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銀 魂:山 積みの仕事と。
絵と文とか

銀魂

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仕事まみれの土方さんと特に仕事がない沖田の話。
すでにアレソレな関係の二人です。



夕方過ぎの屯所。
食事を終えた隊士達は各々自由な時間を過ごしている。

広間でテレビを見ていた山崎は、CMの合間にふと廊下へ目をやった。
丁度そこには風呂から上がったばかりの沖田が歩いていた。
CMは結構長い。ちょっとした暇つぶしに声をかけてみる。
「沖田さん。もう風呂入って来たんですか。早いですねー」
山崎に声をかけられ、沖田は足を止め広間の方へ入って来た。
「暇なんでね。山崎も風呂入って来たらどうでィ?」
「俺はまだ良いですよー。見たい番組がありますから」
ふーん。と、沖田はテレビを見た。まだCM中だ。
「そういえば、仕事また増えてましたね。副長の」
なかなかCMが終わらないので、山崎は話だした。
「大丈夫なんですかねえ。もうかれこれ何週間自室に籠ってるんでしょ…。デスクワークは俺ちょっと苦手なんで手伝えないですけど」
「俺もそっち系の仕事は出来ねェや。手伝う気もないけどな」
テレビはやっとCMが終わり、番組が再開された。
山崎はテレビに向き直っている。
「そろそろ処理が必要な書類は減ってくると思うんですけどねー。」
「土方のヤローが仕事に埋もれるのは良い気味じゃねェか。よし、暇だし邪魔してくらァ」
沖田はそう言って広間を出て土方の部屋へ向かった。
「え、えええええ?沖田さん邪魔しちゃ駄目ですよー!!副長かなりイラついてますよー?!殺されますよー!」
山崎はテレビを観ながら沖田に向けて叫んだが、それ以上は何もせずテレビに集中した。
自分が何か言って止まるような人じゃない事くらい、山崎は十分承知している。



「土方さーん。邪魔しに来やしたぜ」
襖を開けると、部屋にこもっていたタバコの煙が廊下へと流れてゆく。
机の上の灰皿には吸い殻が山積みになっていた。
「入ってくんな」
「うわ、空気わりィー。土方さんアンタ死にますぜ?こんな所に籠ってたら」
そう言いながら土方のすぐ横に沖田は腰をおろした。
そして、まだ終わっていない仕事の量を眺めている。
「総悟…離れてろ」
「邪魔してないですぜ?まだ」
「まだって何だよっ!…つーか、もう何週間だと思う?」
目線だけ沖田に向けて言った。
「仕事ですかィ?3週間は経ってますかね。手伝えないのが残念でならねェや」
「心にもねェ事言ってんじゃねーよ。それと仕事の事じゃねェ」
仕事の事じゃないなら…多分アレだろう。沖田は何となく分かったが敢えて答えなかった。

少し間が空き沖田が口を開いた。
「少し休んだ方が良いんじゃないんですかィ?」
「そんな暇ねーよ」
「なんか手伝える事無いですかね?」
「ねーな」
「…」
沖田は再度、山積みの書類に目を向けた。
あまり仕事が進んでいるようには思えない。

「土方さん」
「まだ、居たのかよ…。本当、ヤバイから出てけって。もう色々と限界にきてんだよ。そんなトコにいたら何するかわからねーぞ」
「そんなんじゃ仕事にならないんじゃないんですかィ?」
「だから出てけって言ってんだろうが」

「土方さん」
「…なんだよ」
「溜まってんですねィ」
「…」
わざわざ聞くんじゃねェ。内心そう思った。だが、いちいち返答してる余裕もなくなってきている。
コイツが来てから明らかに仕事のペースは落ちている…。

「土方さん」
「…」
返事するのも億劫になってくる。
「仕事全部終わったら、しますかィ?」
「何をだよ」
イライラしながら答える。
「SEXですよ。嫌ですかィ?」
「!!??」
土方の手が止まる。
き、聞き間違えか?
「もう一度、言ってもらえるか」
聞き間違えではないハズだ。だがもう一度、本人の口から聞きたかった。
「嫌ですかィ?」
「いや…そこじゃなくて、もう少し前の」
「もう一度、言ってもらえるか」
「それ、俺のセリフだろ!!しかも、もう少し前のセリフでもねーだろうが!!そうじゃなくて「嫌ですかィ?」の前!!」
「すいやせん。なんて言ったか、もう忘れちまいやした」
わざとだろっ!と思ったが、もう言ってくれそうにない。そういうヤツだ。
土方はガックリと肩を落とした。だが、仕事を終わらせた後の事は確認しておきたかった。
「総悟…仕事全部終わったら良いんだな?」
「男に二言はありやせん」
「絶対だな」
絶対だなと言われ、沖田の顔がちょっと赤くなるのが分かった。
「しつけェなっ!どんだけエロイんだよっ!あんまり言うと無かった事にしやすぜ!」
言いながら沖田は立ち上がり、土方との距離をあけた。恥ずかしい気持ちを隠すためだ。
「おま…!さっき男に二言はねえって言っただろーが!」
「それは土方さん次第です」
少し離れた場所から沖田は言った。
「よし、分かった。オマエは布団敷いて待ってろ。すぐ仕事を終わらせてやるからな」
そう言い終わるや否や、机に向かい猛スピードで仕事をこなし始めた。

言われた通り布団を敷き、布団の上に座った沖田は机周辺に山積みにされた書類を眺めて言った。
「土方さーん。俺寝てますんで、仕事終わったら声かけてくだせェ」
「おう」
「寝込み襲ったら、殺しますからね」
「そこまで堕ちちゃいねーよ。ちゃんと起こすから、安心して寝てろ」
「へーい、おやすみなさい」
「ああ、後でな」

何処にそんな余力があったのか。
目標があるとこうも力が出るものなのか…。
色んな意味で感謝をした。
気持ち良さそうに寝ているコイツに。




どれぐらい経っただろうか…
かすかに外から雀の声が聞こえてくる。
どうやら朝になってしまったらしい。

朝にはなってしまったが、土方は満足そうに終わった仕事を眺めていた。
やっと仕事から解放された。
後は自分の欲望を解放するだけだ。
「総悟!」
勢い良く振り向き、布団に声をかけた。
だが、そこで寝ているはずの沖田から返事は返ってこなかった。
「いねえ…。逃げたのか…」
一気に脱力感に襲われた。
あのドS王子の言葉なんて信じるんじゃなかった…。
仕事が終わったのには感謝するが、その後が続かない…体を動かす気力はもう残ってはいない。
放心状態になっていると、襖が開けられ聞き慣れた声がした。
「土方さんスゲェや。あの大量の仕事を終わらせたんですねィ。無理だと思ってやした」
「総悟!」
「おはようございやす。土方さん」
沖田は既に仕事に行く格好だ。
「オマエ…約束は?」
「何言ってるんですかィ。仕事あるでしょ」
「いや、オマエ今日休みだよな」
土方はカレンダーを見て言った。
「よく知ってますねィ。だけど、土方さんは仕事の日ですよ」
「総悟、オマエも良く知ってるな」
「さっき、確認してきやした。休む気ですかィ?」
「…」
体は疲れきっている。休むのもアリかなと思う。
ずっと時間外で仕事をしてきたんだ。有給ぐらい取っても…。
「んじゃ、俺は外回りしてきますね」
「?。オマエ休みだろ?」
仕事を終わらせた努力が無駄になりそうで、沖田が仕事に行くのを止めようと必死になった。
「土方さんはゆっくり休んでて下さい。俺が代わりに行ってきますよ」
だったら一緒に休んでも…土方はそう言いかけたが、それより先に沖田が言葉を続ける。
「疲れてるでしょ?土方さん。夜までに体力戻しといてくだせェ」
そう言って土方の頬に軽くキスをした。
「!!」
思わず沖田を抱きしめようと手を回したが、素早く避けられ自分を抱きしめる格好になる。
自分からキスをしたのが恥ずかしかったのか、そのまま土方の方を振り返らず沖田は廊下に出た。
そして「いってきや〜す」とだけ言って襖を閉め、姿を消す。

一人になった部屋で、土方はそのまま布団に突っ伏した。
確かに仕事を終えて、直ぐナニをしようという体力はどこにもなかった。
アイツなりに気を回してくれたのか…。
総悟に優しくされた事なんて今まであったか?
ちょっと考え、嬉しく思い顔がにやけてしまう。

だが体は正直だ。
数分後、にやけ面のまま深い眠りへと落ちていくのだった…。






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続かないです;
最初っから土方さんがおねんねして終わりにする予定でした。
優しい沖田君を書こうとしました。
書こうとしましたが…どうですかね。これ、優しいんですかね…。
それよりなにより、なんかいつもこんな土方さんでスミマセン。

この後の展開は、あなたの心の中で…。

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