた頃にまた風呂場行くよな」
「今日は銭湯な気分だったんで」
「一度風呂場行ったのにか?」
「気が変わっただけ」
「…」
それ以上、聞くのもしつこいと言われそうで土方の方から会話を止める。
そして沖田の様子を伺ってみたが、あまり機嫌が良さそうではない事は会話や表情から分かった。

「大人二人」
銭湯に着き、土方は番頭に金を払う。
「土方さん。俺が誘ったんで俺が払いますよ」
「大した額じゃねーだろ。ホラ、行くぞ」
衣服を脱ぎ、風呂道具を持って浴場に行く。
他に客は誰もおらず、貸し切り状態だ。
「屯所と違ってゆっくりできそうだな」
「…」
土方は話しかけたが、沖田からは返事が返ってこない。
相づちするなり何か反応みせてくれても良いんじゃ?と思ったが、とりあえず掛かり湯をして浴槽に入った。
沖田はお子様風呂ではなく、土方と同じ方に入っている。
「ちびっ子風呂じゃないのか」
「駄目ですかィ?」
「いや…」
「熱いですねィ。銭湯は」
「俺ら以外いないしな。熱かったらそっちに移った方がいいんじゃないのか?」
「大丈夫でさァ」
二人っきりで湯船から浴場を眺めると、すごく広く感じる。
人目も気にせず、ゆったり風呂につかるのは久しぶりだなと思う。
まあ、一人ではないので人目がないわけではないのだが…。
「土方さん」
ぼんやり天井を眺めていると、声をかけられ沖田の方を向く。
やはり熱いのか、沖田の肌は赤く火照っている。
「大丈夫か?のぼせる前に出ろよ」
「まだ平気です」
「そうか。で、なんだ?」
「やっぱ、いいです」
そう言って、沖田は浴槽を出てお子様風呂に移った。
「…。やっぱり、無理してたんじゃねーか」
「そっち熱すぎ」
「お前がお子様なだけだろ」
お子様と言って怒るかと思い、身構えてみたが別に怒る様子もなく文句ではない言葉が返ってくる。
返ってきた言葉は予想外な一言だった。
「やっぱ俺、お子様ですよねィ?」
「は?あ、いや。え?違うだろ?こんなお子様いないだろ…」
何処までをお子様と言うか線引きは分からないが、取りあえず違うと言って沖田の機嫌を伺う。
「怒ってませんよ?俺。別にお子様でいいんで」
「誰かに、お子様だって言われたのか?あ、いや…俺にじゃなくてな」
「土方さんにしか言われてません」
「す、すまん…」
素直に謝るしかなかった。
だが、今イチ状況がつかめない。
子供に戻りたいとかそんな事なのか?だとしても、それはどういう事だ?なんとか理解しようと土方は考える。
「今日。風呂入ろうとして聞いちゃったんですよ」
「ん、何を?」
「色々と…噂?話って言うんですかねィ」
「誰の?」
「俺の」
「お子様だって?」
「だからそれは土方さんにしか言われてません」
「すまん」
悪気は無いが、また同じ事を言って謝ってしまう。
何なんだ。この堂々巡りは…。

「ま、この話は無かった事に」
沖田はそう言って、湯船を出て鏡の前に座り体を洗い始める。
土方も隣に座り洗う。

無言のまま一通り洗い終わる。
そして、沖田はもう少し湯船につかろうとお子様風呂に向かおうとした。
だが、土方に腕を掴まれ阻止される。
「危ねェじゃねーか。コケたらどうするんでィ」
「コケたら俺が支えてやるよ。それより、さっきの話なんだが」
「…。もういいって言ってるでしょ」
「気になるだろーが。ちゃんと話せ」
そう言って、立ち上がってた沖田を目の前に座り直させる。
裸同士で向かい合わせで座ってるのは、かなり異様な光景だ。
「土方さん。せめて風呂に入ってからか、浴場を出てからにしませんかね?人が入ってきたらかなりアホな状況ですよコレ」
確かにそうだなと言い、土方は腰をあげた。

湯船に入り直し、土方は沖田の方を見て言う。
沖田はお子様風呂ではなく、土方と同じ浴槽に入っている。
「で、何がどーしたいんだ。お前は」
「別に。銭湯に来たかっただけ」
話が戻っている。聞き方が悪かったのか?もしくは、よほど話したくないのか…。
聞かないでおくのも優しさか?と思うが、一緒に銭湯に行こうと言ってきたのだ。聞いて欲しいのかもしれない…とも思う。
「言えよ。何言われたんだよ」
「嫌です。言えないです」
「じゃあ、どうして俺を銭湯に誘った?聞いて欲しいからじゃないのか?」
「違います。違うけど…独りでもよかったんだけど。すいやせん。今は黙っててくだせィ」
「…」
嫌だと言うのを無理矢理聞くのも逆効果だと思い、無言で沖田を見つめるしかなかった。
だが、このままにしておくのもスッキリしない。
少しでも沖田の気持ちを汲んでやれないかと考える。
「分かった。訊かないどく。それで良いんだな」
「ヘィ。すいやせん。ワガママ言って」
「いや、これで気持ちが晴れるんだったら構わねェよ」
「晴れるかどうかは分かりゃしませんが。土方さんだけは信じてますんで」
「あ?何を?」
「やっぱ、一般風呂は熱いですねィ。俺、先に上がりやす」
「…」
土方は浴場を出る沖田の背中を無言で見つめていた。
一体、自分の何を信じてるというのだろうか…。土方は浴場の出口をじっと見つめて考え込んだ。
その出口の向こうでは沖田の声が聞こえる。
「ばーさん。キンッと冷えたフルーツ牛乳一本たのまァ」

「あ、代金は後から上がってくるヤツに請求してくだせィ」
聞こえてきた声で、いつもの調子に戻ってる事が分かった。
なにがあったのかは分からないままだが、これで良かったんだろう。
今はこのままで、機会があればまた訊いてみれば良い。
大事なのは訊く事ではないのだから。

「オイ。何勝手におごらせてんだよ」
言いながら土方は浴場から脱衣所に入る。
「安いんだから、ケチケチすんじゃねーや」
「だったら自分で払えよ」
「次来た時は俺がおごりますぜ。土方さんに」
そう言って、沖田は腰に手を当てフルーツ牛乳を一気に飲み干した。

「…じゃあ、明日おごれ」





ーーーーーーーーー
おしまい。

公共の場を汚しちゃいけませんから。
じゃなくて、うわさ話の内容は…。
この状況で土方さんがムラムラしてしまうと、沖田に軽蔑される事になるでしょう…。
そういう事で?(どういう事?)健全な?感じです。
たまには寸止めじゃなくても…な、感じです。
でも続きます。
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