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銀 魂:二日酔い。
絵と文とか

銀魂

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銀さんが二日酔いです。なんか…沖田に甘える銀さんとか何か変です。
沖田は…優しいかもしれない。そんな感じです。
ちょっぴり書き直しました。んー書き足しました?な、感じです。



「ぐえ…吐きそう。もうダメ。俺だめだ。ココで出ちゃいそう…うっぷ」
何度反省しても酒は辞められない。
辞められないどころか毎回飲み過ぎてしまう。それが大人というモノだ。
そう言い聞かせ、吐くのも辞められない事だと勝手に納得し、ココで吐く事を決めた。

しかし、それはすぐに阻止される事となる。

「そこの天然パーマの人〜。そこで吐いたら逮捕しますぜ〜」
よしっ吐く!と決めた瞬間、聞き慣れた声がして吐くのを堪えた。
そして声がする方へ視線を送った。

やはりアイツだ。真撰組の沖田総悟だ。パトカーから降りて銀時の方へ近づいて来た。
「あ?逮捕だァ?見て分かんないの?善良な市民が苦しんでるんだよ?助けるどころか逮捕ですか。おまわりさん」
うえっぷと込み上げてくるブツを我慢しつつ、そのおまわりさんの方を見て言った。
「善良かどうかはおいといてですね、旦那。そこ、コンビニの出入り口なんですよ。そこで吐かれちゃうと店の人が困っちゃうんです。お客さんも来ませんし。 旦那は立派に営業妨害してますぜ」
そう言われ銀時は目線を自分が手を付いている壁に向けた。銀時と入り口のガラス戸を挟んだ奥の店内には怪訝そうに銀時を見つめる人の姿があった。おそらく 店長だろう。
「ああ、コンビニの入り口だったの。何処で吐くかなんてね、二日酔いの頭で考えてる余裕なんてないんっぷげ。本当にもう勘弁してください」
「旦那。取りあえずパトカーに移りましょ」
沖田はそう言って、銀時の腕を引っ張った。
「ちょっ、待って。優しくお願い、マジ出るからっぷ」

車内に移り、窓を全開にし風通しを良くする。
沖田は一度コンビニに戻って、水を買って来た。
「はい。水とコンビニの袋。吐きそうになったらコレにドウゾ」
袋を受け取って素早く袋の中に顔面を突っ込み、出る物が無くなるまで袋から顔を出さなかった。

出す物は出して少し落ち着き、銀時は水を飲んで大きく深呼吸をする。
まだ、パトカーは停車したままだ。
「沖田くん。アレ、本当に逮捕??」
「ん?吐瀉物置いて来てないんで大丈夫でしょ。そろそろ行きますかィ?旦那の家まで送りますぜ」
ゆっくりパトカーは万事屋に向けて走り出した。

「今日は一人で見回り?」
「めずらしいですかィ?」
「いや、悪いな〜と思ってね。仕事中なのに家まで送ってもらって」
「どーせ暇ですからねィ。それに具合悪い市民を家まで送するのも仕事ですぜ」

スナックお登勢の前でパトカーを止めた。
「着きましたぜ。体は大事にしてくださいよ」
沖田は助手席に乗っている銀時に降りるよう即した。
「アレ?家の中までは送ってくれないの?銀さんのHP減ったままなんだけど」
「結構元気に見えますけどねィ」
「自宅は2階にあるんだよ?階段だよ??途中で吐いて、吐瀉物踏んで滑って階段から落ちたら、旦那死んじゃうよ?銀魂終わっちゃうよ!?」
「安心して下せィ。ココで死んでも100パー終わる事はないですぜ」
銀時は「分かってるよ!そんな事は!!!」と思いながら車を降りた。
「…んじゃ。送ってくれてありがとな…」
ヨロヨロと手すりにつかまり、ゆっくり階段を上がった。
が、2段目くらいで止まる。
パトカーの方は、まだ走り出していない。
…階段から落ちるの待ってるのか?

程なくしてパトカーから沖田が降りて来た。
「旦那。階段2段目から進んでませんよ?」
「怖くて進めません」
「高い所から躊躇なく飛び降りるくせに、何言ってるんでィ」
「二日酔いなめんなよ!二日酔いは歩くたびHP減るし、口から何か産まれそうになるし、まっすぐ歩けねーし、頭は…」
「へいへい、分かりやした。俺の肩に手回してくだせィ。家の中まで送りますよ」
しょうがねえと、沖田は階段の方へやって来て銀時の体を支えた。

ゆっくり階段を上り玄関を開けて中に入る。
家の中はひんやりとしていた。
沖田は銀時を支えたまま玄関で辺りを見回した。
「チャイナとメガネは?」
「しらね。どっか遊びに行ってんじゃね」
「万事屋はフリーダムですねィ」
「それは沖田くんもでしょ」
ソファまで進み沖田は銀時をゆっくり座らせて、
「んじゃ、旦那。俺は戻りますね」と言って銀時から離れようとした。
が、腕を掴まれ玄関へ向かうのを阻止される。
「まだ具合悪いんで、ちょっと介抱してってくれない?」
銀時にそう言われ、沖田はちょっと考えてから答えた。
「俺で良いんで?何か物取ってくるとかしか出来ないと思いますけど」
「いいよ。取りあえず、膝枕で」
銀時は自分の座っているソファの隣をポンポンと叩いてみせた。
「ヤローの膝枕なんざ固いだけじゃないですかィ?それより、クッションとか無いんで?」
「ちょっと固いくらいが良いんだよ」
沖田は取りあえずソファに座ったが、何か納得がいかない。
「旦那…。一人でゆっくり寝てた方が良いんじゃないですかィ?二日酔いの介抱で膝枕なんて聞いた事ないですぜ…」
銀時は答えず、ゆっくり沖田の太股に頭を置く。そして、沖田の顔を下から見上げる状態で口を開いた。
「あのさ沖田くん。こういう事を旦那の口から言わせちゃう?ちょっと一人で居るの寂しい時ってあるでしょ?今まさにソレなんだよ」
「何かあったんですかィ?」
「いや、何も。ただ、沖田くんと一緒にいたかっただけかもしれない」
「寂しいとか旦那らしくないですねィ」
「だから、一緒にいたかっただけかもって言ってるでしょ」
「恥ずかしい事言わすなよ」と銀時は沖田から目線を外した。
「どっちでも良いですがねィ。別に」
沖田も視線が合わないように天井を見上げた。

少しの間、会話が途切れ静かな時間が流れた。
外の生活の音が聞こえてくる…。

ふと目が覚めた銀時は、沖田が起きているのを確認して声をかけた。
「足、疲れた?」
「いえ、平気ですぜ。気にしないで良いんで旦那は寝てくだせィ」
「じゃあ、お言葉に甘えてもう少し膝枕たのむわ」
言いながら、銀時は沖田の太股を撫でた。
ビクっと沖田の体が少し跳ね、次の瞬間おもいっきり銀時はソファから落とされた。
「いだッ」
「どこ撫でてるんでィ!」
ソファから落とされた銀時は腰をさすりながら、ゆっくり起き上がる。
「お、沖田くん…お手柔らかにお願い…」
「次、変な事したら帰りますぜ」
「足を労ってあげただけだよ?別に変な事する気はないからね」
「場所が悪いですぜ…。撫でるなら膝側にして下せィ。内側はどうかと思いますがね」
「ゴメンゴメン。そっち向いてたから、ついね」
言いながら落とされる前の姿勢に戻る。
「向きもついでに膝側にお願いしやす…。俺が前屈みになったら旦那窒息しますぜ」
「確かにそうだな。上向いとくか」
「…じゃあ俺は横向いときやす」
目線を合わせないようにする沖田に、ちょっと不安が募る。
「あの、俺の事避けてる?怒ってる?」
「いや、別に。膝枕してる時点で避けたり怒ってる訳ないでしょ」
「…まあ、そうか」

そしてまた、静かな時間が流れ出した。
ゆっくりとした時間。

かすかに遠くで夕方6時を知らせる時報が聞こえた。

「ん」
「旦那、起きましたかィ?」
「ああ、おはよう」
「おはようございます」
銀時は今いる場所時間態勢等を確認する。
かなり長い時間膝枕をしてもらっていたようだ。
「ずっと、起きてた?」
「寝てやした」
「足しびれてない?」
今度は落とされないように膝側を軽く撫でた。
「大丈夫でさァ。旦那こそ具合の方はどうで?」
「ああ、だいぶ楽になったな。沖田くんのおかげだわ」
「そりゃ良かったです」
よいしょと、銀時は起き上がった。
沖田は少し間を空けてから立ち上がった。
「俺はそろそろ戻りまさァ。チャイナが帰ってくると色々とメンドーなんでね」
「ああ。ここで不毛な喧嘩は二日酔いの頭にはゴメンだな。いや、二日酔いじゃなくてもアレだけど」
「たまには休肝日取ってくださいよ」
「毎日飲んでる訳じゃないからね?」
「量も程々にですぜ」
「大人はね。色々と大変なんだよ?分かる?」
銀時に酒の注意をしても無駄。
それは分かっていた事なので、これ以上言い訳を聞かないように、
「それはまた今度聞く事にしやす」
と言って話を止めた。

「それじゃ」と帰ろうとする沖田の背中に声をかける。
「あ、沖田くん。帰る前に薬貰っていいかな?」
「薬?二日酔いのですかィ?何でもっと早く飲まないんで…」
どこにあるんですかィ?と薬箱を探す。
「いや、二日酔いの薬じゃないんだわ」
「何の薬ですかねィ?」
「元気の出る薬。沖田くん、ちょっとこっちに来て」
銀時は手招きをした。
「俺は薬の持ち合わせないですぜ」
「!?」
近づいて来た沖田を素早く抱き寄せ軽くキスをする。
「い、いきなり何するんでィ!離して下せッッッ!!」
銀時はすぐ沖田を解放した。
その沖田は既に部屋の端っこにいる。
「そんなに嫌だった…?」
そこまで逃げられると思ってなかったのか、銀時はちょっと戸惑った。
沖田としては、いきなりの事で反射的に逃げただけだったのだが。
「嫌とかじゃなくて、いきなりすぎなんでィ…」
「不意つかないと逃げるでしょ?沖田くんは」
「そんな事ないですぜ。それは旦那の勝手な思い込みじゃないですかィ?不意打ちの方が逃げますよ。心の準備もクソも無いもんで」
そうかー。と銀時は何か納得したようだった。
「じゃあ、沖田くんからキスしてくれる?」
「は?俺から?なんでですかィ?」
「キスしてもらったら元気が出る気がする」
何を訳の分からない事を…。
そう沖田は思ったが断る理由がないのも確かだった。嫌いな奴なら一刀両断出来るが…。
「…なんで、キスなんかしたいんで。俺と」
「言わなくても分かるでしょ?どーでもいい奴とキスしたいって言うと思う?」
「…」
分かるような分からないような…。告白されてる?のか??いきなりの事で思考回路がちょっと上手く働かない。
沖田は銀時の行動が理解出来ず、銀時をじっと見つめた。
「神楽帰って来ちゃうから。帰ってくる前に、もうちょっと触れ合っていたいんだよ」
部屋の隅にいた沖田に銀時から近寄っていった。
考えがまとまらない沖田は近づいてくる銀時と距離を取ろうとしたが、後ろにはそんなスペースはもうない。
「旦那…、すいやせん。ソファに座っててくだせィ。俺からそっち行きますんで…」
「そう?まあ焦らされるのも悪くはないか。思いっきりムラムラしそうだけど」
言いながら銀時はソファに座り直した。

あんまりムラムラされても困る…。
キスぐらい。と頭に言い聞かせ銀時の横に座った。
「目瞑っててくだせィ」
「いきなりSMプレイとかしないよね?」
「…帰りますぜ」
「あー。冗談冗談!ごめんごめん」
目をつぶったまま銀時は謝った。

そして少しの沈黙があり
沖田から唇を重ねる。
唇以外は銀時に触れてはいない。
とても遠慮がちなキスだ。

沖田が唇を離そうとした時、銀時は抱き寄せた。
そして離れそうになった唇を今度は銀時から重ねる。
今度は逃げようとせず大人しく銀時の腕の中にいる。

優しく抱かれ優しくキスされる…旦那の行動や言動がやっと理解出来た気がする。
旦那は俺の事好きなんだ。そして、自分も…。
沖田はその気持ちに気づき、下におろしていた腕を銀時の背中に回した。

そして再度その気持ちを確認するようにキスをする。

「良い?」
少し唇を離し銀時は言った。
「何がですかィ?」
「この状況でそれを聞く?」
ソファの上で銀時は沖田を組敷いた。
返事を待たず、再度口づける。今度は軽くではない大人のキスを…。
「ん…」
邪魔なスカーフを外し中へ手を這わせる…。
そしてもっと下の方へ、

もっと下の方へ…のハズが。

「ただいまアルー」
「銀さん遅くなってすみませんー」
玄関から声がして、新八と神楽が部屋の中へ入って来た。
「ちょっと買い出しで手まどっちゃって」

「え、あ…おお、おかえりー」
「あれ、お客さん…うおあっ!!」
新八は思い切り部屋から出て来た人影にぶつかりよろめいた。
「ちょっとっ。て、アレ?沖田さん??」
気づいて名前を呼んだが、もう玄関を出た後だった。
「クソガキャ来てたアルか!お邪魔しましたくらいちゃんと言えないのかヨ!最近の若い子はなってないアルな!!クソガキャはやっぱ駄目アルネ!アイツ出入 り禁止で良いヨ!!」
「神楽。オマエ、ウルサイヨ」
ウンザリした表情で銀時は言った。
ソファで前屈みに座って、頭だけ神楽と新八の方を向いている。
「どうかしたんですか?銀さん」
「いや、別に…」
「そう言えば今の沖田さんですよね。何かあったんですか?」
「いや…何も」
神楽が二人の会話に入って来た。
「そういえばアイツ、赤い顔してたアル」
「オマエ…。気づかなくて良いとこばかり気づくな」
「そんな褒めないでヨ。照れちゃうアル」
「どこも褒めてねえよ!!なに照れちゃってんの!!?」
新八は、お湯を沸かしてお茶の用意を始めた。
「依頼とかじゃないんですか?」
湯のみをテーブルに並べながら言った。

銀時の姿勢は前屈みのままだ。
「銀ちゃん、変アル」
「うるせェ」
「ハイ。お茶ですよ。それで、依頼じゃなかったんですか?」
新八は湯のみを銀時の前に置いた。
「アレだよ。二日酔いだから世話してもらってただけだ。お前ら戻ってこないから」
やっと体勢をかえ、お茶を飲みながら銀時は言った。
「そうなんですか。って朝帰りで二日酔いですか?そんな人の世話する必要ないですよ」
「本人目の前にして必要ないとか言うなよ。俺が無理言って世話してもらったんだよ」
「まさか、迎え酒とかしなかったでしょうね?沖田さん顔赤かったし」
「勤務中のサツに酒飲まさねえよ」
「ですよね…。てサボってもらったんですか」
「アイツいつもサボってるだろーが」
「まあ、そうですね…」
「もういいだろ?顔赤いのなんて珍しい事でもないだろ?ちょっと二日酔いがうつっただけだろ」
そう言って銀時はお茶を飲み干し、二日酔いだからもう少し横になると自室へ入っていった。

自室に向かう後ろ姿を見つめながら新八と神楽は言った。
「二日酔いってうつるの…」
「赤じゃなくて青くなるんじゃないアルか」

「いや…青とかじゃなくて、うつらないでしょ」




ーーーーーーー
オワリ。

甘える銀さんに、優しい?沖田な感じです。
まあ、こんなのもアリかなーと!書いてたらこうなったってだけなんですけど。

今回はまさしく寸止め劇場でした。


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